Kuutaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.9

「アメリカの罪」がついて回る男。既に出たカード=過去という縛りを意識しながら、勝率を計算するカードカウンティングで生計を立てている。

アブグレイブ刑務所のイメージは、誰もいない軍人刑務所から、昼夜の
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.1

・モノローグを除いて黙るモリー、オセージ族と聖書の言葉を借りるヘイル、ヘイルの言葉を鵜呑みにするアーネスト(黙れと言われても黙らない)、歪んだニュースを伝えたかつての映画。

スコセッシは沈黙してきた
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.7

IMAXレーザーと通常版で計2回鑑賞。

▽総評
ゴジラパートの100点と人間パートの50点の往復で75点。浜辺美波がぶら下がるやつ、褒めている人も多いが自分はダメだった。車両を咥えた姿に「ゴジラが帰
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台風クラブ 4Kレストア版(1985年製作の映画)

4.2

お前みたいにはならない、と言われた三浦友和が窓を開け、不恰好に雨を浴びる一連の流れで作中の彼と同じ年齢の私は死にそうになった

時間をかけて推敲していきます。メモをとりあえず投稿。

冒頭の息継ぎが全
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永遠の0(2013年製作の映画)

2.6

山崎貴と向き合う⑤

全然ダメ。

「アルキメデスの大戦」は最悪の状況に向かうドラマをブラックコメディに近い形で描いていた。間の抜けた撮影、脚本、編集が、悪夢的イメージを増強しており、山崎貴の映像が良
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.6

山崎貴と向き合う④

対米開戦に突き進んだ非合理的な思考、機能不全な組織の象徴としての戦艦大和の建造計画を、若き数学者が阻止しようとする。

「最も合理的であるべき組織の非合理な慣習に計算で立ち向かう
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ALWAYS 三丁目の夕日’64(2012年製作の映画)

2.7

山崎貴と向き合う③

誰にやれと言われたわけではないのだが、サボっていたらゴジラの公開が迫ってきたので慌てて再開。永遠の0、ドラ泣き1作目、アルキメデスの大戦辺りも見る予定。

・東京タワーの真上まで
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.1

ヒッチコック大好きおじさんによる全力おとぼけノワール。画面が暗めな上、アッティカス・ロスとトレント・レズナーの音響が素晴らしい作品なので、映画館で見るのをオススメします。

・「アドリブはアカン絶対ケ
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.7

評価が割れている印象だが、こういう普通の新作SFが定期的に見られたら私は満足です。ギャレスらしくルックは良く、王道とオタク心をミックスした展開はとっ散らかっている。

・ベトナム戦争だけどワーグナーで
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.4

関東大震災100年に合わせ、現代的テーマを織り込みつつ福田村事件を再現する、この企画の姿勢には100%同意するし、描こうとしたものは描けていると思う。

しかし映像作品としてどうか?と言われると、これ
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.5

現実とフィクションの境界が溶け出した世界を描く作品が、近年はVRの普及の影響もあるのかかなり増えている。今作は「ゲームが現実を塗り替える」ことを本当にやってしまった実話。タイムリーな題材だ。

ゲーム
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ミャンマー・ダイアリーズ(2022年製作の映画)

3.7

決して良い表現ではないが、「後味の悪い」作品だった。

ミャンマー発のドキュメンタリー。2021年のクーデター以降の社会の混乱を、市民撮影の実際の映像と、現地の映像作家による再現ドラマで描く。生々しい
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.3

終始楽しかったです。一つのシーンに感情がいくつも流れている。喜んでいたと思ったら悲しんでいる。良さげな雰囲気になった途端、台無しな発言をしてしまう。七転び八起き、感情の起伏の繰り返し。一面的に人の気持>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

耳人間でニコニコしてたら「あれは上辺だけの表現」みたいに言われててごめんなさいってなった

いろいろ取りこぼしてそうですが私なりの整理。

①肉体を使ったアートで常識を挑発する立場。新たな臓器が勝手に
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.2

「天が許し給うすべて」は昔見たが、良すぎて自分にはまだ言語化出来ないわと何年もレビューを放置したままになっている。ファスビンダー翻案の今作は安定の面白さだった。そろそろサークも見返そう。

・昼食中に
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サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版(1966年製作の映画)

3.8

インナー適当でも上着ちゃんとしてたらええやろ精神、モテないから金が貯まる人生、そんな男をジャンピエールレオが演じるのだから支持せざるを得ない

バイトでサンタの衣装に身を包むことで、失敗続きだったナン
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わるい仲間 4Kデジタルリマスター版(1963年製作の映画)

3.5

初手ハゲ煽りやめろと思ったら最後にハゲネタ回収してきてやるな…と思った。

俺なら「切腹」観に入って映画が終わっている。ずっと歩いていて、ずっと見ていられる。カフェでの会話シーンですらガラスに反射した
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トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.9

変な映画だったなあ…。終始夢を見ているような、なに見せられてるんだ感

・真っ暗闇で「帰りたい!!」。完全に水曜どうでしょう。気分は最悪なのに死ぬほど景色が綺麗なのがイラつくって大泉洋が言ってた

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ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.1

飲み屋のおばちゃんのくだりキッツイ…。IMDbによると、この場面の彼女は撮影されていると知らず、演技ではなくて本当に自分の歌が何度も批判されていると思ったらしい。倫理にもとるレベルで人を傷つけることで>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.8

マッチボックス20で爆笑。あの何とも言えないこぶしを再現するライアン・ゴズリング最高だった。原曲を聴いたことがない方はぜひ聴き比べてほしい。

今年一番楽しみにしていた新作。
「役割からの解放を望み、
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

タイトル通りの暗中模索。トムの無限の欲望が筋になる。AIに書けない脚本があるのだと、自らアクションで証明しようとする企画に見える。楽しかったー

・デパルマは正しかった
テレビから映画に移行した1作目
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フー・ファイターズ/バック・アンド・フォース(2011年製作の映画)

3.5

フジロック良かったなぁとまだ浸っている。

死の痛みを抱えながら激しく音を打ち鳴らした去年の追悼ライブから印象は変わり、テイラーの不在を取り込んでまた一つ凄みを増したような…。

フジロックでは、テイ
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秋日和(1960年製作の映画)

4.0

小津は東京タワーをどう撮るのか

ど頭がそれなのでネタバレですらないが、上が途切れているし下も途切れている真ん中辺りを、画面中央に据えている。「三丁目の夕日」を見ていると未来への希望の象徴に感じられる
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

3.6

なんとなく2と3は飛ばした。

デパルマ演出のヒッチコックのような妖艶なサスペンス感、騙し合い要素はなくなり、情報をギュウギュウに詰め込んだ、現代的なアクション映画に変わっている。カーチェイスに砂嵐を
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.8

公開当時にローグネイションを見ただけ、くらいのシリーズ弱者なのでとりあえず一作目を見る。

・テレビドラマを飛び出した映画への移行、主役の交代、ある女性を巡る騙し騙されと、今作のテーマが凝縮された冒頭
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ドキュメント サニーデイ・サービス(2023年製作の映画)

4.0

ラーメン食ってカレー食って、ライブをやって機材を片付け車で移動する。関係者のインタビューを屋内のフィックスで収めるのとは対照的に、曽我部、田中両氏は運転中、食事中、散歩中に話を聞いている。「海賊のよう>>続きを読む

肉体の悪魔(1971年製作の映画)

4.1

合理的な思考を持つ牧師vsカトリックの血みどろバトルをナンスプロイテーション映画として、シスターたちの酒池肉林に重ねて描く。このジャンルの代表的な作品。

・貧しい人、醜い人、身寄りのない人が行き着く
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

【2023/07/16追記】
1回目の鑑賞で飲み込めなかったセルフオマージュについて考えがまとまり、私なりの整理はできました。

2つのテーマがくっついていると考える。①宮崎駿のアニメーション論②虚構
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ALWAYS続・三丁目の夕日(2007年製作の映画)

3.1

山崎貴と向き合う②

前作で2時間かけて描いた日常と、未来に向かって伸びる東京タワーを、ゴジラが理不尽に破壊する。日常描写の前振りが効いている分、画面外から現れた尻尾が鈴木オートを一瞬で潰す衝撃は、歴
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ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)

2.8

山崎貴と向き合う①

11月公開の新作ゴジラのビジュアルが発表された。もしかして面白いのでは、と少しだけ期待している。山崎貴の映画はデビュー作の「ジュブナイル」を劇場で観て以来、一本も観たことがない。
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.0

前作はハマらなかったのですが面白かったです。

オズの魔法使いを始めとする、テクニカラーで彩られた1940-50年代の映画に、スプラッターホラーを持ち込んでいる。

前作は「ホラー映画を真似るホラー映
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

3.7

短評。紳士が金髪を好むように一つの価値観で女を評価するなら、女も金や顔で容赦なく男を切っていく(男は五輪を目指して走り、マッスルミュージカルを演じる)。金髪しか見ていない男社会の「ジャッジ」に狂いを生>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

タイトルの通り、ミア・ゴスが若者と老婆の二役を演じ「昼=現在、ポルノ映画に出る若者=生」と「夜=過去、ホラー映画に出る老人=死」の2本線が交錯する。その間を映像=福音派のテレビ=Xキリスト=十字架が繋>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.5

想定よりずっと良かったです。ファンサービスありきの作品はクソだと思っているけれど、ラストのツーショットで泣いてしまい、私は普通にインディのファンなんだと思いました。

(インディにとってあの人との関係
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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

3.5

・公開時以来の鑑賞。冷戦と赤狩りのアメリカの空気に、この頃のCGの冷たい人工感がマッチしていると思った。セットがデカくて、引きの絵も多い。

スカルの行ったり来たりと連動したカーチェイスや、シャイアラ
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

3.8

・明らかにジョン・フォードなオープニング。カメラが馬の隊列に寄ると、乗っているのは子供(リバー・フェニックス)であり、彼は馬に飛び乗れない。フェイブルマンズを踏まえるまでもなく、今作は父としての西部劇>>続きを読む