Yuhiさんの映画レビュー・感想・評価

Yuhi

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彼奴(きやつ)は顔役だ!(1939年製作の映画)

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とりあえずめちゃくちゃおもろい。

戦地から戻った青年らがギャングになるという『仁義なき戦い』と同じ構図。あとジェームズ・キャグニーがジョー・ペシすぎる。

鉄腕ジム(1942年製作の映画)

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常に権威に反抗していくのがウォルシュ映画の人間。警察を海に投げ込む群衆と上流社会の規範を乱すサリバン。ヒロインもゾッコンなわけ。戦績を積むシーンの見事な省略とメロドラマ的結着を突き破る爽快なラスト。

青春(2023年製作の映画)

5.0

中平卓馬がローシャ『黒い神と白い悪魔』とヴァルダ『幸福』について〈「現代」と言いながらも、おのおのが棹さす「歴史」のどうしようもない隔たり、その一見絶対的な非和解性を感じさせる〉と述べていたが、この『>>続きを読む

西瓜(2005年製作の映画)

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映画の窃視構造を逆転して、ぶち壊してるラストなんだろうけど。
ツァイ・ミンリャンは断然初期のほうが優れているとつくづく思う。

死霊魂(2018年製作の映画)

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ワン・ビンの実は周到にレイアウトされた編集はすげえなって思った。最も感動したのは 、凄惨な歴史の地で、子供たちが無邪気で美しい笑顔をみせた第一章の終盤。歴史の不可逆性の残酷さと回復力の二面性。

フレ
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

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バキバキの画面を撮る濱口は珍しいのと、黒沢清じゃねえか!としか言えない。

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

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濱口って作家主義に極めて自覚的というか、論じやすいんだけど、自らの作家性をゆるがすものを撮ってみてほしい感はある。終盤のギャグは面白かったけど今回は河井青葉以外の演技はとことんハマってなかった気がする>>続きを読む

楽日(2003年製作の映画)

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『河』のときよりすげえ素直になったと思うけど、自分は初期のほうが好きだな。でもこの映画の持つ他にはないノスタルジアはそれだけでもこの映画を傑作の域に近づけていると思う。不具の表象をツァイ・ミンリャン通>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

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掘り下げていくほど人間理解の不可能性が深まっていくというテーマはオーソン・ウェルズ的。同時にこの恋愛模様はエドワード・ヤン映画のよう。『恋愛時代』のラストとか、吉田喜重『甘い夜の果て』を思い出した。

鉄西区(2003年製作の映画)

5.0

中国を旅したとき車窓から見た工場群や線路沿いの小さなレンガ造りの家々。長距離列車の中で酒を酌み交わした労働者たち。私は彼らの優しい目を知っているし、この映画の人々も同じだ。

「失われた景観がそこにあ
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輪舞(1950年製作の映画)

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めちゃくちゃ面白い。他に類を見ない長回しをやってる。といってもぼくは相米慎二を思い出した。

地に堕ちた愛(1984年製作の映画)

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謎が謎のままで物語と世界が開き続けるというのは『彼女たちの舞台』や『北の橋』でも通底している。

濱口竜介みを感じた。リヴェットが撮る女たちは最高っすね。

忘れじの面影(1948年製作の映画)

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「待つ」瞬間をほとんど省略している。なぜ男に惹かれ、死ぬのかがほとんど説明されない点でこれはメタメロドラマ。

長回しとは言わないまでもよく動き、複数ショットを一つのショットに集約させているショットが
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(1954年製作の映画)

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村で祭りに遭遇するシーン、彼女は群衆に負け、道から外れることが出来なかった。にしてもジュリエッタ・マシーナの演技が本当に凄い。

武田潔が『ロング・グッドバイ』の入水のシーンを映画史の反射として批評し
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小麦の買占め(1909年製作の映画)

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ストローブ=ユイレをサボったことは今後の人生に影響するだろう。

ドリーの冒険(1908年製作の映画)

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ドリーを攫う人間がジプシーだという点で、『國民の創生』はつくるべくしてつくられたんだなと。

青春群像(1953年製作の映画)

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フェリーニが極めて個人的作家であったのはここからすでに見て取れる。『8 1/2』の前日譚として。

絞死刑(1968年製作の映画)

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未だに死刑廃止を出来ていないこの醜い日本国まじダセえ〜。
まあ昨今のコンプラっつーのは差別を廃絶しようと見せかけて実は隠蔽してるだけなんだな。この映画はそれをよーく知ってるから朝鮮人も性暴力も人命も宗
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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

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このカメラワークの流麗さはゴダールではほとんど感じたことがない。加えてゴダールの女性像との差異も目立つ。

戦争が個人の友情に何一つ影響を与えていないのはあまりに美しく、楽観的だ。

嵐を呼ぶ十八人(1963年製作の映画)

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まずもって言わなければならないのは吉田喜重は「場」の発見に極めて長けているということ。
で、めっちゃくちゃ面白い。労働者映画、メロドラマ、サスペンス、ヴァカンス、青春が一つの鍋で煮込まれて怪異的な映画
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カナルタ 螺旋状の夢(2020年製作の映画)

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話は面白いんだけど、絵が弱い。露光が良くない。
しかし太田光海さんはめちゃくちゃ尊敬してる。

日本の夜と霧(1960年製作の映画)

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60年にして68年の敗北を見据えていたのか。にしてもカンタベリー物語形式で演劇的な演出とフラッシュバックという単純な構図は面白い。

最後の演説は底気味悪いね。

曳き船(1941年製作の映画)

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海の上で出会ってしまったばかりにギャバンは浮気をはたらいた。海と陸の対置として相米慎二『魚影の群れ』を参照。最後のシーンは重なる。

荒れる海と「予兆・omen」としての風はエプスタインの映画とも重な
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コロッサル・ユース(2006年製作の映画)

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「家」と家族≒血の物語かな。画の作り方としてああいう現像の仕方と光のとり方はめちゃ勉強になる。

FUCK GENTRIFICATIONっす。

ル・ミリオン(1931年製作の映画)

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ギャグがおもろい。人物の動線が完璧に設定されている。

自由を我等に(1931年製作の映画)

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単純で秀逸なギャグと巨大なセット。チャップリンとジャック・タチの融合(というか母胎)
終盤の群衆の狂乱と風のシーンは必見でしょ。

ルノワールにも劣らない監督だと思う。

巴里の屋根の下(1930年製作の映画)

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反復のギャグ。実はフィルム・ノワールですねこれ。

六つのバガテル(2001年製作の映画)

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6つ目なんてストローブユイレの映画じゃないか。

贅沢のためなら全財産を擲つ。

太陽の墓場(1960年製作の映画)

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圧巻ですわ。汗と血。民衆のどす黒い力が小さなドヤ街で渦巻き、過熱しきっている。大島渚の極めて政治的な姿勢は当たり前にゴダールと重なる。

にしてもシネスコが上手すぎる。

ヴェルクマイスター・ハーモニー(2000年製作の映画)

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群衆と病というソビエト的モチーフはここにも発見することができる。ハンガリーまで伝播しているのか。

『DAU.退行』と繋げて考えたい。

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