impreさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

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超傑作。ここまで狂人に感情移入できる映画は中々ないし、狂人に感情移入させられたらもう映画として勝ちみたいなもの。今まで見た中で1番魅力的なイザベル・アジャーニが見られたし、その分後半に進むにつれてどん>>続きを読む

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

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なんとなく「麻薬の出所を捜査していったら巨大な陰謀を目の当たりにする」みたいな展開を予想してたら、麻薬取引の全貌は最初に観客に提示された通りで、ただただ犯人逮捕への過程をどれだけ面白く見せるかで勝負し>>続きを読む

春原さんのうた(2021年製作の映画)

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この世の映画全てこういう映画になってほしい、とまでは言わないけど、もう少しこういう映画が増えてほしいし、こういう映画を理解してくれる人が増えてほしいと切実に思った。ドラマとか対立とか全くなくて、とにか>>続きを読む

みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)

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どんなにバイオレントな犯罪スリラーも、胸の詰まるメロドラマにしてくれる加藤泰は最高。『遊侠一匹』『三代目襲名』同様社会から外れたアウトローが殺しと不可能な恋愛をする話だけど、現代劇である分フィクション>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

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『スリービルボード』に大興奮したあとだったからか、こういう感情の論理を拒絶するタイプの映画はピンと来なかったな。単純に一つ一つのテーマを描ききれてない感じがした。人肉食、性の目覚め、争えない血といった>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

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万田さんが褒めてたので見たらめちゃくちゃ面白かった。怒りに対する怒りのラリーで物語が進んでいくのがイーストウッドみたいに痛快だし、嫌な奴だと思ってたキャラにもちゃんと感情移入させるのがさらにイーストウ>>続きを読む

UNloved(2002年製作の映画)

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とにかくこの映画は、光子と2人の男との対決がやりたいんだなと。だからか分からないけどそれぞれの対決の間のシーンがものすごい速さと分かりやすさで進んでいく。光子と男たちは一回デートしたら次の瞬間には付き>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

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第1話の完成度の高さに驚いた。濱口映画はいつも登場人物が普通の人なら言わないようなことを言うけど、『魔法(よりももっと不確か)』はその違和感に切実さと面白さが勝っていた。

第2話は、やっぱり濱口竜介
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

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今村夏子の小説を思わせる。共感できない異常者の行動と心理を面白がって見ていくうちに、いつの間にか異常者に共感して感動してしまっている。

明治侠客伝 三代目襲名(1965年製作の映画)

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任侠映画としてはよくある話のような気がしてしまう。二代目の葬式の場面での津川雅彦の豹変ぶりも流石に乗れないし。それでも鶴田浩二と藤純子の物語は最高。オレンジ色の夕陽の中の逢引きシーンもすごいし、鶴田浩>>続きを読む

沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

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主人公の時次郎が、殺した男の妻と情を交わし合うという『乱れ雲』みたいな話だが、そこに渡世人だが殺しはもう懲り懲りみたいな『許されざる者』的なテーマも絡んでくる。2人はどんどん親密になっていくんだけど、>>続きを読む

天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

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中産階級の未亡人が庭師の男と身分違いの恋愛をする話。不倫ではないけど、2人の生き方の違いが2人の恋愛の障壁になるっていうのがすごく上手く描かれてて、脚本の完成度の高さに脱帽。この時代のハリウッド映画で>>続きを読む

驟雨(1956年製作の映画)

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硬いタイトルから『乱れる』みたいなメロドラマを想像してたが、実際は爆笑コメディだった。

やさしい女(1969年製作の映画)

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面白すぎる。全ショット全動きに驚かずにはいられないんだけど、それは劇中の全動きが関係を決定的に変化させるから。知ってはいたけどブレッソンは天才。

シノノメ色の週末(2021年製作の映画)

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『月極オトコトモダチ』がオールタイムベスト級に好きなだけにちょっと残念な出来。即興風の演出とドラマ風の演出がちぐはぐなところが目についた。あと最大の問題は桜井玲香の抱えてる問題の切実さのなさだと思う。>>続きを読む

美しき結婚(1981年製作の映画)

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主人公が親友に恋愛のアドバイスを聞いたり、元彼に結婚論を語ったり、片想いの相手と好きなタイプについて話し合うだけの映画がなんでこんなに面白いのか。主人公がヤバいやつって言ってる人多いけど、個人的にはち>>続きを読む

情事(1960年製作の映画)

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かなり面白かったんだけど、所々描写が足りなくて乗りづらかったところがある。アンナが失踪してからクラウディアとサンドロの関係が急接近するのが唐突すぎるし、サンドロと恋仲になったあとクラウディアがアンナの>>続きを読む

イタリア旅行(1953年製作の映画)

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理性的に考えれば絶対にしないけど、感情的になってついやってしまうことを描いたらこんなに面白いドラマが生まれるのかと衝撃を受けた。そういう意味でロメールっぽさもありつつ、なんとなくホークスみも感じた。そ>>続きを読む

緑の光線(1986年製作の映画)

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全人類が持ってるイタさを誇張したような主人公。「ムカつくけど確かに気持ちは分かる」の連続で面白かった。ただフランス人みんな奇抜な格好してるから、誰が変な人で誰が変じゃない人なのか見分けるのが難しい。デ>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

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バーチャル世界に乗れなく全然ダメだった。『サマーウォーズ』のバーチャルはよかったのに、『未来のミライ』あたりからバーチャルが強すぎて乗れなくなった。バーチャルは所詮作り物なのに、バーチャルの方のドラマ>>続きを読む

ダーク・スター(1974年製作の映画)

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低予算でチープだからこそカーペンターの天才ぶりが分かるし、ふざけまくってるからこそ知性が分かる。あの狭い空間でも物語を豊かにしてしまうキャラクター造形の見事さ。最後爆弾をデカルトの認識論で説得するとこ>>続きを読む

ある過去の行方(2013年製作の映画)

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利害関係の対立する複数の主体が闘っていく様子を通して物語が進んでいくといういつものファルハディ的映画でめっぽう面白い。けど『別離』や『彼女が消えた浜辺』では完璧なまでの巧妙さで散りばめられてた「謎」が>>続きを読む

月極オトコトモダチ(2018年製作の映画)

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すごすぎてすごいところを書くのも野暮。現代の恋愛映画の最高峰。大傑作。

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

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イーストウッドの映画って役者がやりがいあるだろうなーっていつも思う。ストーリーと直接は関係ない感情の盛り上がるシーンが用意されてて、役者は演技のしがいがあるだろうし、キャラクターにも現実味が出て、さら>>続きを読む

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

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ファルハディの映画がすごいのは何もかもが「どうしようもない」ところ。登場人物の誰にも「あの時ああすれば良かったじゃん!」とは言えない。そういう出来事の積み重ねで映画はすごいところまで行ってしまう。ラス>>続きを読む

別離(2011年製作の映画)

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すごいなー。かなり雑然としたところで行われる裁判とか、イスラム教圏ならではの習慣とか、経済格差とか、イランという国の地の利を最大限に活かしてる。この映画が最終的にたどり着く地点は増村保造の映画にも劣ら>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

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ファルハディの中では下位の方。いとも簡単に人と人をかなりの熱量を持って喧嘩させられるのはさすがにすごいと思ったけど。

エル ELLE(2016年製作の映画)

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警察に頼らずに自分で犯人探す系映画。『セールスマン』の場合、警察に頼らない理由はイランの警察は信用できないから、だったんだけど、この映画みたいに警察がしっかりしてる国でどうやってそれをやるかというと、>>続きを読む

美女と野獣(2017年製作の映画)

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子供の頃に20回くらい見たアニメ版を思い出して泣いた。とにかく『美女と野獣』っていう物語のフォーマットがよく出来てるなと。

「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

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こんな完璧な脚本が書きたい。頭が良くないと書けないけど、頭がいいだけじゃ書けないような人外なシナリオ。それを映像にするときの映画的なセンスもすごい。フィルムノワールみたいな撮影もすごいし、間接キスをあ>>続きを読む

みちていく(2014年製作の映画)

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思春期特有の実存的な不安っていうよくあるテーマを、体を噛んでもらうことに依存してる女の子を通して描くことで魅力を保っている。少女小説的だし綿矢りさの小説っぽさも感じる。テーマがやっぱり典型的だし問題も>>続きを読む

アメリカの友人(1977年製作の映画)

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『ことの次第』のセリフにある通り、「映画には物語は必要ない。人間と人間の間の空間で映画は作られる。」っていうのがヴェンダースの考えなんだろうけど、ヴェンダースには「人間と人間の間の空間」と同じくらいハ>>続きを読む

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

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スリのシーンが面白いのは言わずもがな、ミシェルがジャンヌに初めて罪を告白するシーンと2年ぶりにパリに戻ってきたミシェルがジャンヌと再会するシーンが素晴らしい。「スリ」という軽犯罪から『罪と罰』的な心理>>続きを読む