しゅうへい

THE LAST OF USのしゅうへいのレビュー・感想・評価

THE LAST OF US(2023年製作のドラマ)
4.0
『THE LAST OF US』(2023)
原題: The Last of Us

「二人で生き抜け。この最悪な世界を。」

■アメリカで寄生菌による感染が確認されてから数十年、感染者と生存者がせめぎ合う荒廃した世界で人々は生活していた。「運び屋」を生業とするジョエルは、14歳の少女エリーを軍の隔離地域から脱出させる仕事を請け負う。軽い仕事のつもりで引き受けた依頼は、やがて国土を横断する過酷な旅へと変わっていく。

■2013年にPlayStation®3専用タイトルとして発売された『The Last of Us』。菌類起因の感染症によって文明崩壊したアメリカを舞台に描かれるサバイバル・アクションゲームを米HBOが実写化したもの。

無愛想なジョエルと生意気なエリー。気の合わない2人の掛け合い、美しい自然と荒廃した都市、感染者を避けながら音を殺す移動、旅先で出会う仲間の突然の死。“ゾンビモノ”と一括りにできない人間ドラマ。まさにあの頃のラスアス。10年前にプレイしたPS3版ラスアス。極め付けは同じ吹替キャスト陣。当時の記憶が鮮明に蘇った。

実写さながらの映像クオリティで終末世界となったアメリカの情景や、登場人物の表情を繊細に描き、緻密なシナリオと合わせて「まるで映画のようなゲーム」と評された今作。一部内容に変更があってもストーリーも世界観も忠実。エリーの過去を描く本編DLC『LEFT BEHIND -残されたもの-』、オリジナル?の出生秘話も描かれていて大満足。ただ「本家の完成度+思い出補正」のスコアだから、今作単体で見た時の評価は分からない。

『28日後』ゾンビと遜色ない身体能力。視覚が失われた分、聴覚が進化したクリッカー。チュートリアルが用意され、体力ゲージに残弾数、目の前にエイムが表示され、弾薬を込める速度も速い、攻撃を受けても即治療可、聞き耳を立てれば敵の位置がわかるゲームとは違う本当のサバイバル。最高難易度「GROUND」と同等、それ以上かもしれない。

無邪気なようで賢く強い少女エリー。原作でもドラマでも子供特有の無駄にイライラさせる言動がないから視聴者にストレスを与えない。容姿は似てないけど、エリーがベラ・ラムジーで良かった。可愛らしいおでこちゃん。とても19歳には見えない。原作版モデルのエレン・ペイジが若ければ…とも思うけども。

『THE LAST OF US』はLGBTQに配慮を欠かさず、続編である『PART II』はそれが加速し、全世界から非難を浴びることとなる。ポリコレという言葉、思想、団体が無ければ、自然に受け入れられたかもしれない。昔は何も感じなかった。今作でも原作と同じ内容で描かれる性の多様性、なんだか見え方が変わったみたい。シーズン2は作らないで欲しい…。
しゅうへい

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