Kenshoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Kensho

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北斎(1955年製作の映画)

3.8

短い中でも、葛飾北斎の魅力がしっかりと詰まっている。

アントニー・ガウディー(1984年製作の映画)

4.6

良い。

ガウディーの建築を細部から見つめ直すという稀有な体験を、しかも瀬川順一という天才カメラマンの画で体験できた至高の70分だった。

被写体に流れる時間を捉えようとする試みは、まるでアンゲロプロ
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.7

ゲンズブールの演技がすごく良い。

ただ、ここまで極端に視認ギリギリのカットバックを採用するのは、ミカエルアースはどこに向かっているんだろうか。

女は『満月の夜』を観ようと言っていた。

パッション(1982年製作の映画)

4.5

劇中劇とズームレンズ

イザベル・ユペールと労働

冬の旅(1985年製作の映画)

4.6

アニエス・ヴァルダ作品の中でも極めて重要な傑作だということは言うに及ばないのやもしれないが、この役者たちや前映画的なものたちが孕んでいるどうしようもない時間性みたいなものは何なのだろうか。

この作品
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.4

やはりファーストカットの夢と現実をシームレスに繋ぐズームレンズのワンカットが、この映画全体のリズムを規定している。

かと思えば、闊達で視認可能なギリギリの速さでカットが繋がれていったりと、これまでの
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

プロムが終わった後、ただ話す母と子のどうしようもないほど完璧なショットの連鎖がスピルバーグ的というよりはむしろトリュフォー的な快楽に接近していることを思わせる。

最もプライベートな主題を扱ったスピル
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.9

とてつもない傑作。

2人の共犯関係と高さのサスペンスは常に照応しあい、次第に他人だった2人の間に強烈な絆が生まれる。

数々のショットが、ダンデンヌ兄弟の天才を証明し続ける至高のフィルム。

別れる決心(2022年製作の映画)

3.6

パク・チャヌクの映画の中では面白いカメラワークや演出だと感じる。

ただやはりこの物語にはついていけない。もっと素直に二人の狂気を描けば傑作だったと思う。

パリところどころ(1965年製作の映画)

4.0

ロメールの短編が傑作だと思う。

そびえ立つ凱旋門が提示されて次にその周りを旋回する寄り目のカット。このカット繋ぎをみただけでもう傑作なのであり、幾度となく繰り返される逃亡のカットには笑いを堪えきれな
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僕は黒人(1973年製作の映画)

4.0

ゴダールが最も影響を受けたのはその自由闊達なカメラであるというより何より音の演出であると再認識。

そして男たちが船から出た手綱を頼りに水中へと飛びこみ、はしゃぎ、踊る。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

高架下手前を光の明滅が横切っていく。
ケイコは明滅によってしか電車を認知し得ない。

何よりこのフィルムで素晴らしいのはケイコ、すなわち岸井ゆきのである。
ケイコというキャラクターの映画外の時間さえ感
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やくたたず(2010年製作の映画)

4.3

軽やかにキスしてみせる三宅映画の俳優たち。

フレームを出入りする運動体はやがて柵という文字通りの境界を超えて、仲間たちのいる共同体へと吸い込まれていく。瑞々しいまでの運動を懸命に映画に刻みこむこと。
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ミッドウェイ海戦(1942年製作の映画)

-

ナショナリズムの高揚と結びつけられるフォードの作品。

以前どこかで観た気はしたが、空の爆撃のイメージしか残っていなかった。

極北の怪異/極北のナヌーク(1922年製作の映画)

4.6

セイウチの狩りのシークエンスで、捕獲された仲間とそれを助けに来る群れの一味とがワンカットで表現されることで、その前後の独立したショットは映画的リアリズムを獲得している。

地面の下から出てくるもの。
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アニエスによるヴァルダ(2019年製作の映画)

3.8

ヴァルダの各作品が彼女自身の言葉と映像によって鮮明に浮かび上がってくる。

私はプラスチックが好きだ、環境には悪いけれど。と言いながらルンルンと踊る90歳の女性にハッとさせられてしまった。

素晴らし
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.0

構成の微妙さの割にキッチリと話が進んでしまうのが微妙なのだろうか。

なぜそこまですずめは男に固執するのだろうか、それをカッコいいだけで済ませてしまうにはあまりにばかばかしい。
男が石になるということ
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小さな声で囁いて(2018年製作の映画)

3.8

大場みなみさんの声が素晴らしかった。

山本英という監督の異常なほどのショットへのこだわりと固定長回しのショット群は、アピチャッポンからの影響はおくとして、やはりあらゆる眼差しの要求に耐えうる強度を持
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やまぶき(2022年製作の映画)

3.9

あらゆるショットの連鎖は普遍的なリズムを失っている(それは意図されたものであるだろう)にも関わらず、観るものは画面を注視せずにはいられなかった。

ひたすらに転がる石、松葉杖をつきせり上がってくる男。

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.9

2022年度ベストワン。

飛び込んだ水の飛沫も、その身体も、赤ちゃんも陽光と木漏れ日も、全てが前映画的要素を包み込むと同時にそれ自体であるような、奇跡みたいな映画だと思う。

あらゆる笑いは文化を超
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スパルタ(2022年製作の映画)

4.0

はっきり言って今回観たTIFF作品の中では明らかに頭一つ抜けている。

物事を単純化して言うような「リベラルでアメリカ民主的な」観客によって、このフィルムは"ペドフィリアの映画"だとか差別的な物言いで
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テルアビブ・ベイルート(2022年製作の映画)

2.2

そんなに多い登場人物が出ているわけではないのに、人物関係がここまで理解できないこともなかなかないな、と感じた。

最初の建物内での爆撃のシークエンス以外は特に良いと思うショットも無かった。

パレスチ
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ファビュラスな人たち(2022年製作の映画)

3.5

言うまでもなく、映画は全てフィクションであり、なおかつドキュメンタリーでもある。

最初のインタビューパートといえる手持ちカメラの正面ショットにて、トランスジェンダーの女が「私たちの振る舞い自体が政治
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白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

4.5

少し前に配信終了とのことで再見。

階段の使い方。
幻想と現実、レイヤー化した物語。

獣人(1938年製作の映画)

4.7

あらゆる運動がしかるべき形で画面内に収まっている。

川岸で互いの性をさらけだす男女の大写しになったその顔の後ろを颯爽と過ぎ去る電車。

女が男二人組の片方を押すと、川へと落下する一人の男。

映画は
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アザー・ミュージック(2019年製作の映画)

4.2

至高のドキュメンタリー。

あらゆる監督の意図は、OTHER MUSICの魅力を最大限に活かすことへと注力され、ついには映画自体が音楽を鳴らし始める。

時々姿を見せる名盤たち(無論、日本人の音好きで
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

2.5

木村文乃が葬儀場にて砂田アトムにビンタされ、倒れた後に泣き始める。なるほど、この映画は複雑に構成された人間ドラマであるがしかし、誰がこの涙を本当の涙だと思うのだろう。

それからショットにしても、意図
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マリッジリング(2007年製作の映画)

3.8

七里圭の映像表現の独特さ、ショットのハッとさせる強さは時折姿を現すものの、やはり全体としての強度が弱いと感じる。

それは紛れもなく役者が輝いていない点にあり、引き締まった感じがしないところも難点かな
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裏窓(1954年製作の映画)

4.5

配信終了ということで再見。

やはりロングショットをここまで的確なショットにおさめるというのは至難の業だと感激。

グレース・ケリー、最高。

照明により、部屋に入ってくる人間の顔が分からないようなし
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