レインウォッチャー

ピースメイカーのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

ピースメイカー(2022年製作のドラマ)
4.5
なんで毎回毎回、このダサいダンスのオープニングをスキップせずフルで観てるんだろう。
あまつさえ、シーズンが終わる頃には…これが、涙…泣いているのは、わたし?

ジェームズ・ガン監督による無理ゲー・チームビルディング。その魔法に性懲りも無くまたやられる。

映画『ザ・スーサイド・スクワッド』のスピンオフということだけれど、主人公は「ヴィランチームの中の悪役」だったピースメイカーだ。名前に反して、というか、正義が行きすぎて障害は誰でも殺すという価値観のゴリマッチョマン。

いやスピンオフするならラットキャッチャーやブラッドスポートで良かったやんこんなやつ誰が好きになるねん…
っていう罠、ガン作品で何回ハマった?わたしも成長しないなと。
認めましょう、みんな大好き。凸凹どころかウニみたいになってる即席チームの織りなす、1.5言めにはモラハラセクハラが飛び出すどーでもいい会話を一生聞いてたい。

フックとしては昨今流行りの「男らしさ」が絡んでくる話ではあるのだけれど、それと80年代(※)のLAメタル(ヘアーメタルとも呼ばれる、髪型や化粧などルックスが派手でキャッチー、ナンパに見られがちなハードロック)とを掛け合わせるとは流石すぎるセンス。

この音楽が持つ両性具有的なイメージはピースメイカーたちの葛藤に重なり、補強する。みんな弱い部分を持っていて、それでも必死で虚勢を張って、ロックンロールするのだ。一人ならそれは害悪になるかもしれないけれど、君となら前向きな飛躍にできるということ。
そして、ついに彼が本当に平和=ピースの使者になってしまう…かもしれない終盤。空も飛べないし再生能力もなく着地もヘタ、こんなヒーローに賭けてみたって良いじゃあないか。

※現代でも後継者にあたるバンドは細々?続いていて、血脈は切れていない。ドラマ内でも聴くことができる。