レインウォッチャー

ユーフォリア/EUPHORIA シーズン2のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

4.0
自己の抑圧と解放に関わるシーズン2。

多くの登場人物が、言わずに抱えている何かしらの重荷を持っている。恋愛、ドラッグ、家族…と秘密の形は様々だが、シーズン1から引き継がれたそれは、徐々に彼らを内側から蝕んでいく。

そして、ついにもう限界…となった緊張が決壊する4、5話。代表選手であるルーやキャル(ネイトの父)のズタボロの大暴走は溜まりに溜まった濁りを排泄するような快感をもつドラマ的山場となっていながらも、やはりあまりに痛々しいもの。

そんな中で、崩壊ではなく昇華という「解放のやり方」を見せてくれたのは、なんとこれまで影に隠れて観察者的立場を保っていたようなあの娘だった。

彼女は、自らのコンプレックスを芸術に込めてぶつける。それを食らって傷ついた者もいるが、癒された者もいる。傷つくことも癒されることも、おそらく本質的には表裏一体で、自分を客観的に晒されるのは時に前に進むために必要なプロセスなのだ。
そしてもちろん、真剣に作った作品においては作り手もまたそのパワーからは逃れられず、それが責任と説得力になって、胸を打つ。

君は1人じゃないよ、なんて無責任に励ますことはいくらでもできる。だがあまりにハードな現実を知りすぎている現代の人々にとって、響くのは「いっしょに傷つこう」というアクションだけなのかも。

ところで彼らが学生であることを殆ど忘れてしまうようなドラマなのだけれど、シーズン3では活かされるときがくるのか否か?