impreさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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見る前に設定を知ってたからかあんまり面白くなかった。何も知らずに見たらあの異様な世界観の一つ一つに驚けたのかもしれないけど。
ランティモスの映画って常識から遠く離れた世界観を見せることで、常識の異常性
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

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ランティモスの映画は題材が毎回全然違うけど、人間関係の1番微妙で繊細なところを突いてくるから刺さりまくる。理知的で感傷を嫌うレイチェルワイズが無視してきた女王のウサギたちの話を、エマストーンが泣きなが>>続きを読む

ミスト(2007年製作の映画)

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この世で唯一嫌いな映画。霧が人を殺すっていう謎めいた掴みで期待して見始めたのに、一瞬でモンスターが出てきて興醒めした。狂気的なおばさんも主人公の行動もわざとイライラさせるように作ってる。ラストも作り手>>続きを読む

ロゼッタ(1999年製作の映画)

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やっぱりダルデンヌ兄弟の映画のラストは好きだ。どん詰まりの絶望の中で、奇跡みたいな希望がちょっとだけ顔を出して、それに主人公がすがって終わる。塩田明彦の『害虫』みたいな絶望的なラストもいいけど、自分は>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

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大傑作な部分と大駄作な部分が7:3くらいの割合であるので複雑な気分になった。でも大駄作な部分を作るより大傑作な部分を作る方が難しいと思うのでいい映画だったと言える。
まず往年の任侠映画の主人公のように
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

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面白かった!すごくミニマルで静かな作品だけど一つ一つの描写に遊び心があってずっと面白い。おばあちゃんとクロスワードしてるところから始まって、ネリーが病院(老人ホーム?)の部屋を回っておばあちゃん達にさ>>続きを読む

Girl/ガール(2018年製作の映画)

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素晴らしかった。LGBTの話でここまで周りの理解がある映画は初めて見たけど、周りの人がいくら理解してくれていても当たり前のように困難が発生するのがトランスジェンダーだということを切実に描けてると思った>>続きを読む

ホワイト・ドッグ(1981年製作の映画)

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ログラインにしてしまえば「ホワイトドッグを再調教する話」に過ぎないけど、そこに怒りと人種的軋轢の歴史が見えてきて、すごい壮大な映画に思えてくる。主要キャラたちは常に何かと戦っていて、その中で問題が深め>>続きを読む

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

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面白かった。現実でもそうだけど恋愛関係じゃない男女がサシで喋ってる様はやっぱり緊張感があって、それだけで面白い。恋愛になるかならないかの男女って当事者にとってはサスペンスだけど、第三者から見たら微笑ま>>続きを読む

DOOR III(1996年製作の映画)

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この頃の黒沢清は既に演出面だけでなく物語の展開の面でも型ができている。
主人公が周辺で起こる謎の出来事を調査して行く→そこで怪物のような人間と出会う→その怪物から「特別な人」認定される→主人公はその特
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

情緒不安定な母親がいると家族はどうなるかっていうのをかなり現実的に描けていると思った。家族関係に問題を抱えてる人には刺さるんじゃないか。演出も一つ一つ上手くて、チャーリーの舌を鳴らす音の使い方とか、降>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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圧倒的傑作。話として分からないところも多々あるのにここまで面白いのはすごい。今年暫定ベスト

妻二人(1967年製作の映画)

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脚本がよく出来過ぎ。そこに苛烈かつ切実な感情を乗せて生々しくする増村の演出も見事。

博多っ子純情(1978年製作の映画)

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めっちゃ好き。エロいことしか考えてない男子中学生3人組が下品ながらもちゃんと愛らしいのが良かった。恋愛と喧嘩っていう青春映画としてかなり典型的な題材だけど、酸いも甘いもやっぱり青春っていいよねと思わせ>>続きを読む

卍 まんじ(1964年製作の映画)

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終盤、人物の狂い具合がさすがに度を超えててついていけなくなった。最良の増村(『妻は告白する』『夫が見た』など)は常識と狂気の綱渡りが絶妙だったが、これはそのバランス感覚が崩れてる。でもオチは本当に上手>>続きを読む

めぐり逢えたら(1993年製作の映画)

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面白いからいいんだけど、終盤の展開で気になる点が多かった。ウォルターのこともうちょっと考えてあげて!とか、アニーもっと他に言うことあるだろ!とか、ウォルターそんな簡単に引き下がるなよ!とか、サムの心の>>続きを読む

イザベルの誘惑(1985年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ面白い!『ラピラート』より全然面白い。ブリュノ、その恋人イザベル、その元彼アラン、その今彼女リオの四角関係の話だけど、関係が目まぐるしくどんどん変化していく。みんな「何かされたらすぐ何かし>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アンが死ぬまでは最高だった。ロマンチックな感性を茶化しながら、ロマンチックなものを愛でる絶妙なバランス感覚が素晴らしかった。オペラが終わったアンと迎えに来たヘンリーがキスする瞬間に、周りのギャラリーが>>続きを読む

インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

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超面白かった。ショットを一切物語の経済性の中に収めようとしない。予告編見たときから『フルスタリョフ、車を!』みたいな映画が観れるかもと期待したのが当たった。映画の中に出てくる人間やセリフ、現象、動きが>>続きを読む

君と歩く世界(2012年製作の映画)

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両足を失ったステファニーに対して「泳ぐ?」なんていう無神経なことを言えるのはアリだけで、それゆえにアリだけがステファニーの心を開けたっていうのが、逆転の発想で面白い。2人はそのうちに「Opé」というセ>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

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いつも通り滅法面白いが、『彼女が消えた浜辺』『別離』にはあった結末のキレがなくなって、ただのバッドエンドになってしまっている。最良のファルハディは、主人公は闘いには勝ったが一番大事なものを失うという二>>続きを読む

息子のまなざし(2002年製作の映画)

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『サウルの息子』の一人称視点はすでにこの映画でやられてるんだな。カメラがオリヴィエの背後から離れることがない。このやり方なら一人称小説もある程度映画化できるとも思った。
ただダルデンヌ兄弟の映画として
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

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教科書みたいな映画。今後脚本を作るときはこの映画をお手本にしていきたい。
遠方の大学への進学に悩む女子高生、母親との確執、歌うことへの憧れといった点で『レディバード』と丸かぶりで、だいぶ影響受けてるな
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

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何がしたいんだかさっぱりわからない。まず何の話かも分からないので何を面白がればいいのか分からない。
予告編のカンバーバッチがピーターの首に手を回してるショットから、男らしさの権化であるカウボーイと女っ
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レディ・バード(2017年製作の映画)

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超大傑作。サクラメントにあるカトリックの男女別学高校に通う女子高生の物語なだけあって、普遍性に欠けるかと思いきや、親子関係、恋愛関係、友達関係、実存的な不安といった全人類が避けては通れない問題を描き切>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

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レオス・カラックスがここまで有名な監督になれたのは映像センスというよりもドニ・ラヴァンを見つけたことが大きい。ボーイミーツガール系の恋愛映画をやる上で、主人公が孤独だったり欲求不満だったり何かが欠如し>>続きを読む

昭和おんな博徒(1972年製作の映画)

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面白い。加藤泰がそれまでの映画で成功してきたモチーフを全部詰め込んだ集大成のような映画。女博徒が(『緋牡丹博徒』)、跡目をめぐる抗争から(『三代目襲名』)、夫を殺したヤクザ達を1人ずつ殺していき(『み>>続きを読む

瞼の母(1962年製作の映画)

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長谷川伸原作の時代劇はどれも涙なしには見れない。加藤泰も言ってるけど、長谷川伸の物語はただのメロドラマじゃなくて、いつ死んでもいいように家族も恋人も持たないヤクザが、つい恋情や慕情を抱いてしまってジタ>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

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やっぱり対立でできてる映画は面白い。ジェッツとシャークスのケンカから始まって、不良からは足を洗いたいトニーと戻ってきてほしいリフの間でも対立があって、マリアとトニーのお門違いの恋からさらに抗争は激しく>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

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侯孝賢の現代劇はあまり合わなかったけど、これは超面白かった。本物の感情が映ってるのに、ものすごくフィクション的な快楽があるっていういつもの侯孝賢映画。
ハオみたいな男が個人的に大嫌いなので、前半のシー
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マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007年製作の映画)

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失恋の痛手を負ったある男女が出会って、1年かかってやっと結ばれるまでを描いた恋愛映画だけど、その1年間が大したことない、というかつまらないというかヒロインにとってそこまで切実なようには見えない。だから>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

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そろそろウェスアンダーソン調にも飽きるかなと思って見たら、ウェスアンダーソンベスト級の面白さだった。しょうもないことでもどんどん広げていって(内容的にも形式的にも)、最終的に観客を強制的に面白がらせち>>続きを読む

麻希のいる世界(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

すごい。由希と麻希が最終的にたどり着く地点は、溝口の『残菊物語』とか『山椒大夫』に近い。女子高生版溝口と言ってもいい。2人は、一方が声を失い、もう一方が記憶を失った状態で再会するが、まさに地位を失った>>続きを読む

デッドゾーン(1983年製作の映画)

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最初の1時間は最高。握手した相手の過去のトラウマを言い当てるっていうのは『羊たちの沈黙』みたいなカッコ良さがあるし、5年の昏睡状態から覚めたら恋人が別の男と結婚してるっていうメロドラマ展開も泣けて素晴>>続きを読む