otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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マローダーズ 襲撃者(2016年製作の映画)

4.1

 FBI主任捜査官モンゴメリ(C.メローニ)がメキシコで銀行家ヒューバート(B.ウィリス)を刺す。これが交換殺人と認められるか?ウェルズが関わる11の殺人、その半数は謂れのない死であり、それ等へのけじ>>続きを読む

地獄の蟲(1979年製作の映画)

4.0

 畜生働きも厭わない盗人黒雲團十郎が田村高廣で、七名の徒党を組んで高利貸一家八名を殺め六千両を奪う。初冬の山中を国境へ、その道々さらに行きずりの五名を殺し足取りを隠そうとするが、殺した中の巡礼一家三人>>続きを読む

スキャナーズ(1981年製作の映画)

4.1

 あまり考えたことがなかったが、言われてみれば貧乏ゆすりや誰かの尻を目で追いかけるのにも意識が伴う。さらには、暴力にも冷徹な目的意識、嗜虐の快感、癒えない怒りがあり、同時に暴力を受ける側の恥辱と怨念、>>続きを読む

氷点(1966年製作の映画)

4.1

 「汝の敵を愛せ」とする崇高な主張が空念仏と聞こえてしまう。そこが船越英二のなんともこせこせした印象の困ったところだ。加えて妻、若尾の不倫疑惑への報復意識とこの対照的な「愛せ」との諭しが船越医師におい>>続きを読む

かげろう絵図(1959年製作の映画)

3.4

 雷さまがさっぱり出てこない。出て来ても話の本筋に中々噛んでこない。消息不明な人々を探偵するサスペンス・パートは結構だし、志村先生と酒盛りして油を売ってるのもおもしろい。ただそればかりでは人気も出まい>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.2

 義父ヴィンセントの告げる「おれに任せろ」がどんな決意を秘めているのか。ヒトではないかも知れないものを生んでしまった「息子」アレクシアがお産で死に、実の息子もとうの昔の山火事の中で失い、三度目の正直で>>続きを読む

海女の化物屋敷(1959年製作の映画)

3.5

 菅原文太26歳、子どもの海パンが穿けてしまうという。新宿の勝俣五郎となる10年前、風貌も声音も老けたような、起用してもどこが面白いのか分からないような雰囲気であるのに、その不器用そうな昼行燈のB級感>>続きを読む

プリズン・エクスペリメント(2015年製作の映画)

4.0

 制服にサングラスをもらうまでもなく小学生だっていじめっ子はいじめっ子だろう。仮にもスタンフォードの学生がと言っても夏休みの2週間を監獄で暮らしてもいいという人間は独特のプロフィールを持っていそうで実>>続きを読む

NAGISA なぎさ(2000年製作の映画)

4.0

 夏草なら秋には枯れるし、出て行ったものはネコでも人でも戻ってこないし。それでぽっかり空いた後を放ってなぎさも背伸びしてはみだしてゆく。
 それでも出て行ったやつにどんな違和感を覚えるのか、哀惜でもあ
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影なき狙撃者(1962年製作の映画)

4.0

 思えば随分のんびりした時代だ。大統領候補者の警護で駆け回るのは諜報系軍人ふたり?縦割り行政でシークレットサービスが動かないのか、候補者風情を警護する謂れは未だないのか。対して軍人は一報入れば千人動員>>続きを読む

さよならゲーム(1988年製作の映画)

4.0

 むかしは身上書の宗教欄に地元のチーム名を書くヤツがいたなんて聞く。このフィールドで磨かれた名手が神の子よろしくメジャーへと昇ってゆく。彼を見送る野球狂たちにはここが昇天の聖地と感じられたのか?

 
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台風騒動記(1956年製作の映画)

4.0

 台風で豪い被害を受けた富久江だが、やっと戦後ではなくなった程度の日本にはろくな支援が出せない。仮設住宅やら生活・復興支援どころか、やっと文部省の政務次官を突っついて鉄筋校舎の費用を出させるくらいが関>>続きを読む

スティック(2019年製作の映画)

4.0

 なにかと不穏で変なこの映画、父親は何らかの知的障害を託っているのではないか?この疑いがヌラりと躱されてるようで気持ち悪い。
 しかしながら、この父も「犬を飼いたい」と木の上に立て籠もる娘アーヴァに向
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青春の夢いまいづこ(1932年製作の映画)

3.7

 関東地震から10年。小型カメラで撮られた発災直後の動画に見える火災の煙、物情騒然、荒れ荒れしたあの様子から10年である。
 P校のモダンダンス部かダイエット講座か知れない騒ぎが応援団の余興だそうで、
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真空地帯(1952年製作の映画)

3.6

 たとえば、敵の陣地を落そうとして擲弾兵を送り出すとすると、敵陣に接近する彼らを援護する射撃がいくつも必要になる。その援護射撃は敵陣からの応射に耐えて被弾覚悟で撃ち続けなければならない。
 このとき、
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トラベラー(1974年製作の映画)

3.9

 悪事のほうが頭がよく回るのはなぜだろう?別にプロサッカーをこの目で見たいというのが悪なわけではない。それを今日明日で叶えようとすると、ついつい阿漕な金儲けに走らざるを得ないというのであって。
 イス
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カポーティ(2005年製作の映画)

4.1

 全国紙といえる新聞がないアメリカでNYの新聞にはるか数千キロ、カンザス州の殺人事件が載るのは、その状況が稀に見るものだったからだろう。怨恨も物取りも縁遠そうな農場一家4人の死以来、不可解な犯行が連続>>続きを読む

この首一万石(1963年製作の映画)

4.0

 九州の極小藩に大権現ゆかりの名槍が伝わっている?武家の面目を通すためとっさにでっち上げた「あちゃら丸」なのにそれが平気で通用してしまう辺り、そもそも陣屋大名ながら将軍家も一目置く家康に恩を売った武門>>続きを読む

キラー・インサイド・ミー(2010年製作の映画)

4.0

 アフレックの呟く裏声が蚊の鳴くような調子で、聞いているうちに、これが「人殺し」 上っ面はテキサスの常人で紳士を装った医師の息子、生業は保安官助士の男ルー、こいつのこころの獄で締め付けられてる「人殺し>>続きを読む

ロシアン・ルーレット(2011年製作の映画)

4.0

 ウクライナの宇宙望遠鏡は地球を観察する。口の悪い人間は「スパイ衛星」なんて腐すけれど、露欧間で中立を維持していた時代、保守要員は民間任せで弛みっぱなし。どうせ本国の政治も行政も汚職で緩みっぱなしだか>>続きを読む

レインマン(1988年製作の映画)

4.2

 いかにダスティン・ホフマンといえども役が自閉症者とあっては演じるほどにこちらの度量が試されるような具合で落ち着かない。まして300万ドルのおまけ付きなわけでもなし。
 だが、そこここに現れるダスティ
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燃える平原児(1960年製作の映画)

4.1

 ケネディ、ジョンソン、ニクソン、彼らもこれを聞いただろうか。プレスリーによるカイオア族・白人混血の男の最期の言葉「いつか偏見のない時代が来るはずだ」これこそ、同時代の三氏で導けと託された世界だ。>>続きを読む

シザーハンズ(1990年製作の映画)

4.0

 むかしむかし、ざりがにを見たことのない町の事でございます。
 広場に現れたざりがにを見た人々は、名前は、どこから来たかと尋ねてもこたえないざりがにに「何者だろう」と興味津々。そのうちにハサミを持って
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

4.1

 日本では「おかあさんといっしょ」なんてのがあるが、おかあさんが一緒に出ることはない。ところがこちら「お隣さんといっしょ」にはホントのお隣さんのようなおじさんが出てくる。親と親族を飛び越して接する相手>>続きを読む

帰れない二人(2018年製作の映画)

4.0

 昔の二人には確かに危険な輝きがあった。土地の顔役の御用聞き、強面連の束ね役で名の知れたビンとその相方のシャオ。ビンがひとたび「関羽様」をお連れすればどんな鉄面皮野郎も不逞を通せない。しかし、時代の移>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.3

 観衆の目に触れない所で映画4つ5つ分ぐらいの物語が起きていると思えばいいのだろう。
 たとえば、健二が生国を捨て凪沙となった経緯、一果が言葉を封じ椅子を投げて敵意を示すようになった経緯、これらは話の
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地下鉄のオーディション(2019年製作の映画)

3.4

 いま気が付いた。ソウル地下鉄車が採用した握り棒のカーブはダンスシーンの助けになっている。
 結構なのはそこまで。彼女のスマホからは彼女の一人ダンスにあっけにとられた乗客の目を丸くする様子が写っていた
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ブレスレス(1983年製作の映画)

4.3

 「なってねぇな」とジムは呟いた?きっとそうに違いない。フランス野郎の頭ん中はどうなってるのか?あんなザマで駆け出したって一ブロックも行けやしない。それで「サイテー」だと、そりゃあそうだ。女もサイテー>>続きを読む

ワン・デイ 23年のラブストーリー(2011年製作の映画)

3.9

 詩を賦すのであれドラマを描くのであれ、それはエマのこころの世界の反映である。そこに立ち入る人物がその場にふさわしいかどうかエマが慎重になるのは当然である。近づけては遠ざけを繰り返して23年、デクスタ>>続きを読む

CASSHERN(2004年製作の映画)

4.1

 どことなく説教染みた感じで。独特な白黒ざらざら、写真を切り張ったような、荒みも顕わな絵作りや世紀的停滞を響かせるスチームパンク的蒼古感、これらの断片に次ぐ断片のラッシュが強烈に苛立たし気な印象を高揚>>続きを読む

Ribbon(2021年製作の映画)

4.0

 田舎の引き籠り老人にも余命幾許もないのにと歯噛みさせたコロナの3年。では、挽回の余地たっぷりな若者はどうしてたか?
 孫世代にはピンとくるまい。彼らにはこののち年寄りの数倍、十数倍の時間とそれをさら
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霧の波止場(1938年製作の映画)

4.0

 ミッシェル・モルガンのあれが17歳とはとても思えない大人な風情が脱走兵ジャンのくたびれた様子を凌駕してしまい、この先どう転べばこの二人が対等になれるのか。ミッシェルに一目ぼれとおどけたように告げるジ>>続きを読む

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.1

 世界一幸せなフィンランドのママは最高の家族と一緒にこんなに輝いてます。なんて調子でネットに配信しているが、実際にママを幸せにしてくれるのは目指せチャンピオン、体操美少女のティンヤだけ。弟のほうはまだ>>続きを読む

マリリンとアインシュタイン(1985年製作の映画)

4.1

 アインシュタイン似、モンロー似、ディマジオ似ていない、マッカーシー似?ワル見せ?似せてはいるが当人ですとも言っていない上に、4人とも互いに出会った相手を必ずしも誰と正しくあるいは詳しく認識していない>>続きを読む

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.2

 πはトラを招き寄せて「僕は、ただ挨拶がしたかった。」という。ET相手ならその心持ちひとつで十分だろうが、父親なら二度とそんな軽率で早とちりな真似をさせたくあるまい。例え息子の人が変わってしまおうとヤ>>続きを読む

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.1

 "Cool hand Luke"の時代なら手っ取り早く縦型の棺桶、独房に放り込むなり、痛めつけるなり、所内で手の施しようがあったのだろうが、それから十数年後、世間の何がどう変わったのか、人道配慮なの>>続きを読む