otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.1

 荒っぽいのは信条?ところががさつで独善的な男のこころに神様と娘が同居している。その神様とは会った事もないはずなのに恐れ入るのはどういうことか?一方、娘にも今はおいそれと会うわけにいかない。親に相談も>>続きを読む

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

3.8

 所得が倍増したら物価は何倍増?税額は?なんて考えるようならこの映画はお呼びでない。サラリー倍増しに高速度の欲望がメラメラするような輩が求められる。
 この高速度というやつは、かねてより馬で駆ける貴族
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マンガ肉と僕 Kyoto Elegy(2014年製作の映画)

3.7

 女の目は男の何を見るためにあるのだろう。それを寄生し易さを測るのだとすると、代返を断らない、隣り合わせを断らない、居候さえ断らない、脅迫にも応じるなどなど。
 オスなんて強ければいいかというとそう単
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五番町夕霧楼(1963年製作の映画)

4.3

 からだが二つあればふた親と妹らにも会えたろう。三つあればおかあはん等にも挨拶できたろう。でも幾つからだがあっても正順にはもう会えない、だからこのからだは捨ててしまおう。捨てるなら正順が嫌った京で歪ん>>続きを読む

黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年製作の映画)

4.0

 900万も人がいるのに誰も「俺」に見覚えがない。
 だから、秘め事を続けるには好都合なんだが、殺人事件の不在証明となるとどうも不都合だ。やっと思いだした新大久保でのご近所さん小林氏は生憎の秘め事中で
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十三人の刺客(1963年製作の映画)

4.1

 なかなか小気味よいのが中仙道下松での斉韶候通せん坊の件である。鉄砲隊を繰り出しての阻止に倅夫婦を奪われた牧野采女も鞘の勝ちを収めたと言ってもまあいいだろう。
 ならば、それで発砲を命じることができた
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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.0

 魂ひとつに身体もひとつでは我を持て余してしまう。そんな思いで30年、多くの願いを殺し続けてもう限界。
 夜の鏡、疾うに若くなくなった自分を映しながら、心の底にたまった自らの死屍累々たるを感じて、生き
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タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)

4.0

 タミー・フェイの瞳を守るのは付け睫毛、彼女を見る人がいる限りこの衛兵が列を解くことはない。その外堀として永遠に消えないアイラインと眉。出城のように神の愛を説く口周りには黒い縁取りがありました。
 死
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パン屋のビリー(2014年製作の映画)

3.8

 近所のアライグマに見せてやりたい。一緒にハクビシン、タヌキ、ネズミ、イタチ、マムシ、屋根裏の名無し、一年ご無沙汰のイノシシ、今年初お目見えのキツネにも、どこのうちのか知らないがネコたちにも、いつか来>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

4.1

 野球とは縁を切ったはずの男、レイが球界から縁を切られたジョーを呼んでくる。
 そのためにすべて自腹を切って農場の一角をつぶし球場にしてしまう。彼とその家族には死んだはずのジョーが見えるし、謎めいたお
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百万粒の涙(2015年製作の映画)

4.1

 ボルボ760GLEに乗る北仏リール人。30年もそれに乗り続け暖房も効かず、雨漏りもホイールキャップも直さずといつから決めたのだろう。
 フランス中一日以内でどこにでもたどり着けるのに、何日かけて嫌わ
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幕末(1970年製作の映画)

-

・坂本龍馬が22にして二日酔いのごとくむさくるしい。
・後藤象二郎が50歳三船敏郎にしか見えない。
・英国旗のデザインが出鱈目である。10秒足らずの事には念を入れない所存か?
・近藤「まんじゅうや」切
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.7

 「梅切らぬバカ」に先立つのが「桜切るバカ」梅は切らなくても当の梅はへっちゃらだが、桜は切れば菌に侵されやすく芳しくない。で、こちらはどんな「桜」を切ってしまう、それとも切ってしまったんだろう。切られ>>続きを読む

血と海(1965年製作の映画)

3.9

 和泉雅子の血の海じゃと?じじいの心臓もヌォーっとおどりだそうというもんじゃ。と、まあこんな感じ。出演最高齢の東野英治郎、実は58でオレより若い紋造じい。いとこで海女頭のトマばあさんが急におっ死んで、>>続きを読む

東京画(1985年製作の映画)

3.8

 「東京」をキーワードに小津映画のなにかを83年的に解明しようという?それとも小津の現場こそ東京と感じて小津好みな芝居やセットの雰囲気が町中に溢れていた事を30年後の東京探訪で証明したかったのか?とこ>>続きを読む

ブワナ・トシの歌(1965年製作の映画)

4.0

 T大学地質研究所の人々の夢はでっかく膨らんでいった。地球が生まれ出た頃の秘密を解くカギを求めて、まだ誰も知らない東アフリカの奥へ乗り込んでいく。渥美清のこの前置きを聞いて、思い出すのが手塚治虫の「ジ>>続きを読む

カラビニエ(1963年製作の映画)

3.8

 頭に十字ネジが2本、これでヒンケル総統を思い出されては王様も形無しだ。しかし、王たるもの、頓馬な独裁者と違って喜劇王風情のおちゃらけに翻弄されはしない。ビシッとネジ、ではなく徽章の十字の天地水平を定>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.3

 戦時経済と言っても、石油は自給できるし電力の開発も供給も支障なし。戦争のおかげで原爆も作れるほど人材にも恵まれ、鉱産資源も農産も南北米州挙げて体制を組める今、何の憂いもない。つまり米本国は戦争景気で>>続きを読む

バタリアン(1985年製作の映画)

4.0

 35年前、残業やり放題な日々に冷や水を浴びせた週休二日制。明日は出禁の土曜日、テレビが死んでる借家から戻った実家で待っていたのが「バタリアン」

 新聞紙上でタールマンもオバンバもお馴染み。で、ばか
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おはん(1984年製作の映画)

4.0

 決しておまえに飽いたのではないから、実家の者に迫られて離婚こそ応じたれども女房の縁を絶ちはしないとほのめかす。いったい正気なのか?
 気を惹かれて放っても置けず、あちらにやさを替えるといいわけしなが
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CURED キュアード(2017年製作の映画)

4.0

 メイズ発症中に起こした事件は罪を問えない。となると、その事をどう生かせるか弁護士なら考えてみたくなるだろう。例えば、メイズ騒ぎの最中、どさくさ紛れに横恋慕した相手の亭主をその弟に殺させるにはどう段取>>続きを読む

大虐殺(1960年製作の映画)

4.0

 敗戦から15年、日米安保条約改定の期に日本人が養った旧軍とはどのようなものであったか、関東大震災の混乱に乗じた不穏分子掃滅に遡って説き直して見せる。そんな軍または警察に対し当て馬のように引き合いに出>>続きを読む

人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)

4.0

 後年、橋本治がイチョウの紋を背負って「止めてくれるな」と見得を切った相手はおっかさん。これはほかに言い置く女がいないからである。
 それを去る半世紀前、飛車角が小金の親分の仇、奈良平を討ちに向かうそ
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映画女優(1987年製作の映画)

4.0

 映画ではきれいに飛ばしてしまった戦争と戦後がわざとらしくて気になる。ところが映画自体が溝口監督、'52年4月公開の「西鶴一代女」撮影半ば、みぎゃアと田中絹代が化けてぱったり終わってしまうから驚く。>>続きを読む

旅立ちの時(1988年製作の映画)

4.2

 子煩悩なテロリストの全米逃亡17年。人並な暮らしも生き方も背を向けて「おれたち家族主義」を貫いてきたのに、遂に限界を認めざるを得ないようだ。
 思春期らしい反発を示したことがあったのか長男が再びの逃
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華麗なる一族(1974年製作の映画)

3.8

 佐分利信による一家の主の集大成は万俵一門の総帥。それなら、まだまだ総理大臣だって闇の何とかだってあるじゃないかという向きもあろうが、そんな、一国の頭と称しながら弱卒数千万を引き摺る選挙屋風情だの、お>>続きを読む

ピストルと少年(1990年製作の映画)

4.2

 姉に会いたい。喜ばしい事の何一つ期待できない日々に降って湧いた姉の生存ばなしに寝付けない一夜を波止場で明かして犯したのは拳銃強盗。一万円ばかりふんだくって、ありがとうと言い残せば罪一等軽くなる気もす>>続きを読む

卍 まんじ(1983年製作の映画)

3.7

 高瀬春奈の痴態醜態が、日暮れて道遠しな主婦園子のどん詰まり人生最終幕において断末魔の踊りを呈するが如くである。
 そんな内面地獄に引っ張り込まれたのが謎めいた光子。分かってか分からずか園子についには
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ナイト・ハウス(2020年製作の映画)

3.8

 いざ供述調書を取ろうとアルコールの醒めるのを待ったら起きたことをすっかり忘れてしまって、なんて気になるくらい主人公がよく飲む。不気味な謎にひとり立ち向かうのに酒で景気をつけなくちゃ堪らんのは頷けるが>>続きを読む

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

4.0

 元ブドウ農園主の一族郎党集まった三女の結婚式、そんな人混みをねらって身代金誘拐が起こる。攫われたのは次女ラウラの娘、16歳。
 狂言疑惑に始まって、スネに傷有りな撮影スタッフ、来賓者、やがて身内の犯
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.2

 250年前のご先祖様アグネスなら死んでしまう時分に20世紀末生まれのユリアは「世界最悪人間」と心中つぶやいて目の前の「最悪」をやり過ごそうとしている?
 その年でアグネスなら何人子どもを産んで、その
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不毛地帯(1976年製作の映画)

3.7

 米国の51番目の州というと、日本人なら当然自国を思い浮かべるだろうが、そうと聞けば英国人もドイツ人も日本の後塵を拝し52番目、53番目に落ちることを恥とするだろう。いつからそんな感慨を抱き始めたのか>>続きを読む

おもちゃ(1999年製作の映画)

4.0

 ヒトのおもちゃにされる我が身の軽さを嗤うような、ならば自分から「おもちゃ」と名乗って開き直るのはどうだい?
 この「おもちゃ」を幾らで贖うか競ってごらんと張ってみせるのが素の娼妓と違う芸妓の世界だ。
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髪結いの亭主(1990年製作の映画)

4.1

 髪結いの精はふと現れて、その時を知っていたかのように去ってゆく。それを幾度繰り返したのか数えてなどおるまい。世の中には髪結いの亭主に憧れる男など幾らもいるのだ。
 この男もまた知っていて、別れにもた
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マローダーズ 襲撃者(2016年製作の映画)

4.1

 FBI主任捜査官モンゴメリ(C.メローニ)がメキシコで銀行家ヒューバート(B.ウィリス)を刺す。これが交換殺人と認められるか?ウェルズが関わる11の殺人、その半数は謂れのない死であり、それ等へのけじ>>続きを読む

地獄の蟲(1979年製作の映画)

4.0

 畜生働きも厭わない盗人黒雲團十郎が田村高廣で、七名の徒党を組んで高利貸一家八名を殺め六千両を奪う。初冬の山中を国境へ、その道々さらに行きずりの五名を殺し足取りを隠そうとするが、殺した中の巡礼一家三人>>続きを読む