impreさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ある子供(2005年製作の映画)

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ダルデンヌの最高傑作は『その手に触れるまで』かこれかと言えるほどの傑作。
ラストでソニアに淹れてもらったコーヒーを一口飲んだ瞬間に泣き出すブリュノの泣き顔の凄さ。ブリュノはこのシーンの前にも一回泣くけ
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

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ダルデンヌは主人公が誰かに抱きついたり手を強く握りしめたりすることに全てを賭けてる。他人を信用したら負けの世界に生まれた人が、他人を信用する=誰かに体を委ねるまでの話。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

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面白い映画を作るためには、「面白い映画を作りたい」という欲を一回捨てないといけないということを、ダルデンヌの映画を見るといつも思う。

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

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ジュゼッペがマリアグラツィアに結婚(?)を申し込むオープニングで、この素朴さといい手持ち16mmフィルムの暖かさといい「こういうのが見たかった!」と思ったけど、別に農園の人たちの素朴さとラザロの純真さ>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

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映画的な遊びと作者の切実さがどちらも高いレベルで一致してる映画ってこれ以上にないと思う。主人公が何もしてなくても、どこか救いを求めてる感じがして画面に常に緊張感がある。『ポンヌフの恋人』のドニ・ラヴァ>>続きを読む

山椒大夫(1954年製作の映画)

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古典映画を見るきっかけになった映画でありかつ、今振り返っても人生で1番感動した映画。
有名な入水シーンの、湖に降りていく安寿、それを見送るお婆さん、お婆さんに向かって合掌し水に入る安寿、安寿に合わせて
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

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村上龍が「今に限らず、現実は常に見えにくい。複雑に絡み合っているが、それはバラバラになったジグソーパズルのように脈絡がなく、本質的なものを抽出するのは、どんな時代でも至難の業だ」と書いているけど、ファ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

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はじめての映画館に怖がるサミーを必死になだめる父と母、「1秒間に24枚の写真が脳の処理速度より速く流れるから、写真が動いてると錯覚するんだ、すごいだろ」と父が言い、「映画はすてきな夢なのよ」と母が言う>>続きを読む

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

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物語はすごくメロドラマ的でドラマチックだし、ストラーロの撮影もドラマチックさを強調する美しさなのに、演出とセリフがあえてドラマを避けてるのが良くない。詩的な台詞回しが登場人物たちの本心を分かりにくくし>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

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大傑作。理性的で(悪)賢い人たちの頭脳戦。強い人同士の戦いが面白いように、賢い人たちがその賢さを存分に利用して戦うのも面白い。理性より感情を優先してしまった人がみんな堕ちていく。ただベネデッタに関して>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

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一つ目の事件が終わるまでは完璧だった。典型的な犯罪メロドラマのプロットを、考え抜かれた細部の具体やアングル、シームレスな時系列の行き来で全く別のものに転換してて感動した。翻訳アプリの自動音声も良かった>>続きを読む

少年と自転車(2011年製作の映画)

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いつも通りではあるんだけど、他人を信用できない人が他人を信用できるようになる瞬間をここまでちゃんと描かれたら感動してしまう。
シリルとサマンサの出会いのシーンの素晴らしさ。野暮な脚本家とか監督なら、サ
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だれかが歌ってる(2019年製作の映画)

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主人公が彼氏にプレゼントを渡しに行ったら、彼氏に「好きな人ができた」と言われ、浮気相手に自己紹介される。このシーンがとにかくかわいい。井口奈己は冴えない女子をかわいく撮る天才。

犬猫(2001年製作の映画)

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終始ニヤニヤしながら見てた。井口奈己が撮る世界はなぜかいつもめちゃくちゃかわいい。修羅場とか気まずい場面までもかわいい。

宮本から君へ(2019年製作の映画)

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やっぱり強いもの同士の戦いは面白い。宮本は劇中では弱い者扱いされてるけど、平均的な日本人に比べたら段違いに強い。靖子も強い。その強さを完璧に体現した池松壮亮と蒼井優がすごいし、見てて辛い場面を少しの辛>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

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面白いんだけど、何がやりたいのかはよく分からなかった。序盤はどっちの気持ちも分かるなーっていう『スリービルボード』的な面白さで見れたけど、そっち方向の話ではなくなっていく。パードリックが酒の力を借りて>>続きを読む

奇跡の海(1996年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ラスト、教会や村人たちがベスを異常者で罪人だと断じても、神と自然は彼女の「純粋な気持ち」を祝福してくれる。海の上の鐘が、ベスを排除した「正常な」人たちを駆逐して、世界を裏返しにしていくように見えた。>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

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『山椒大夫』に並んで、人生で最も感動した映画。「どうして病気が移るのを分かってて子供を産んだんだ?」と聞かれて「赤ちゃんを抱きたかったの」と答えるセルマ。これを言われて反論できる人は地球上にはいない。>>続きを読む

オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

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この映画にはどの瞬間にも感情と情報がある。だからどのカットにも見せるべきものがあって、監督の意図がある。どのカットも撮られる必要があって撮られたもので、「なんか分かんないけど撮ってみた」カットなんかひ>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

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初見のときは原作と同じことをやって原作よりつまらなくなってるとしか思わなかったけど、見直したらこれはこれで面白いと思った。他者とのコミュニケーションとか運命論の是非とかのすごく実存的なテーマを宇宙規模>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ラスト、イネス先生を殺すために手に取った釘で、イネス先生に助けを求める。視野の狭い子どもから他人を慮れる大人に変わるのを一瞬で、しかも釘一つで見せられて泣いた。
ダルデンヌは『イゴールの約束』の頃から
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ロブスター(2015年製作の映画)

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オールタイムベスト級に好きな映画。
恋愛しないといけないっていう全体主義を痛烈に茶化しながら、純粋な恋愛感情そのものは否定せずに、ロマンチックに描こうとするスタンスが好き。
撮り方といい世界観といい台
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

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お話のありきたりさ、脚本上の穴を、キャスティングと演出と美術、ホイテマの撮影が完全に凌駕して傑作になってる。
暴力に憧れる臆病な少年と、その純粋さに憧れる暴力そのものみたいな存在のエリとの恋っていう主
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アバター(2009年製作の映画)

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こんなにいい映画だったとは。話は王道だけど世界観のアイデアが一々面白いから最初から最後まで面白い。
話が王道と言っても心理と感情のポイントをしっかり抑えててちゃんと感動する。
特に吊し上げられたジェイ
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乱れる(1964年製作の映画)

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『乱れる』も『乱れ雲』も、結構内面の話をしてるのに全然内面の話に見えないのが凄い。体の向き、表情、顔の向き、視線の向きの一つ一つが話の内容とガチッとハマってるから、観念的な話をしてても具体的に立ち上が>>続きを読む

アイム・ヒア(2010年製作の映画)

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ロボットの画作りとかアンドリュー・ガーフィールドの陰キャ演技が素晴らしい。
シェルドンが彼女に自分の足をあげるときに「夢の中で僕の足を君にあげた時、僕はとても幸せだった」と言って彼女を納得させるシーン
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

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めちゃくちゃつまらない。アトスが父の死の秘密を探ろうとして、過去と現在が交錯していく映画だけど、まず現在のシーンに一切緊張感がない。なぜなら過去の秘密を明らかにしようが現在のアトスに何の影響もないから>>続きを読む

クラークス(1994年製作の映画)

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面白く見た。ジャームッシュとタランティーノを足した感じ。

心と体と(2017年製作の映画)

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HSP気味で社会に適合できないマリアを描いているのに、監督がマリアを最後まで理解不可能な人物として見てるようだから、マリアの本心とか感情にまで到達していなくて映画自体が盛り上がっていない。マリアにも隠>>続きを読む

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

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とにかくよく喋ることで相手をマインドコントロールしようとするラッセル・クロウが、喋りすぎたことでクリスチャン・ベールに絆されてしまう展開に泣いた

ラースと、その彼女(2007年製作の映画)

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ルーカスドンの『Girl』と同様、主人公の周りの人がみんな理解があるのがいい。ラブドールと恋愛するっていうことは理解不可能な他者と関わることを拒絶して自分の世界に引きこもっているということで、それはラ>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

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初めて見たときは登場人物全員が狂人にしか見えなくて、やってることにも言ってることにも乗れなかった(というか頭に入ってこなかった)けど、今ある程度こういう映画に対する耐性がついてから見るとめちゃくちゃ面>>続きを読む