壁を挟んだ、背中合わせ。
春の夜の香り。
春宵一刻 値千金
女有残香 月有陰
歌管楼台 声細細
有情鞦韆 夜沈沈
─少し生々しいが、改変。
故人への政治責任の追及。
テンギズ・アブラゼ。
『祈り三部作』の掉尾を飾る作品であり、スターリン主義への批判と絡めて紹介される事の多い社会派ドラマである。
個人的にアブラゼ作品の魅力は、強度の高いシ>>続きを読む
鑑賞記録。
レゾ・チヘイーゼとテンギズ・アブラゼによる寓意に富んだ作品である。
ショットの圧は少なく鑑賞は為易いが、劇伴が仰々しく煩い。
カンヌの短編最優秀作品賞受賞作であるが、物語性を重視した個人>>続きを読む
因習と真善美。
テンギズ・アブラゼ。
『祈り三部作』の第二作とされる。
村人達の持つ牧歌的な雰囲気の微笑ましく暢びやかな一面と、残酷且つ頑迷、因襲的な裏面との対比を見せ付ける作品である。
マルチカラー>>続きを読む
宗教・因習の排他性と桎梏、人間愛に就いて。
ジョージア、テンギズ・アブラゼ。
同監督の『祈り三部作』の嚆矢濫觴となる作品。
峻厳なコーカサス山地を舞台に採った、映像叙事詩である。
正邪の象徴を登場さ>>続きを読む
「自分の小屋を建てよう」。
ベーラ・タル。
タルの初長編にして、後の彼の作品に通底する「不協和音」を題材に採った作品である。
多人数の同居する狭い一室は、その儘多民族国家・ハンガリーの姿とシンクロす>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
神、サタン、女性。
ドライヤーの長編第二作。
グリフィスの名作、『イントレランス』にも似た、四つの時代の独立したエピソードで構成される作品である。
『イントレランス』を特>>続きを読む
カール・Th・ドライヤー。
我儘王女の教育。
本作は元フィルム毀損の為、一部スチルと字幕を充てたデジタル修復版である。
テンポの乱れやストーリーの飛躍等、其の弊害への補完が鑑賞者の想像力に要請される>>続きを読む
鑑賞記録。
汚れつちまつた悲しみに
なにのぞむなくねがふなく
己の心の汚れ具合、劣等感を量るのに、斯う云う作品は丁度良いものである。
…前半、「仲悪いのに、息ピッタリやん」と笑って居たのに、何だこ>>続きを読む
メランコリックでほろ苦い余韻を残す佳作。
フランコ・ピアヴォッリ。
本作はイタリア、ロンバルディア州の小さく牧歌的な村を舞台とした、セミドキュメンタリーである。
特定の人物像で無く、“人々の暮らす村>>続きを読む
スロヴァキア、ファトラ山地。
貧困の中、大地に根差して生きる老人達の心の在り処を捉えたドキュメンタリー作品である。
モノローグとインタビューから成る作品であるが、所々にスチルを交え、老人達の顔に刻まれ>>続きを読む
鑑賞記録。
原作はレフ・トルストイ『にせ利札』。
善悪の波及を示した名作である。
本作の内容は、批判となりそうなので、レビューは割愛する。
大変申し訳無い。
色々と物申したいが、─まぁ、止めておこ>>続きを読む
孤独の顔。
シャンタル・アンネ・アケルマン。
前作『故郷の便り』に於いて、“異邦人としての孤独”を画面へと表現したアケルマンが、別の側面からの孤独感にフォーカスを当てた作品である。
本作もアケルマン>>続きを読む
リテラシーの奨め。
久し振りの監督作品であり、昨今の本邦に於ける「ネトウヨ」の皆様方のご尊顔が思い起こされる作品である。
ヤンチョー・ミロークシュ。
オーストリア帝国時代のハンガリーは、従属的な立場>>続きを読む
鑑賞記録。
シャンタル・アンネ・アケルマン。
最初は騒々しいNYの街並みと、頻繁な手紙の朗読。
それが後半に入るに連れ、余白の多いショットが目立ち始め、手紙の間も開き勝ちとなる。
街往く人々は皆固い>>続きを読む
人来たり、人立ち去りぬ。
トーマス・イムバッハ。
バシュラールの言う“縦横”の時間軸を敢えてずらす事で、鑑賞者へ想像を促す作品である。
本作は三つの要素から成り立っている。
一つは監督であるイムバッ>>続きを読む
鑑賞記録。
ストレスフルで、気分転換したい時には、トム・クルーズ。
それにグリルした生ソーセージとビールで乾杯!
「自我」の拡大。
シャンタル・アンネ・アケルマン。
初期アケルマンらしく、彼女のポートレート的な色合いの濃い作品である。
瑞々しい感性で、「自分(アケルマン)とは何者なのか?」を表現している。
アケ>>続きを読む
大人と子供。
ジョルジュ・ランパン。
原作はドストエフスキーの名作。
其の荒筋を忠実に描いた作品である。
純真で子供の様なムィシュキン公爵を演じるのは、ジェラール・フィリップ。
原作は文庫本でも15>>続きを読む
素晴らしい。
ジョセフ・コシンスキー。
前作はご存知トニー・スコットの名作。
亡き父に手を牽かれて映画館へ連れて行って貰った、懐かしくも戻れないあの頃を思い出す作品である。
本作に就いてはレビューを>>続きを読む
フレームインフレームに由る習作。
ニューヨーク、マンハッタンのホテルを撮影した、抽象絵画的な作品である。
シャンタル・アンネ・アケルマン。
ホテルエレーベーターの中からのカットでは、ライティングに拠>>続きを読む
シャンタル・アンネ・アケルマン。
アケルマンがニューヨークへ移民後、自らの部屋をぐるりで撮った作品である。
決して広いとは言えない部屋であるが、ライティングビューローやマホガニーの曲面が美しいキャビ>>続きを読む
心象風景。
イヴ・アレグレ監督作品。
私は個人的に、他人の心象風景を観せる作品が好きである。
古くはジャン・エプスタインの「フォトジェニー」で知られる表現方法であるが、本作も全編に渡り、その手法に則っ>>続きを読む
鑑賞記録。
申し訳無い。
ストーリーライン及びショット、モノクロームフィルタ、唐突に入るコメディ要素等、演出のあざとさが鼻に付いてしまい、全く入り込めなかった。
また、人物像も浅く思える上、何度か挿>>続きを読む
『巴里三部作』の掉尾を飾る作品である。
監督は、ルネ・クレール。
ランタンを持ち上げ、視線誘導するファーストショットに引き込まれる。
本作もカテゴリとしては、『詩的レアリスム』の範疇に入ろうか。
各>>続きを読む
資本主義と大量消費社会へのアイロニー。
ルネ・クレール。
後のチャップリンの名作『モダン・タイムス』へも影響を与えたと言われる作品であるが、個人的にはジャック・タチの『プレイタイム』辺りにも通底するも>>続きを読む
当たり籤を廻る古典的ミュージカル・コメディである。
ルネ・クレール。
トリュフォーの言う「巴里三部作」の内の第二作。
本作のストーリーも、「当たり籤を廻る」と云った言葉が示す通り、古典作品あるあるで>>続きを読む
19世紀初頭、巴里の若者の姿を捉えた、愛すべき小品である。
監督はルネ・クレール。
個人的にこの人の作品のジャケットには、毎度小洒落た印象を受ける。
シンプル且つノーブルで、内容はさて置きジャケットに>>続きを読む
鑑賞記録。
本作に就いてはフォローさせて頂いている皆様方の絶賛レビューも多く有る手前、考察に就いて贅言を費やさない。
ただ、私には正直本作は、「三上」と云う男の性格をデフォルメし過ぎ、綺麗事で終わ>>続きを読む
鑑賞記録。
作品名、『ドリーム・キーパー』─。
あの一葉が、本作の全てを語っていよう。
稚拙な言葉で本作に解説を付け加えるのも蛇足である故、レビューはこれ迄とする。
鑑賞記録。
人生の不毛。
ミケランジェロ・アントニオーニ。
この監督特有の物悲しく切ない映像詩に、テーマ性とサスペンス性を載せた名作である。
主演はジャック・ニコルソン。
本作の内容に就いても、先>>続きを読む
曾てのチームメイトを尋ねる旅。
ガブリエレ・サルヴァトレス。
男同士の、各々主張するも遺恨を残さない、そんな友情を描いたロードムービー。
本作のストーリーラインは至ってシンプル且つ明確で、異国モロッ>>続きを読む
鑑賞記録。
マノエル・ド・オリベイラ。
恋患いと死生観、と云った主題は解るし、美しい画角のショットも多く有るが、レフ板を中て過ぎてイザクがCGの様に周囲から浮いている様なショット、対話中の相手が静>>続きを読む
卒爾ながら、尋ねよう。
レビュアーの皆様は、全く意図しない時、皆目意識すらしていなかった言葉を、ぽつりと呟いてしまった事は無いであろうか。
私は、ある。
今日、遂にやってしまった。
代表以下の同僚>>続きを読む
仲代達矢、独壇場。
岡本喜八。
個人的に、「最も映画の出来る事、出来ない事を割り切ってるなぁ」と感じる、我らが喜八先生の作品である。
原作は中里介山に由る同名小説。
因みに当時「白船温泉」とも名乗って>>続きを読む