miさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.0

人としての強さとは何かを物質的ではなく精神性豊かに語りかける秀作。
ジェンダーや多様性にまつわるお手本のような話ともとれるが、自伝的要素を組み込んだ本というのはやはり「誰かを傷つけやしないか」という恐
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サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

4.2

真正面から少年時代のノスタルジーを描ききることで得られる共感力の高さ。
非接触のこの時代特に曖昧になってくる「友達」への再定義、尊さに泣く。
初めてあだ名で呼ぶ時の気恥ずかしさ。こういうところちゃんと
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少年には楽しい夏休みと新鮮な空気が必要だ(2018年製作の映画)

3.7

悲しみを乗り越えた先のセリフの説得力に前向きになれる。風通しがどこまでもいい。
これが私の原点です。という語り口が多少物語のノイズになっている気がしないでもないが、幼気な少年の行動の数々にはグッとくる
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アリスの恋(1974年製作の映画)

3.5

未亡人は辛いよ。夢破れても子を育てねばならぬ。そこに女性目線で描かれた男の暴力。はちゃめちゃな職場のダイナーがいかにもアメリカ。

すぎ去りし日の…(1970年製作の映画)

3.7

ロミーシュナイダーの特集が始まったので。
おっさんの恋路の行方は正直どうでもいいのだが、ピコリのカーアクションシーンはたまらない。特に事故シーンをスローで見せた後のノーマルでのキレッキレの編集を入れて
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ロミオ(2019年製作の映画)

3.2

30分もしくはそれ以上に伸ばしたくなるアイデアを1分にまとめる度胸。

フライ・トゥ・ザ・スカイ(2015年製作の映画)

3.0

どうも小細工に走りがちな気がせんでもないが、ショベルカーのロングショットの哀愁には、なるほどと頷ける説得力。

監督!僕にもDVDをください!(2013年製作の映画)

3.2

着眼点は面白い。
いまなら完パケくださいで終わる話やしね。
ラストのギミックも憎い。

四年生ボギョン(2013年製作の映画)

2.0

いかにも芸大・美大生の自主制作然としている。
一日に2回しただけ。
扇風機に吹かれるキムコッピの顔は良かったけど、あとは至って普通。終わり方も微妙。音楽はダサい。

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

3.5

広告業界の片隅で生計を立ててる者としては非常に勉強になったな(?)
序盤の出鱈目は笑えたが、途中から何見せられてんだこれ状態が永らく続き、さすがに笑えんだろという描写も多く何とも言えない気分に。
出鱈
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.2

レストランを舞台にしたワンカットのお仕事辛いよムービー。
のっけから完全にキャパオーバーのシェフの姿が痛々しくて見てらんねぇ。
人種差別とかSNSに支配された人間模様とか、要所でテーマを入れてくるのは
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川沿いのホテル(2018年製作の映画)

4.0

火傷で療養という謎設定は、美しい雪景色の中で患部を冷やすためにあるのな!なんて勘繰ったりもしたけど、単に女をナンパする口実のためだけに雪が利用されてる時点でホンサンスすぎて面白い。
ただ頑張り屋さんな
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夜明けの夫婦(2021年製作の映画)

3.7

コロナが前面に出過ぎないのはいい塩梅。
毒っ気もたっぷりでクスッとくる中身は健在だが、あまりにも予算が少ない画作りが気の毒というかなんというか...。
子どもつくるのも大変なんだな、知らんけど。出生率
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あなた自身とあなたのこと(2016年製作の映画)

4.5

かなり面白い。
ホンサンスによる自己と他者の考察。
濱口竜介との違いは土俵が恋愛ということ。
噂話はただの噂話なのか、ほんとに双子なのか、はたまた多重人格なのか、全て煙に巻く見事な本。閉じ方も素晴らし
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草の葉(2018年製作の映画)

3.7

これが世に言う「人間観察」。
登場人物みんな正しくてみんな間違ってる。愛なんて所詮独りよがりなものなんだから。
こんなに感傷的なの珍しい。
とはいえ音楽の流れ方は作為的で耳障り。天国と地獄とか絶対流さ
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イントロダクション(2020年製作の映画)

3.5

俺はいつでも本気で女を抱きしめている!
と大声で宣言してるのは他ならぬホンサンス自身やろ。先生のあまりの声のデカさにめちゃくちゃ笑ってしまった。
夢で出会ったと思われる二人の将来@浜辺のシーン、息子ち
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

3.2

究極の素うどん作ろうとしてるのかもしれないけど、さすがにちょっと薄味に感じた。
今まで見たホンサンスで最もシンプル。
低予算への限界に挑戦しようとしてるのか。
そのうちカメラすら捨てそうな勢い。

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

4.0

視線の映画。こうして芸術は守られた。
さすがに救急車呼んだれよ。とかはあるにせよ、最後の一言がマジでめっちゃくちゃいい。主人公の矜持の発露。これは翻訳者にも思わず拍手。

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.0

原作未読につき、良し悪しはよくわからんが、映画としての偏差値は決して高くないのだろうなと思いつつ、さすがの性と生の描き方、深刻になりすぎないカルトの扱い方は良かった。
ただ一方で個人的な興味の食指は、
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狩人の夜(1955年製作の映画)

4.0

事件が起きる時、人物をシルエットのみにするライティングの巧さと、部屋の中に差し込む光、人物の配置等が精密に練られているように感じる。
リリアンギッシュが出てきたあたりからサスペンスの色が薄くなって興味
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夜霧の恋⼈たち 4Kデジタルリマスター版(1968年製作の映画)

4.2

ドタバタというには常軌を逸したスピードで人生が展開していって羨ましさすら覚える。
依頼人が暴れ回ったときに上の階の歯医者呼んでビンタさせるの意味不明すぎて最高。直後アントワーヌがずっこけたのは恐らく偶
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アントワーヌとコレット/二十歳の恋(1962年製作の映画)

4.0

アントワーヌと似たような経験をしたことがあったので、ラストシーンで完全にメンタルが崩壊した。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.2

女である。ということ以外何も持たないワンダではあるが、女を武器にしているわけでもなく、ただただ流されるだけで巻き込まれるがまま。意志を示さない彼女はある種象徴的な人格のようにもとれる。
当面の金以外何
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

1.5

画が退屈すぎた。会話とキスとセックスで費やされる時間に辟易。困った時の誤魔化しのバックショット。
ナレーション被せるの嫌すぎる。

ハードエイト(1996年製作の映画)

3.5

主人公の行動原理の謎を明かすタイミングはよくとも、方法がもう少し欲しくなった。
余白ではない編集の緩さはやや気になる。
導入、舞台設定としてのカジノの使い方がうまい。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

決して非道徳的ではないのに、資本主義の前に破滅していく話としてめちゃくちゃ面白い。胡散臭い宗教が崇高さを絶妙に保ちつつも結果的に崇高さの欠片もなかったのが良い。

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.0

全く嫌いになる要素は見当たらない。
おおよそ好きで形成されている。
特に俳優たちの芝居を堪能できる代物であり、当てがきっぽいストーリーの良さが感じられる。
主役二人が魅力で溢れてて眩しさすら感じる。
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東京2020オリンピック SIDE:B(2022年製作の映画)

3.5

あまりにも色々なことが起きてしまったオリンピックだからこそ、是も非も賛成も反対も成功も失敗も全部ごちゃ混ぜにして肯定も否定もせず、監督自身が「はい」と飲み込むことで、満身創痍の中ギリギリ出来上がった作>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

2.5

コアアイデアから映像におこしたときに地味を超えて退屈すぎる内容だった。人物が止まって話してるシーンがあまりに多すぎる。
アイデア自体は素晴らしいのでそのアイデアを膨らませた先にある物語が観たかった。
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.0

主語が大人の側にありすぎて、赤ん坊は擬似家族を成立させるためのみに存在するかのように感じられてしまう。
話を膨らませすぎたのか、是枝さんの作品にしては登場人物が多く、情報の整理がされないままロードムー
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東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

3.2

めちゃくちゃ河瀬さんの映画だった。
アスリートである前に人であるが故にドラマがあるという当たり前のことにキチンと目を向け、オリンピックはあくまで人が集うイベントかのごとく扱っているようなスタンスには驚
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.5

飛行シーン凄すぎワロタなのは間違いない。
ヘルメットのシールドの反射が臨場感のディテールとして効いてる効いてる。これが2022年現在出来うる限りの技術を注ぎ込んだ超絶飛行シーンであることに異論はない。
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トップガン(1986年製作の映画)

3.0

飛行戦における空間認識に難がありすぎる。
当時のスクリーンプロセスの限界。
何やってるかよくわからないので、登場人物たちが何に一喜一憂してるかよくわからないまま終わっていく印象。

わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.2

設定はちょっとアレだったけど、
本の完成度の高さ・会話劇としての完成度の高さ・芝居を撮る
という点に関しては抜きん出てるように思う。
これが噂の加藤拓也氏なのか。なんて思いながら、役者の芝居を引き立て
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.8

再生の物語というのではあまりに言葉が拙い。
寓話的展開を補って余りある人と人の絆の構築。生死に触れ合う関係性というのはまさに家族のそれ。言葉を交わさないコミュニケーションの数々と、宮崎あおいの卓越した
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

アルコール一滴も摂取しない民にとっては対岸の火事というか共感性の薄い話(過去に失敗してる人間は何人も見てきてる)ではあるが、性被害の加害者(特に男)にとっては過去の話だが、被害者にとっては過去の出来事>>続きを読む