diesixxさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

別れる決心(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

刑事を主役に、追う男と追われる女、高所恐怖症、屋根の上の追跡劇、禁欲的な恋の駆け引きなど随所に『めまい』の引き写し。セックス表現については、前作である程度結実した感があるので、ストイックなメロドラマに>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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笑いと驚きと困惑と感動が渾然一体で押し寄せてくるめくるめく映像体験。映画館を一歩出ると世界が違って見える久しぶりの感覚だった。
マルチバースって、話がどうでもよくなるリスクを孕んでいて、正直今のMCU
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好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

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40代、恋愛経験なし、母親と同居、肥満と薄毛、口下手で、趣味は戦争ジオラマ作りのフーシ。職場の空港で、ひたすら旅立つ人々に滅私奉公。同僚に外見を貶され、いじめられ、仲間に入れてもらえたと思ったらマチズ>>続きを読む

霧の旗(1977年製作の映画)

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三浦友和とのコンビもすでに勝手知ったる安定感。プラトニック路線は『春琴抄』で完成し、『泥だらけの純情』で新世代吉永小百合の地位を固めつつ、愛憎と情念渦巻くサスペンスに挑んだ意欲作。三浦友和とのロマンス>>続きを読む

皇家戦士(1986年製作の映画)

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タイトルが覚えにくい。
原宿ホコ天を観光中(?)のミシェル・ヨーが、チンピラ相手に代々木体育館前で竹刀で成敗する導入部は、本当に導入でしかなくて、香港に帰る機内ではハイジャックに遭遇。真田広之とチャラ
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ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

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夫に先立たれて、創作に行き詰まったロマンス小説家(サンドラ・ブロック)と、表紙モデルの脳筋セクシーバカ(チャニング・テイタム)の『ロマンシング・ストーン』パロディー。
疲れてて、あんまり感動とかしたく
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迎春閣之風波(1973年製作の映画)

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1366年、元朝末期の中国。朱元璋率いる反元復漢運動が拡大する中、革命軍に裏切り者が出て軍の戦略図が元朝に仕える河南の王、李察罕の手に渡ろうとしていた。革命の闘士たちのもとに李察罕とその妹、婉児が戦略>>続きを読む

素晴らしき休日(1938年製作の映画)

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ジョージ・キューカー、キャサリン・ヘプバーン、ケイリー・グラントの瀟洒で優雅なロマンティックコメディ。
旅先で知り合ったジュリアと結婚するため、自宅を訪ねたジョニーは、彼女が銀行家の令嬢だったと知る。
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

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不意に思い立って、セールで売られていたロメールのBlu-rayボックス4、5巻を購入。喜劇と格言劇の6本を久しぶりに見返した。
私はそもそもロメールにそんなに思い入れがなくて、男女の惚れた腫れただの、
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シャドー(1982年製作の映画)

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『サスペリア』『インフェルノ』に続く「魔女三部作」完結編が頓挫し、久々にジャッロ路線に回帰した作品。オカルト要素はなく、真犯人のトラウマを織り込んだサイコスリラー風のミステリーとなっている。例によって>>続きを読む

スペイン狂想曲(1934年製作の映画)

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ディートリヒとスタンバーグのコンビ最終作。ディートリヒ自身は本作をいちばんのフェイバリットに挙げていたようだ。
コンビ初期のテンションの高さは見られないものの、紙テープまみれのパーティーや土砂降りの中
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ブロンド・ヴィナス(1932年製作の映画)

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クライテリオンのBlu-rayにて観賞。
結婚を機にステージ歌手を引退し、夫と息子を愛しながら慎ましく暮らす妻。しかし夫は病魔に蝕まれており、莫大な治療費を払うためにステージに復帰。たちまち金持ちのケ
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

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毎年お正月になると『幕末太陽傳』見るのがルーチン化している。見ている間、「これが世界でいちばん面白い映画だ」と思わせるエネルギーに満ちている。「居残り佐平次」を主軸に古典落語のモチーフが織り込まれ、役>>続きを読む

上海特急(1932年製作の映画)

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クライテリオンにて。
ディートリヒとスタンバーグの黄金コンビが、興行的な頂点を極めた作品として知られる。政情不安定な中国を舞台に走る列車を舞台にしたアクションとロマンスを、居合わせた乗客の群像劇も絡め
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間諜X27(1931年製作の映画)

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クライテリオンにて。『モロッコ』に続き、スタンバーグとハリウッドで組んだ2作目(『嘆きの天使』からは3作目)。戦争未亡人から娼婦へと身をやつしたディートリヒが、女スパイとして活躍するも、敵のロシア人ス>>続きを読む

妖怪百物語(1968年製作の映画)

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Blu-rayにて。大映ならではの重厚かつ漆黒の舞台とキッチュな妖怪たちのアンバランスさが楽しい。唐傘おばけがキモ可愛くて操演もよくできているが、ルーキー新一とのバーターで本編に絡まないシーンしか登場>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

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大学生のころ、この映画に影響された出来の悪い自主映画を散々見せられたので、一時期は見るのもうんざりだった作品(同じ理由でレザボア・ドッグスも長らく見てない)
封印覚悟で権力に楯突いたチェコの映画クルー
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インファナル・アフェアIII 終極無間(2003年製作の映画)

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「善人」として生きることを選んだラウだったが、そもそもが偽装と捏造を土台としていたため、砂上の楼閣のごとくボロボロと崩れていき、破滅していくしかない完結編。
ヤンの殉職前の日々も並行して描かれ、美しき
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インファナル・アフェアII 無間序曲(2003年製作の映画)

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続編ではなく前日譚。シリーズの魅力の根幹をなす二人が出ていないので、やや華やかさに欠けるが香港ノワールの色気と暴力性は3作中最も高いのでは。
クライテリオンにて再見。

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

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中学生の頃はトニー・レオンとアンディ・ラウに憧れたものだが、中年になった今見るとアンソニー・ウォンとエリック・ツァンの渋みと老獪さに痺れてくる。
ハリウッドの『ディパーテッド』や日本の『ダブルフェイス
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ショーガール(1995年製作の映画)

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結構前に買っていた是空からの4Kリマスター版で再見。吹替で見たのは初めてだったけどよかった。
ベガスのショービスの世界を描いた『イヴの総て』。脚本は『イヴの総て』ほど緻密ではないが、イヴの上昇志向を「
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ブラック・ライダー(1971年製作の映画)

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『ノープ』でポスターが貼られていたことから興味を持ち、ちょうどクリイテリオンからのBlu-rayが出たため入手。画質が良く、青空が映えている。
南北戦争が終結し、奴隷制が廃されても黒人への差別が止まず
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二十四の瞳(1954年製作の映画)

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JAIHOにて久々再見。
小豆島の低学年が通う分校。新米教師の大石先生(高峰秀子)と12人の子どもたちの牧歌的で素朴な交流は序盤。怪我で休んでいる大石先生に会うため、長い道のりを歩く子どもたちが「せん
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旅情(1955年製作の映画)

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クライテリオンの再発Blu-ray。
キャサリン・ヘプバーンは38歳の「オールドミス」という役柄だが、実際は撮影当時48歳で高画質で見るとそれなりに年輪を重ねた肌感が見受けられる。だが、そこは大女優。
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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いすはいつ3本足になったのかが気になって眠れなかった。
ゆるふわ天皇愛を感じて新海さんは神道が好きなんだなーと思った。
皇居が出てきたあたりから「日本は天皇を中心とした神の国」という森喜朗さんの言葉が
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いぬ(1963年製作の映画)

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話が混みいってわからなかったので、2回見てしまった。
オープニングで地下道を歩く場面の並行移動、雨に濡れたベルモンドが帰宅→からの振り向きざまに衝立を撃ち抜き、倒れた衝立から大男がよろよろと歩いて崩れ
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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肉親が死んで、ちゃんと涙が出るまでの映画。
中盤のオコエ、シュリ、リリのカーチェイスはワクワクしたが、その後は情緒が活劇を追い越してしまう場面が多く、正直退屈だった。終盤は国同士の戦争映画となってしま
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チャトラパティ(2005年製作の映画)

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ラージャマウリ監督、プラバース主演のアクション活劇。
同じ母を持つ二人の兄弟。血のつながらない兄は高潔な魂で母の愛を受け、実の息子である弟は嫉妬深く、常に兄を陥れようと策を巡らす。すでに『バーフバリ』
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お嬢さん(2016年製作の映画)

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長いのとエロそうなのでなんとなく遠ざけていたチャヌク監督作。最高だった。
変態爺さんに囲われた日本人美女から結婚詐欺で騙して財産を奪う計画のため、侍女として屋敷に潜入する主人公が徐々に秀子に引かれてい
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女の座(1962年製作の映画)

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女系家族を通して、日本家族の鬱陶しさをねっとり描く成瀬版『東京物語』。終盤の笠智衆、杉村春子、高峰秀子の関係性と会話はかなり『東京物語』を意識してそう。
夫と死別して娘ばかりの一家で、ささやかに店を守
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あなたがいてこそ(2010年製作の映画)

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JAIHOにて。
自転車視点で語られるストーリーが面白い。序盤の主人公が歌ってる間に裏で大事故が起こってるシーンが一番面白かった。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール3作目は、西部劇と未知との遭遇とジョーズのアマルガム。相変わらずさまざまなメタファーやレファレンスが散りばめられていて、まだまだ掘りがいがありそう。
理不尽で植民地主義的な暴力を、カ
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ラジュー出世する(1992年製作の映画)

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スーパースターSRKが初々しいけど、既にキレのあるアクションやダンス、繊細な泣きの演技をしっかりこなしていて驚く。
田舎の青年が、社長の娘に気に入られ、どんどん出世していくものの、恋人への気持ちが全く
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

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カンニングというミニマムな(そうでないとバレちゃうから)悪事をけれんあふれる演出で、スリリングに演出。開発に時間をかけた綿密なシナリオと主演4人の若者のみずみずしい演技アンサンブルも絡めて、クライムサ>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

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イ・チャンドンの長編2作目。人生に失望し、鉄道自殺を図るソル・ギョングが「戻りたい」と叫ぶと、列車の車窓の映像が逆再生され、時を遡るメメント方式で男の人生が語られていく。光州事件や民主化運動を背景とし>>続きを読む

縮みゆく人間(1957年製作の映画)

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ユニバーサルで数多くのジャンルムービーを手がけたジャック・アーノルドの『大アマゾンの半魚人』と並ぶ代表作。
主人公がどんどん小さくなっていくというシンプルなプロットだが、男性の自信喪失という普遍的なメ
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