犬さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ロッキーVI(1986年製作の映画)

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レニングラードカウボーイズのPVらしいが、バンドに対して無関心なので本当にただのふざけ倒したパロディだなーという感想でしかない。

罪と罰(1983年製作の映画)

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長編処女作ながら既にカウリスマキの作家性が備わっていて感心するが、無機質なフィルムノワールが故に緩いシュールな笑いというよりは地味にブレッソン的なソリッドが漂う。しかし、ラストでマルックトイッカが自首>>続きを読む

ディア・ハンター(1978年製作の映画)

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結婚式、戦場、帰還後という戦争の前と後にも重きを置いた三部構成。仲間内で楽しんで鹿狩りをしてピアノの旋律に哀愁的な雰囲気になったのも束の間、助走もなくジャンプカットでベトナム戦争になるのだから脳が叩き>>続きを読む

沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

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『男はつらいよ』以外で渥美清を拝見するのは初めてかも、と思いながら裏切らないコメディリリーフが作品の緩衝材として際立つ。殺陣のシーンはどれも構図、カット割、血飛沫が美学として存在しており、ラストで萬屋>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

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『シンゴジラ』はフォーマットを模倣していただけなのかって思えるほどに徹底的な空想科学。『ゴジラ−1.0』でビルの屋上から実況生中継していたのも本作のオマージュに過ぎないという。且つ、両作になくて本作に>>続きを読む

ロー・タイド(2019年製作の映画)

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過去の事件を写真のモンタージュで簡潔に見せたり、懐中電灯とパトカーの赤色灯が森林を無造作に照らす画作りなどスタイリッシュに撮れる監督ではある。アレックスニューステッターがマルコムマクダウェル的な狂気を>>続きを読む

チャップリンのニューヨークの王様(1957年製作の映画)

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風刺どころか赤狩りや当時の文明に対する露骨な社会批判であり、『ライムライト』から五年の沈黙を破ってでも映画で語りたかったチャップリンの気概は買うが、やはり年代順として考えると前作で綺麗に有終の美を飾る>>続きを読む

ライムライト(1952年製作の映画)

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初期から順を追って鑑賞してきたが、スラップスティックの喜劇王であるチャップリンの固定観念というものが邪魔になる懸念など杞憂に終わるほど彼は正真正銘の俳優として演じている。笑いの表裏一体として能動的に涙>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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お国の為に命を捨てることが美徳とされる思想を抱えて死に損なった神木隆之介が自身のトラウマ(ゴジラ)と対峙して美化に見せる欺瞞性。『シンゴジラ』が陸なら本作は海ってことで、焦らされることなく登場したゴジ>>続きを読む

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

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今も尚、様々な文化に於いてオマージュとして引用される有名な台詞が際立っていることやモデルとされるシリアルキラーの青髭ランドリューよりも純粋にチャップリンのフィルモグラフィを通じて役割も構図も脚本も平面>>続きを読む

独裁者(1940年製作の映画)

3.0

どんな場面/状況でも無言でスラップスティックを貫くチャップリン像が好きだったが、今作はテーマがテーマなだけにラストのメッセージ性を存分に反映させた声高な演説が胸を打つ。他の俳優では許されない、得体の知>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

水も仕事も上から下に流れる摂理/構造の中で、勧善懲悪から免れて悔悛したとて搾取という不均衡が足を踏み入れれば相容れることはなく静かに予想外の幕引きを迎える。これが他の監督であれば芸能事務所の人間は村の>>続きを読む

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

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象徴的なベルトコンベアからの歯車に巻き込まれるシーンは改めて面白さよりも凄さに感心してしまう。その後の変態ネジ閉めおじさんで素直に笑ってしまうが、デパートのローラースケートやレストランの配膳とか緻密な>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

4.0

ドラマの質が格段に上がったことは明らかだが、それ以上にラストで見せるチャップリンの心の底から溢れ出る歓びと感動の表情が堪らなく良い。あれだけ身投げやボクシングのシーンでいつも通りのコミカルな身体表現で>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

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フランシスのファインプレーは好転だが、ブリジットの言動には引っ掛かる点が幾つか。少し目を離した隙にフランシスが池に落ちてしまったところを急いで助けてくれた通行人に対する粗雑な対応や公園で授乳をしていた>>続きを読む

リング(1927年製作の映画)

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多重露光で焦燥感を演出したり、おっさんと握手しているシーンからオーバーラップして彼女の腕にアームカフを嵌めるシームレスな編集がヒッチコックらしい。

ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

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『心と体と』が傑作だったので密かに期待を寄せている監督の一人。冒頭から耽美的な撮影に見惚れてしまうが、流石に脚本が普遍的であり長尺。相手の素性をよく知りもせずに第一印象の容姿や感覚で交際(結婚)に至る>>続きを読む

ロボコップ(1987年製作の映画)

3.0

1〜2発で殺すなんていう生温い描写が一切なく、腕を吹っ飛ばしたり蜂の巣にしたり有毒廃液に突っ込んで溶けたりと凄惨な描写が多くて手堅い。殺したはずの警官が人造人間と化しても尚「殺してでも逮捕する」の印象>>続きを読む

サーカス(1928年製作の映画)

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チャップリン自体は変わらずドジやっているだけだが、観客が配置されることで「笑われる」ことから「笑わせる」曲芸に昇華するメタ的な構造。

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

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器用だからこそ不器用に見せれるフィジカル。個人に焦点を当てずに点と点を線にして描くので全体的に弛緩している印象を受けるが、ラストの傾く山小屋はセットそのものを傾けている?のもあってドリフ的。

巴里の女性(1923年製作の映画)

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出演せず監督に専念するとなれば喜劇ではなく男女の悲劇を描くという姿勢が既に格好良い。『サニーサイド』同様に牧歌的なラストで終幕するのだが、チャップリンの田舎風景には差し込まれる陽光や豊かな緑など、僅か>>続きを読む

チャップリンの給料日(1922年製作の映画)

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エレベーターを利用した縦構図や逆再生による編集技術が冴えている。チャップリンのコミカルな動きが面白いのは無論、現場監督や細君など受け手のリアクションが豊富なのもコメディとして重要な役割。

キッド(1921年製作の映画)

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ドラマに比重が置かれていることでスラップスティックは控えめでありながら、それが故にチャップリンが喜劇的なアクションをすればするほど哀愁染みてくる表裏一体性。

チャップリンのゴルフ狂時代/のらくら(1921年製作の映画)

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ゴルフ場のシークエンスによるスラップスティックの運動が見事。昼寝をしている肥満男性の頭をそのままフルスイングするのかと思いきや、腹を踏んで口から噴出されたボールを打つとは。しかも、一個だけでなく連続で>>続きを読む

サニーサイド(1919年製作の映画)

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夢オチをこれほどブラックに仕上げられるのは手腕の他ならない。優雅な劇伴と牧歌的な風景も相まって余計に尾を引く。

一日の行楽(1919年製作の映画)

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マイケルジャクソンより先にゼログラビティを披露するチャップリン。

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)

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童謡や日本人形など古来の不気味な象徴をサスペンスに取って付けただけのような仕上がりで退屈。岩下志麻が通りゃんせを歌いながら項垂れるのとか露悪的。

曽根崎心中(1978年製作の映画)

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ロメールばりに脚を愛でる床下の宇崎竜童。梶芽衣子の顔から伝わる眼光と気迫には確かなる覚悟を感じるが、宇崎竜童が素材を台無しにするほど醤油やソースを掛けまくるような胸焼けの権化で辟易。

告白小説、その結末(2017年製作の映画)

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『ファイトクラブ』的なイマジナリーフレンドに翻弄される作家の顛末と過渡。「事実は小説よりも奇なり」を地で行くエマニュエルセニエなのだから空想或いは現実のエヴァグリーンによる矛盾のあれこれは野暮であり、>>続きを読む

遥かなる大地へ(1992年製作の映画)

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傾斜した丘の雄大なロケーションから期待値が高まるものの、中盤は尺の長さと比例して弛緩する。しかし、終盤のレースにて広大な大地を一斉に馬や馬車が駆け抜けて帽子は飛ばされ荷物はひっくり返るほどの大規模な画>>続きを読む

LOFT ロフト(2005年製作の映画)

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ラストの熱烈で唐突なキスで終わったらどうしようと思ったが、ちゃんとフリとして一気に死体が上がってきて良かった。しかし、森の中の廃屋という舞台が揃っていながら微妙。

アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

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イザベルアジャーニのガンギマリで忠告する顔は逆走ママチャリのような形相だし、意中の相手を催眠術で結婚させようとする狂気はGACKTのファンによる無断婚姻届みたいだし、今も昔もやっていることは変わらない>>続きを読む

デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

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ヒルのような寄生虫が人間の理性を失わせるっていうクリーチャー要素を抜かしたら『哭悲』同様の着想。クローネンバーグ初期作品故にネバネバ具合は足りず、理性を失うことによる行為が人を襲うだけ以外だと無意味に>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.0

家族や過去との折り合い、喪失と孤独についての映画。『荒野にて』(失念気味)でも感じていたことだが、冒頭から撮影が特段に良い。それは、刹那的な陽光やクラブの二人を照らすライト、電車内の湾曲した窓に映るホ>>続きを読む

北の橋(1981年製作の映画)

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パスカルオジェが徹頭徹尾脈絡を見失っていて参った。ラストの空手とか何だよ意味深すぎて笑っちゃうよ。どうやら作品を知るのではなくリヴェットを知る必要がある。しかし、もう一回鑑賞したら評価がひっくり返りそ>>続きを読む

アスファルト・ジャングル(1950年製作の映画)

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落下した拳銃の偶然なる発砲、外からガラス越しに覗く二人の警官、ラストの牧場によるロングショットなどフィルムノワールとして惹かれるシーンはあるのだが、尺に相当するほどはノレず。