Kenshoさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Kensho

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緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

3.9

ジョセフロージーの長編処女作。

戦争孤児やある種の差別が緑色の髪に象徴化されていることよりも、彼が街に来たことを珍しがる近隣住民たちを引っ張りのワンカットのみで表現していることの方がよっぽど重要な意
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.9

人物の狂気によって映画全体があれよあれよといううちに狂気に全振りしていく。

廊下から捉えたジーナローランズの長回し、階段を転げ落ちた後支えられながら階上へと上がり、手すりに腰をかけるカサヴェテスのあ
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ロゼッタ(1999年製作の映画)

4.1

ロゼッタの息遣いや遠くから聞こえるバイクやなんやらのサスペンス装置が絶妙な整音でコントロールされている。

手持ちカメラがロゼッタと同じように揺れるのは、この現実を伝えねばならないという作家の使命から
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.4

こんなに上手い人がまだ世界に知られていないという事実にゾッとする。

小津的な、と言えば短絡化しすぎな気もするが、やはり一連のシーンを省略せずに持続させるその演出とロケーション、そして俳優のみずみずし
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

2.0

映画史的にキシェロフスキを卓越した演出の監督だとみなすなら、同時に最もショットが撮れない監督としての側面もあるのではないか。

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.0

どうやったらこんな演出ができるんだろうか。キャスティングでほとんど決まるというのは実際にあるけれど、それを超えた奇跡のようなものをキアロスタミには常々感じる。

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.8

ジーナ・ローランズが若かりし自分の幻影と対峙する際の恐ろしい表情を見れば、一目でこの映画が傑作だと分かる。

彼女が作中で常に鏡を見つめ続けることで、この映画の倒錯した鏡像的ナルシズムの異常性は増殖し
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秋津温泉(1962年製作の映画)

4.0

川辺での自死と終盤の岩壁を登ってゆくシークエンスを繋いでいるショットの連鎖は有無を言わさない強さを持っている。

時折みせる岡田茉莉子の悲痛な顔の寄りが、映画を推し進めていく。

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

4.7

画面全体の躍動感が、素晴らしいフレームで切りとられながらも的確な寄りのショットでスペクタクルが持続するさま。

脚本構造もくそもない、とにかく映画的であることによって成り立っている傑作。

頭に残る印
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午後8時の訪問者(2016年製作の映画)

3.6

巻き込まれ型ではあるが、旧来のダルデンヌと現在のダルデンヌの中間をいくような作品。

しかし、ワンカットの快楽という意味で言えば、旧作や『トリとロキタ』には全く敵わないだろう。

アデル・エネルがチン
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西部魂(1941年製作の映画)

3.9

火事のシークエンスにおけるスペクタクル。

ノワール的な展開だがマジじゃない感じというか、随所で見れるギャグっぽい発想。

フリッツ・ラングの厳格なカット割りの感じが西部劇においても踏襲されている。
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

3.7

ブラッド・ピットの若さ。
しかしその猥褻なまでの肉体性には何か決定的なものが欠けているように思える。ハリウッド的な空洞。

罪の手ざわり(2013年製作の映画)

3.6

ワンカットであることの必要性について考える。それは途切れていない一連の時間のことであり、ただワンカットで撮れば良いということではない。

帰れない二人という傑作を撮ったジャ・ジャンクーでさえある種下品
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

ある断片の集積がある種の経験と時間として立ち上がってくる映画。

ワンカット内で起こせることは、例えば鏡やガラスを使えば無限に増幅していくのだけれど、そこを実直というほど徹底しているのが良い。ブラウン
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.2

クローネンバーグよりも、カメラにある繊細さが欠けていることによって見たこともない映画に行き着いている。

2つ目の窓(2014年製作の映画)

3.0

河瀬の故郷である奄美大島とユタ=シャーマンをあつかった一本ではあるが、俳優の少年少女が最高であるという以外には特筆すべき点はない。

死んだら最終的に海と一つになることを「セックスみたいだ」と言いのけ
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ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

4.5

マリアは映画館で見るとより圧倒的であった。

その絶望的なほど乱雑に見えて決定的なカメラポジションとソニマージュの素晴らしさ。

そして少女=処女マリーの唐突に踊りを始めた際のショットが、最後床に突っ
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.3

バスの車窓に寄りかかりながらふと涙混じりの笑みを浮かべるレア・セドゥの怪演を目に焼き付けられて良かった。

あらゆるショットの連鎖は、場合にもよるがおおよそ役者の自由さを縛らない形で組み立てられ、それ
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ドキュメント 路上(1964年製作の映画)

5.0

ドキュメンタリー史に残る大傑作。

このフィルムの中では、車が生み出す運動性が死に最も近い形で実在している。

編集も含め、撮影で捉えた情動のようなものを見事に昇華した作品である。

エリザのために(2016年製作の映画)

3.5

ムンジウは主人公を常に画面の左側に置くことによって、ある正しさ(right)とは逆側にいることを示したかったというが、所詮はその程度の思想である。

あるショットに対する責任を放棄したことによって、素
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ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)

4.2

主人公の隠れた欲望として現れるドッペルゲンガーは、分割された画面によって(それがトリプルエクラン的なものだと捉えるとしても)ある対比構造と同一性の狭間を揺れ動いている。

一画面の中で見つめ合う人間を
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.7

モノクロのスチールの連なりによって記憶のような、夢のようなイメージが流れていく。

コマ落ちしながらもついに動いた女を捉えたショットは、映画史上最も美しい瞬間かもしれない。

ホゼー・トレス(1959年製作の映画)

4.0

パート2は必見。

ボクシングを面白く撮るなら、ある程度の高さから俯瞰気味に撮られた画を中心に、臨場感のある寄りの煽りを小気味よくいれていくしかない。