レインウォッチャー

ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

4.0
タモさんならぬギモさんの奇妙な物語集。

編纂、が好きである。恥ずかしげもなく言うならば、心踊る響きだ。
敬愛する作家が何を観たり読んだりしてきたのかには強く興味があるというか、「好きな人の好きなものはきっと好き」的マインド、ヲタスピリットの持ち主であればある程度共感いただけるところではないだろうか。

このオムニバスシリーズは、我らがギレルモ・デル・トロ氏がキュレーターとなって8つの怪奇エピソードを届けてくれる。各話はそれぞれ異なる監督・原作による(原作の一部はギモさんによるもの)のだけれど、やはりギモさん監修による一定貫かれたテーマ、ものづくりの美学によって、一つの大きな図形を成していると思う。

邦題は『部屋』としているけれど原題はCabinet、棚とか箱のほうが近いだろうか。
そのため、各話は「保管する」「集める」あるいは転じて「隠す」「閉じ込める」…といった言葉でCabinetのイメージのもと繋がっているようだ。蒐集癖といえばギモさんその人であるし、集めて並べられた秘密のお話たち…というのはこのシリーズそのものと言って良いだろう。粋である。

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各話はかんたんにこんな感じだった。起承転結を大事にしたクラシックな物語が多い印象で、毎日つまんでいくスタイルをお薦めしたい。
ハリポタのロンやウォーキング・デッドのリックなど思わぬメンツの出演もあるほか、監督は若手中心のようで(『CUBE』のV・ナタリ監督なんかもしれっと混じってるが)今作をきっかけとしたデルトロユニバースの広がりにも期待が高まる。

1:倉庫×因果応報
2:墓地×都市伝説
3:モルグ×とんち
4:女の職場×ボディホラー
5:美術展×強迫観念
6:事故物件(賃貸)×死後の世界
7:富豪の館×邪神SF
8:事故物件(戸建)×喪失

1、4、7あたりがお気に入りだ。
あと、毎オープニングでギモさんの「今日の監督は●●」というUberEatsばりの紹介とともに置かれるチェスの駒みたいな人形、ガチャガチャにしてほしい。