シャンタル・アンネ・アケルマン。
「人生とは何なのだろう」と云った疑問と、ジャンヌへの憐憫が沸き起こり、切ない余韻を残す作品である。
本作は思春期の息子と暮らす、或るシングルマザーの二日半の出来事を>>続きを読む
鑑賞記録。
抑圧と猜疑に因り醸成される、「正義」の名を借りた不寛容な思想。
それに依って曝露される、人の醜く、弱い本性。
ミヒャエル・ハネケの作品であるが、どちらかと言えばタルの諸作にも似た「実証作>>続きを読む
鑑賞記録。
市川崑。
鏡花原作となる。
情緒、幽玄、凄絶─。
これ等が鼎立する事を初めて知った作品。
分断と扇動への警句。
ベーラ・タル。
凡そ二年前に鑑賞した作品であるが、自分でも理解が至らぬ想いが有り、今回再見した。
その中で─幾分恣意的な解釈も有ろうが─新たな気付きを得た為レビューを再掲するもの>>続きを読む
少年達の眼差し。
アッバス・キアロスタミ。
キアロスタミが80年代当時のイランに於ける低学年児童への教育の在り方に疑問を投げ掛けたドキュメンタリー作品である。
キアロスタミのこのドキュメンタリーは、>>続きを読む
鑑賞記録。
近未来SFであるが、少々既視感を覚える。
シニカルに現代社会構造に置き換えたとしても既知感すら覚える為、鑑賞時期を逸した感の有る作品である。
公開当初に観ておけば、目新しさがあったかと思>>続きを読む
サルガドの見た世界。
ヴィム・ヴェンダース。
サルガドの傑作写真集『GENESIS』は、私の本棚にも鎮座している。
日陰から陽向に揺れる花を見る様な、精緻で、併し何処か悲しみの揺曳する様な彼のモノク>>続きを読む
まっさらな“自分”との邂逅。
フェデリコ・フェリーニ。
先日別の作品で思いがけず「カビリア」との再会を果たした。
この為彼女へ久闊を詫びる意味合いで鑑賞した作品である。
本作の現実と精神世界を往き来>>続きを読む
オーケストラと、ひと。
何故かFilmarksでのスコアは低いが、私の愛する小品である。
フェデリコ・フェリーニ。
本作はとあるオーケストラのリハーサルの様子を描くモキュメンタリーである。
構造的に>>続きを読む
シティ・ハンター愛。
フィリップ・ラショー。
漫画原作ながら、無駄な付け足しや広告業界のキャスト押しを受けず、忠実且つ敬意を込めて作成された作品である。
G.W.最終日、明日からの激務に向け、アゲア>>続きを読む
─ふと、思い立った。
薫風香る麗らかな午後、レモンのサングリアとキウイのカプレーゼをつつきながら、ユルい作品を観よう、と。
そこで選んだのが、この作品である。
ウェス・アンダーソン。
先日『犬が島』に>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
欺瞞と告白、服従と隷属。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
同性愛である女性の姿を通し、ジェンダーとしての「開かれた女性像」と現実との相違を提示する室内劇、会話劇である。
ファスビンダーの作品>>続きを読む
孤独と愛、障害に就いて。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
老年の孤独な女性と移民のモロッコ人男性とのメロドラマである。
「考える、よくない。考える、泣くだけ─。」
台詞の印象的なこの作品は、>>続きを読む
逃避と救い。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
各々不倫をしている夫婦の、結婚生活の欺瞞と惰性、逃避を描いた作品である。
ファスビンダーのフィルモグラフィに於いて、中期に位置する作品である。>>続きを読む
日本の風刺。
ウェス・アンダーソン。
ドライヤー作品にて頭が固まった私が次にチョイスした作品である。
…が、正直全くハマらなかった。
極端に振り過ぎたか─。
個人的に、アンダーソン作品の魅力は、一見>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
海峡の通行税の徴収の為に造られたクロンボー城と、その礎となった中世クローオン城の紹介作品である。
デンマーク文化映画の発案で、ドライヤーが撮影した。
ナレーションによる構>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
長大橋讃歌。
海を渡る橋が大好きである。
島と島を“繋ぐ”と云う意味合いもそうであるが、何より壮大で、渡る爽快感の有るのが佳い。
山口の角島大橋、沖縄の古宇利大橋も気持ち>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
ホルンの音色から始まるこの作品は、デンマークの彫刻家、ベルテル・トルヴァルセンの作品紹介映画である。
この作家の、シンプルで白さと優美さの際立つ作品群は、コペンハーゲンの>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
交通安全に関する広報作品。
原作はノーベル文学賞作家、ヨハンネス・イェンセンによる同名小説。
港から約70km離れたフェリー乗り場へ急ぐカップルの行く末を描いた作品である。>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
癌早期発見への啓蒙作品。
デンマーク政府コミッティー発の癌予防広告映画である。
政府による圧力の有る教育映画にも関わらず、作品内に時間の流れが存在し、ドライヤーの作家性と>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
デンマーク田圃部に於ける教会の建築様式の変遷を辿る作品である。
一般に本邦でも、時代を下る程に寺社仏閣は華美にごてごてしくなる傾向が有るが、北欧デンマークも同様で、原初期>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
水質に関する公衆衛生の在り方。
田園地帯に於ける井戸水の水質汚濁に関するドキュメンタリー作品。
『母親支援』と同じく、デンマーク政府企画の広告・講習様映画である。
矢張>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
デンマークの公的機関、母親支援に就いてのドキュメンタリー作品である。
本邦にも母子生活支援施設に代表される各種児童福祉施設が有るが、その運営は地方公共団体や民間に委託され>>続きを読む
遠くのものを近くに見る魔法。
ウェス・アンダーソン。
先日、この監督固有の鑑賞方法をマスターしたと自認している私が、二匹目のドジョウを狙って鑑賞した作品である。
…ふっ、遂にウェスの鑑賞方法までマス>>続きを読む
街に生命を吹き込む行為。
ウェス・アンダーソン。
『ダージリン急行』の頃から、私はウェス・アンダーソンがとても苦手である。
彼の何を言いたいのか曖昧模糊とした作風、テンポの良過ぎる飄々とした構成も然>>続きを読む