レインウォッチャー

ジェン・ブイのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

ジェン・ブイ(2023年製作のドラマ)
4.5
スピンオフを感じさせない激・面白さ。間食にチーズinハンバーグ出された気分である。勘弁してくれ。

この『ザ・ボーイズ』シリーズは、フルスイングR18のエログロとか、スーパーヒーローコンテンツへの強烈な皮肉とか、そういった要素がまず語られがちだし実際大きな魅力ではあるけれど、そんなことよりも遥か前に「キャラクターが魅力的すぎる」。このド基礎が余りにも優れていると思う。

能力者を集めてヒーローを養成する唯一の教育機関、ゴドルキン大学を舞台にした青春群像劇&サスペンスといったところで、プロのヒーローや《セブン》に憧れる若者たちが主人公だ。GEN V=GenerationコンパウンドV、てことか。

スタート後2・3話で、誰もが主役で誰もがラスボスになり得ると感じさせる。彼らは若く未熟で、ゆえに少しのきっかけで爆発し得る危うさを常に抱えている。この傷、そしてリアルな痛み。
そこに学園ドラマならではの学内カーストや、既に悪意すら超えて定着したSNS等の新しいメディア論、そして裏に隠された陰謀が絡んできて、誰が目を離すことなどできるだろうか?以下反語。

シリーズ本編では、強大になりすぎた《セブン》を中心にヒーローの肥大化したエゴの側面が強調されたけれど、今作ではもっと弱い存在としてのヒーロー予備軍にフォーカスを当てて、彼らもまたマイノリティであり能力者の中にも複雑なレイヤー(強さ、動機etc.)があることをあらためて深掘りしている。
そんなストレスフルな世界で生きる彼らを誰よりも支配し操るのは、強大な超能力や権力を持つような者ではなく、巧みに心に入り込んで《癒す》者…この設計もとても現代的で、何より恐ろしい。

シーズンが終わる頃には、メインチームの全員を大嫌いだし大好きになってる。時系列も本編と並行しており、本編キャラの出演もあるので、今後はどっちも気になるよ!もう一度言おう、勘弁してくれ。

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推しはケイト。