レインウォッチャー

マンダロリアン シーズン3のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

マンダロリアン シーズン3(2023年製作のドラマ)
4.0
ワシらのグローグーがこんなに大きくなって…と、孫の成長を見るような気持ちが天に召されるシーズン3。

根無しの「子連れ狼」から始まったふたりぼっち物語は、いつしかひとつの国家を再構築する神話へ。

帝国がマンダロリアンの技術を利用した流れは、文化の搾取とか盗用の喩えであるようにも思えた。それはいま先進国と呼ばれる多くの国々が繰り返してきた工程だけれど、ボスキャラを演じるのがアフリカ系であることは、ここにきて小さくない意味を持つ。暴力の精神は、時代や民族を問わず誰にでも宿り得る。

そして暴力とは常に分断であり、それに抗するのは団結であることが描かれる。そして、失敗したらまた最初から建て直せば良いということ。
マンドーたちがこれまでのシーズン全体を通して積み重ねてきた信頼の数々が絆と呼ぶべき形を成していく、その結果としてラストがある。フェアで美しい構成。

マンドーが手にした、大小ふたつの故郷。いったん大団円といっても良い区切りだと思うけれど、彼とグローグーはこれからどこへ行くのか。とにかくまあお疲れ様、ゆっくりしていってね!と言いたいところ。