Kenshoさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

Kensho

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JLG/自画像(1995年製作の映画)

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まず喪に服す、しかし死は訪れない、パリにもスイスにも

カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.7

再見。

とにかく完璧で突飛なDJとして知られるゴダールであるが、ゴダール版『カルメン』は、彼の中では比較的その筋が崩壊していないともとれるだろう。

唐突にモンタージュされる夜の川辺とその上を通る電
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わたしたちの家(2017年製作の映画)

3.8

素晴らしい作品であることは間違いない。

藝大の修了制作のシステムの中でこれだけの作品を生み出すのは清原惟の力であることは間違いないのだが(無論、時折はさまれるミドルショットの上手さは、その影の設計で
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お引越し(1993年製作の映画)

4.8

桜田淳子のみずみずしさと棒読みが(それは増村保造に連なるものなのだろうけれど)、いつまでも心に残る。

配信終了とのことで再見。

やはり傑作で、風花に届くとは思わないけれど、相米慎二も晩年にいくにつ
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宇宙戦争(2005年製作の映画)

4.8

あらゆる運動が定着した傑作。

カメラは縦横無尽に動いているがしかし、どれも被写体の運動をのがさない。最後の娘の激走を捉えたトラッキングの恐ろしいほどの運動。

黒沢清曰く、トム・クルーズの出るような
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アポロ13(1995年製作の映画)

3.7

手に汗握るような映画であるかと言われれば難しいところはある。

時折みせるロン・ハワードの簡潔さは勉強になるとは思いつつ、やはりこの映画は傑作とは思えない。

(2017年製作の映画)

1.5

石川慶がなぜかヴェネチアのオリゾンティに選ばれたのでゾッとしたと共に、観てなかったこのフィルムを観た。

言うまでもなく、ゴミみたいな作品だった。

それにしても、山田孝之の映画俳優としてのしょうもな
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.0

キューブリックについてコメントしたことが無かったので。

もう観てからかなり経っているけれど、未だに冒頭の暗闇からの高まりは印象強い。猿たちがモノリスによって知性を得るシーンの暴力のスペクタル化もおも
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

3.9

時間を共有=体験しているという感覚が色濃いフィルムである。

亡霊的な女の横顔。

押し入れに隠れた後リコーダーを吹く長回しのあのカタルシスは、そうそう到達できるものではないだろう(あのワンショットは
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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

4.1

あの遠くにあるヘリが少しずつ近づいてくる一本道のシークエンスの異様さ。ただ近づいてくる車、限りなく静かな音響、遠くに佇むようにいるヘリ。とてつもないサスペンス。

そしてラシュモア山での滑稽ともとれる
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ふたりの女(1960年製作の映画)

3.8

レイプシーンにおけるカメラの雄弁さ。集団での暴力を最も暴力的に切り取った素晴らしいショットの連鎖である。

第二次世界大戦を、イタリアの辺境地を通して描いていく様は素晴らしい。過激思想ともとれる青年=
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.1

この映画の通奏低音として鳴り響くローポジションのカメラ(それは小津的な絶対性ではなく、相対的なものであり、人物の目線より上に行かないという倫理的なもの)が際立ったショットの連続。ゆえに横顔を中心とした>>続きを読む

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

4.8

再見。

やはり傑作。シネスコの流麗なショット。所謂180度ラインをいとも簡単に超える、対角線に対置されたまさにイーストウッド的カメラの切り返しが多数見られる。

映画は必要なサスペンスを孕んだまま、
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屋根裏の巳已己(2020年製作の映画)

1.5

死ぬほどつまらない。20分ぐらいで限界が来た。画面に染み渡る鏡像的ナルシズムの露呈が、映画的世界を壊してしまっている。

カメラは絶え間なく、つねにすでに動き続けているのに、フレームには活力がまるで無
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クラッシュ(1996年製作の映画)

4.6

クローネンバーグの横滑り。
収まりきったショット。
映画的ショットとはこういうことを言うのであって、何も構図が素晴らしいとかそういうことでは全くない。
イーストウッドやクローネンバーグを観るとそういう
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

4.0

グレース・ケリーの美しさが定着されたフィルム。

動線とカット割りの的確さは言わずもがな、面白い。唐突な正面ショットの切り返しが見られる一本。

さようなら(2015年製作の映画)

3.6

撮られた演劇、であると感じた。

映画である必要とはなんだろうか。ショットは不必要な持続と必要なそれとが混合し、映画全体のリズムが決して良いとは言えないだろう。

ただ、そのアケルマン的な持続の試みが
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転回(2021年製作の映画)

3.9

面白い。

人物の動線、そして然るべきところで寄りのカットに入る、といった洗練されたデクパージュ=モンタージュは偶然撮れたという感じはしない。むしろ、180度ラインなどを意識的に無為にすることで感情の
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.2

ずいぶんと前に観た一本だけど、ゴダールの絶対的な影響を感じさせるフィルム。

ジャンプショットはさることながら、男を捨て去っていった後の車の滑らかな前進は、まさにゴダール的である!

しかし、かっこい
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.6

再見。

ミシェル・ウィリアムズの眼差しの美しさに耐えうるほど燦然とした眼差しを、スクリーンに向けられているだろうか。

ライカートの愛犬がみせる渾身の演技は、観る者をして、あらゆる物語装置=映画内の
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.1

再見。

ライカートと焚き火。
マリファナと酒。

この映画は二人の男の友情ではなく、それを媒介する犬を含めた三つの軸によって物語が押し進められている。

男たちの友情の隙間を、縫うように犬が画面を這
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

1.5

下劣で、稚拙で、ごみみたいな映画だと思う。あらゆる被写体は輝きを失い、必要なカット割りは失われ、以上な性癖(それはショットにもはっきりと現れている)のみが露呈したバカみたいな映画。

死ぬほどつまらな
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愛が微笑む時(1993年製作の映画)

3.0

所謂三幕構成なんだけれど、あまりに予定調和すぎる脚本というのは観ていてスッキリしないというか、伏線を回収する方に意識が先行していてなんとも言えない感じがしてしまう。

伏線って映画においてそんなに大事
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ひなぎく(1966年製作の映画)

3.9

全体のイメージはショット毎に確実に受け継がれていく。
青リンゴと緑っぽく色付けられた画面、あるいは倒れる瞬間のカットつなぎ、シャンデリラと爆撃。身体の写った写真を切り取る、最後には女自身を黒布と共に切
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.4

反復する日常。廊下、リビング、息子の寝室、そしてディエルマンの仕事場としての寝室。その布団を払う時に舞う埃。

異様なモンタージュ、女が立ち上がった時に決まって机の正面を捉えた寄りのショットになる決ま
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