たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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トムボーイ(2011年製作の映画)

3.8

よくある少年時代の夏休みの地味な一コマかと思ってたら、後半でまさかのびっくり展開を見せるセリーヌ・シアマ監督2021年作品。タイトルは「おてんば娘」という意味で、英語圏の人ならタイトルだけで内容がすぐ>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.6

あまり評判の良くない本作に不安を抱きつつ観たけど、ガールズムービーっぽい感じがなかなか楽しめた。辻褄の合わない部分が散見するのが気になったのと、主人公の特殊能力が地味なのがマーベルシリーズとしてアクシ>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.7

アフガニスタンに駐屯するアメリカ兵とアフガン人通訳者との友情を、スリリングな展開で描くガイ・リッチー最新作。この監督にしては珍しくシリアスな内容だけど、スタイリッシュなカメラワークにやっぱり彼らしさが>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

山荘で起きた転落事故をめぐる真相究明の顛末を通して、裁判とは真実を明らかにする場ではなく、結論を選択する場なんだという裁判の本質を見事に描いてた。最後までどんでん返しを疑いながら観てて、鑑賞後も実は真>>続きを読む

ミックステープ 伝えられずにいたこと(2021年製作の映画)

3.8

両親を事故で亡くした少女が、親が残したミックステープの曲目を辿って自分へのメッセージを確かめようとする話で、主人公が明るさを失わず健気にふるまう姿に泣けた。登場する数々の曲はほとんど知らなかったけど、>>続きを読む

イカとクジラ(2005年製作の映画)

3.6

両親の離婚をきっかけに、自分にとって偶像だった父親への感情が揺らいでいく青年を中心とした家族崩壊を描く、ノア・バームバック監督の2005年作品。無駄にプライドの高い父親が自作小説の価値を認めない周囲を>>続きを読む

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー(2023年製作の映画)

3.5

ジャンルを超えて幅広く活躍する多彩な音楽家であるジョン・バティステを追うドキュメンタリー。彼がカーネギーホールでの自作シンフォニーの一夜限りの公演を実現させるまでの軌跡と、グラミー賞で11部門のノミネ>>続きを読む

ミス・アメリカーナ(2020年製作の映画)

3.8

音楽界の第一線で活躍し続けるテイラー・スイフトが、舞台人としての表向きの顔の裏で抱える様々な心情を吐露する様子を捉えたドキュメンタリー。彼女の曲は全く知らなくて、その風貌からキツい性格かと思ってたら、>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

実際に起きたアンデス山脈の飛行機遭難事故の壮絶なサバイバルを描いてて、信じられないような長期間に亘る極寒生活の中で奇跡の生還に賭けて最後まで諦めない人々の姿にジーンと来た。エモーショナルな描き方が絵的>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

アリ・アスター監督の最新作は、中年男が不条理な状況に振り回されつつ、それまで避けてた母親との関係に向き合わざるを得なくなる話。「ヘレディタリー」「ミッドサマー」でも描かれた家族関係の恥部を晒すような題>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.6

大地震で世界が荒廃し、倒壊を免れたマンションで独裁的な社会を作る一人のいわくつきの男を描く韓国映画という要素が、「コンクリート・ユートピア」と被り過ぎてて面食らった。調べると、両作はあえて同じ世界線に>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

17世紀の朝鮮を舞台に、当時の記録に残る王朝内の謎の死を巡って盲人が真相の暴露に奔走するサスペンスの手に汗握る緊迫感にハラハラした。一介の鍼医に過ぎない存在が王朝の最高権力者と対峙するという、どう見て>>続きを読む

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.5

自分をいじめてたクラスメイトたちが殺人鬼に誘拐される現場を目撃した少女が、自分の取るべき行動に葛藤するスペイン発のB級ホラーで、グロ要素は弱いし展開もグダグダなのでいま一つ入り込めなかった。主演のラウ>>続きを読む

揺れるとき(2021年製作の映画)

3.6

フランスで貧しい生活を送る多感な少年の思春期を描いてて、主演のアリオシャ・ライナートの大人びた演技が恐ろしいほどリアルだった。少年期の性自認を題材にした作品は最近だと「ミツバチと私」「怪物」「ある少年>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

3.7

「ゴースト・トロピック」が良かったバス・ドゥボス監督作品で、男女の一期一会の出会というプロットが同作と似た描き方だった。都会の喧騒と自然の静けさが対比的に映し出され、セリフを極力抑えた後半ではほとんど>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

ビクトル・エリセ監督31年ぶりの長編で、前半が退屈だったけど、後半で話が動き始めてから惹きつけられ、ラスト10分くらいの映像マジックに完全に釘付けになった。「ミツバチのささやき」をスペイン内戦のメタフ>>続きを読む

フジヤマコットントン(2023年製作の映画)

4.0

すごく良かった!富士山の麓にある障害福祉施設で働く人々を暖かい目線で捉えてて、一人一人が持つ豊かな個性が愛おしい。「東京自転車節」の青柳拓監督が、健常者と障害者の垣根をすっ飛ばして現場に溶け込むことで>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.9

とても優しさに溢れた作品でジーンと来た。メンタルの障害を抱える男女二人が、適度な距離感を保ちながら互いを理解し合って前に進んでいこうとする姿に胸が熱くなる。上白石萌音の症状発症時の演技が怖いくらい上手>>続きを読む

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)

3.8

アフリカの飢餓を救済するためにポップス界の大物アーティストたちが集結し、たった一夜でレコーディングを行うという奇跡のような楽曲制作の模様を収めたドキュメンタリー。「ウィ・アー・ザ・ワールド」のレコーデ>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.8

離婚寸前の夫婦とそれぞれの浮気相手との煮詰まった関係性を一匹の飼い猫が引っ掻き回すという、今泉力哉監督の愛らしい小品。一筋縄ではいかない人の心の不思議さを、猫が客観的に見つめる感じにほのぼのしたムード>>続きを読む

ドン・カミロ頑張る(1953年製作の映画)

3.6

政治的意見がかみ合わない司祭と市長のドタバタ騒動を描く、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督1953年作品。冒頭で「ご存じドン・カミロです」という自己紹介に始まり、彼が地元を追われて辺鄙な土地に遣わされた経>>続きを読む

文化果つるところ(1951年製作の映画)

3.4

南海の島で原住民の生活を引っ掻き回しながら自滅していく男を描く、キャロル・リード監督の1951年作品。自分を救ってくれた船長の恩義を仇で返すしょうもない男を、「逢びき」「第三の男」のトレヴァー・ハワー>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.8

終電を逃した女性がその夜に街を彷徨い帰宅するまでの、ただそれだけの取り留めのない話。固定カメラを多用した静的な映像の中から「ありふれた日常に潜むちょっとした非日常」が浮かび上がるところに、同じ毎日を繰>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.8

面白かった!米株式市場を震撼させたゲームストップ株の乱高下の顛末を描いてて、専門知識に乏しく株取引の仕組みは良く理解できなかったけど、弱小な個人投資家と富を独り占めにするごく一握りの大富豪の対決という>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.5

孤島での更生プログラムを実践する男女3人を通してカルト宗教のおぞましさを描く城定秀夫監督作品。現実を逃れ、安住の地を求めて宗教に走る心理は分からなくはないけど、その心の弱さに付けこまれて利用されるのが>>続きを読む

Lift/リフト(2024年製作の映画)

3.5

凄腕の窃盗団がその腕を買われて警察組織に協力させられるというNetflixオリジナル作品で、スタイリッシュな映像と軽妙なテンポでサクサク観られるのは良いものの、観終わった後で何も残らないっちゃ残らない>>続きを読む

幼きものは訴える(1955年製作の映画)

3.7

終戦直後の日本を舞台に戦争孤児を取り巻く厳しい現実を描いてて、昨日観た「恋をするより得をしろ」の春原政久監督が同作とは天と地ほど異なるシリアスな題材を扱っててちょっと戸惑ったけど、堂々たる内容だった。>>続きを読む

恋をするより得をしろ(1961年製作の映画)

3.4

貧乏暮らしながら実はお宝を隠し持ってた清掃業の男をめぐり恋と儲け話が渦巻く騒動記で、清水まゆみ目当てで観たんだけど彼女は全くの脇役だったのが残念。でも小沢昭一の軽妙な関西弁が明るいムードを盛り立てて、>>続きを読む

子供たちは見ている(1942年製作の映画)

3.7

親の都合に振り回される子どもを描く、ヴィットリオ・デ・シーカ監督1943年作品。短い上映時間ながら、まさかの2部構成に驚いた。本作は「靴みがき」「自転車泥棒」といったデ・シーカ監督の代表作の前に撮られ>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.6

最初から最後までずっと変な空気が漂う奇妙なホラー。予想に反して観客を直接的に怖がらせる演出がほとんどなく、むしろ笑わせにきてるのかという演出に面食らった。でもごく当たり前の生活の裏に、もしこんな真相が>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.0

まさか本作で号泣するとは思わなかった。愛のない家庭に育った少女が親戚夫婦に預けられて人生で初めて愛を注がれる話で、原題の”An Cailin Ciuin”(静かな少女)そのままの内容なんだけど、作品そ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

面白かった!自殺によって死んだ身体をマッドサイエンティストに蘇生させられた女性がゼロから世界を再構築する話で、ある意味で神のような彼女に振り回される男がまさに「哀れなるものたち」だった。ヨルゴス・ラン>>続きを読む

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

3.8

現代のマケドニアを舞台に、キリスト教の古めかしいしきたりを笠に着た男性の根強い女性蔑視を描いてて、男からの罵詈雑言や暴力に屈しないペトルーニャの毅然とした態度に神々しさが漂ってた。それに比して寄ってた>>続きを読む

荊棘の秘密(2016年製作の映画)

3.6

政治家の夫の選挙活動中に行方不明となった娘の真相を追う妻を描くサスペンスで、驚くべき真相がどんどん明らかになる終盤が圧巻。いわゆる「女の愛情、男の薄情」を描いてて、母性狂気モノとも言える。ここ最近観た>>続きを読む

奇蹟は一度しか起こらない(1950年製作の映画)

3.5

一世一代の恋路を戦争によって踏み躙られる男女を描くイヴ・アレグレ監督1950年作品。ジャン・マレーとアリダ・ヴァリという豪華な組み合わせで、特にアリダ・ヴァリの初心な乙女から世間を知った大人の女性への>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.6

不倫相手の死をきっかけに自身の結婚生活の破綻に向き合わざるを得なくなる女性を描いてて、終始気まずい空気が異様にリアルだった。自分の感情を押し殺して夫に接する門脇麦が上手くて、彼女がついに感情を爆発させ>>続きを読む