Rocco

エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~のRoccoのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ふぅぅー 

原作は未読。最初は香港という雑多な街の息吹や通りの匂いまで感じる映像に惹かれて見始めた。ニコールだし。夫の駐在のために家庭に入らざるを得なかったキャリア女性の葛藤とかを描くのかと思っていたら、(特にニコール演じるマーガレットはランドスケープデザイナーでかなり実績があったらしいので)、こういう展開になるとは。香港のエクスパッツ、特に西欧人男性は待遇がいいので、彼らが出入りする夜のラウンジやクラブには若い女性が群がり、それが原因で離婚する中高年カップルが多いというのを香港駐在歴のある知人から聞いてはいたけど。

途中抗議デモを入れたあたり、少し欲張りすぎなのかと思ったけれど、これは、マーシーにも帰る場所があるということを強調するために必要だったんだろう。最終回のヒラリーのエピソードと、シスターフッド的展開には泣かされた。3人の顔がアップになるから、嫌でも人種的属性を意識する。その時々で別々のキャラクターに同情しながら観ていたけれど、マイノリティがアメリカで成功するためには、外見を白人風にしないといけないのかとヒラリーを見て考えたり、一方、メークも整形も無しで、子供みたいに本能で生きていたマーシーが、養子を申し出るところでは、我儘なようでいて彼女なりに自分の不幸から娘を守りたいという強い意思を感じた。

ニコールは、何かが憑依していたみたいだった。

出てくる男性陣が限りなく頼りなかったというのもあるけど、見終えてみると女性にとっては empowering な内容だったと思う。あと、このシリーズではあまり触れられていないけど、実はこの悲劇で、なんだかんだ言ってマーガレットの娘はかなり傷ついていると思う。家政婦をあてがうんじゃなくて、母はしっかり向き合ってあげてほしいと思った。


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最後のクレジットで、「マシュー・ワカイに捧ぐ」とあったので、調べてみた。彼はこのシリーズのカメラマン/シネマトグラファー。健康体だったのに、37になるひと月前、撮影中に心臓発作で倒れ、そのまま亡くなられたらしい。

マーシーの母親が出てきて、韓国語で話した台詞、ちらほら聞き覚えのある単語が出てきたんだけど、「엄마가 있잖아」と台詞のフルセンテンスの意味がすぐ分かって嬉しかった。韓ドラ見てたのが役に立った。

追記:先日香港在住の友人に会った時、このドラマシリーズの話になった。彼はなんとかして観たらしいけど、香港では禁止されてるのだそう。知らなかった。
Rocco

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