水蛇さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

水蛇

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

3.4

カラマーゾフの兄弟か?と思うくらいノるまでに時間がかかって(ノればおもしろいところも似てる)中断しちゃうから冒頭20分だけ3回くらい観た。

全容を明らかにする前に観客にとってはまだ意味不明なシーンや
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ギルダ(1946年製作の映画)

3.5

年末大好きな「マダムXの肖像」を目にする機会があって、そうしたらもうあの絵にインスパイアされたらしいこのリタが恋しくなって。ブラックドレスにロンググローブで歌い踊るリタ、あまりに縁起がいい。拝んじゃう>>続きを読む

ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)

3.7

中盤までロルヴァケル「夏をゆく人々」のノンフィクション地獄版かと思った。音も聴覚過敏にはかなり堪える。

だけど自然養蜂のはちみつを売ったお金でセルフカラーを選ぶシーンでまず自分のなかの何かが大きな音
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

1.9

シャラメを完全に喰ってるアレックス・ロー以外に見るものがない。セクシーすぎる。そもそもシャラメ好きじゃないけど。つまらない作品にあたるのをひどく嫌う人いるけど、そういう人なら怒ると思うよ。

パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.3

慌ただしいときこそロメール。いつ観てもいいけどこんな時期には特にしみわたった。俗っぽくて卑近なことしかしてないのにそんな上っ面を撫でていくように上品なこのかろやかさは他にない。

パリにこんな空いた公
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プラハ!(2001年製作の映画)

3.4

旧ソ連の国で暮らしてる時に、政府の目をかいくぐって無害なふうを装いながら地道な抵抗をつづけたことをソ連時代の生き証人であるお年寄りからよく聞いたけど、この映画の構成自体がその歴史へのリスペクトなんだろ>>続きを読む

シチリア・サマー(2022年製作の映画)

-

美しいゲイが死ぬ映画、何とかならないのかなと思いながらかなり経つ。やっぱりわたし達ヘテロから見て遠くて安全で麗しいこういう世界が望まれてるんだな。普通の容姿のゲイが死なずに生き延びる姿にはヘテロにとっ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.4

劇場で観たときより1年ちかく経った今頃いいなと思えてきてる。

30年くらい生きてみると人も自分もすごく変わ(れ)るんだなってわかることがある。相手やいる場所や経験によってそれまでの自分も評価もひっく
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チアーズ!(2000年製作の映画)

3.3

「メランコリア」で胃に穴があきそうなキルスティンを見ちゃったらこれしかない。ピンクのキャミが2周くらいしてすごくかわいい。

チアは本来ハードなスポーツだからこういうスポ根仕立てが合うよね。試合でのト
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メランコリア(2011年製作の映画)

3.5

愛する人達を遺して悲しませるのも残って見送るのもいやでいやで我慢ならなくて定期的にわんわん泣いてしまうわたしにはすみれ畑をゆく夢のようだった。手をつないで逝きたい。

スワンソング(2021年製作の映画)

3.6

ウド・キアさ〜〜こんな役もできるんだ…泣く…

初めて献花しに行ったアムスのホモモニュメントは死と愛でいっぱいだった。足元に積み重なるエイズで亡くなった恋人に捧げた絵、世間体を気にして一緒になれなかっ
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.3

女の子がまるで宇宙人のような未知の存在に思えた頃のことを描いた、っていう趣旨の発言を読んだら愛しくなっちゃった。男心とか女心とかいうものをことさらに唱えることは男女以前にあるはずの個人をうやむやにする>>続きを読む

ヨコハマメリー(2005年製作の映画)

3.9

メリーさんのメイクや装いを引き剥がして暴くようなところがなくて、最後までちゃんと歴史と尊厳のあるひとりの人として見てる。意外とこれを徹底できるドキュメンタリーは多くないと思う。メリーさん、メイクが濃く>>続きを読む

エッシャー 視覚の魔術師/エッシャー 無限の旅(2018年製作の映画)

3.6

「ある晩 寝ようとしていると、暗闇でイエッタが髪を編む音が聞こえた。静かな海を進む船の音のようだった」

ミック・ジャガーからの依頼をお断りする返信の最後に「ジャガーさんに、マウリッツと呼ばれるような
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ロスト・レオナルド 史上最高額で落札された絵画の謎(2021年製作の映画)

3.8

結果的に現代アートになった。わたしは現代アートが好きだから「コンセプトで勝負するハッタリ」みたいな意味で使われると不本意だけど、これは絵自体の説得力が弱いからしかたない面もある。

「ダ・ヴィンチは誰
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レンブラントは誰の手に(2019年製作の映画)

4.0

公立美術館ドキュメンタリーあるある「美術品を買うお金がない美術館とぽんぽん競り落とす富豪」、今回も残酷だったな。

バックルー公爵だけが安らぎ。あとはみんな真顔で己の潔白を訴えたり、国家が美術品そっち
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

1.7

ド田舎のシングル家庭の美少女が、不毛な地元を出たい気持ちにつけこむグルーミングの末に元AV男優に売られるまでのカウントダウン。

sex work is work派の人にはまた見え方がちがうんだろうけ
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川沿いのホテル(2018年製作の映画)

3.6

96分がちゃんと96分に感じる。「わたし達のための雪だね」って言葉にいくつかの日が救われた。

この詩人みたいな男性アーティスト達にさんざんセクハラされてきたからいろいろ思い出して鬱々としたけど、これ
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砂上の法廷(2015年製作の映画)

3.3

2015年ってまだこのくらいの尺がわりと一般的だったよね?ポンポン進む!だらけたい日にみんなでポップコーン食べながら観るのにちょうどよかった。

ミステリー好きの友人は途中で気づいちゃったみたいだけど
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それでもボクはやってない(2007年製作の映画)

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モデルになった人は無実どころか再犯で有罪判決だし、痴漢を放置しつつ痴漢レイプものをAVの1ジャンルとしてエンタメにし続けながら冤罪の怖さ「だけ」はちゃっかりビッグバジェットで喧伝できるの恥知らずだよね>>続きを読む

青い棘(2004年製作の映画)

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むかし叔母の書斎から借りてきた「トーマの心臓」「風と木の詩」あたりのBL漫画の古典に触れた時、まとまらないクッキー生地をずっとぎゅうぎゅうしてる気分になったの思い出す。わたしは同性愛はわかるけどBLは>>続きを読む

遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

4.0

プリーツやレースいっぱいの純白ドレスで悪態つきながら煙草をふかす悪友達をカメオに彫って身につけたい。ひとりがもらったシャネルのN°5を眺めて3人がうっとりできるこの時代、切ないほどかわいかった。

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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.8

どれだけスピードを出してもさみしさを振り払えない自由な世界。

アホみたいに気性が激しいのでこの世には向いてないんじゃないかという親の心配どおりギリギリの思春期を過ごして瀕死の体で大人に滑りこんだ。自
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スザンヌ、16歳(2020年製作の映画)

-

きっと愛しくて心の中の宝ものとして秘めておきたいことがいっぱいあるんだろうね。作品にすることと、自分だけの聖域を保つことのバランスは難しい。

自分だけの物語、まして初恋を大切にしたい気持ちには本当に
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真夏の素肌(2014年製作の映画)

3.0

エロ誤認詐欺の匂いを感じて。原題"Kak menya zovut"で画像検索したら出てくる髪のジャケが本来あるべき姿だった。やっぱり。

やぶれかぶれな思春期の、風が吹くだけでしみるような傷がところど
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ナショナル・ギャラリー 英国の至宝(2014年製作の映画)

4.8

美術作品や美術館の光(照明)問題が大好きだから半日くらい観てた。そしてまた泣く。何かに没頭してる人、無視できない光を自分の中に抱え続ける人達に泣くのはもうしかたない。

論拠の薄すぎるサルバトール・ム
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オンネリとアンネリのおうち(2014年製作の映画)

4.2

あの頃いつも一緒にいたハナちゃんや、お気に入りだったブルーのティアードワンピースと白いレースのタイツとお花がいっぱいついた麦わら帽子に包まれてる、今。このシリーズふたり暮らしのまま続くの?最高すぎる…>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.9

シリーズを貫くのは、相手にどれだけ深い傷を残せるかという愛の根っこ。愛しあうということは自分の柔らかい無防備な部分を明け渡して、じぶんを生かす力と殺す力を相手に与えることだ。お互いにものすごい特権。>>続きを読む

ブラウン・バニー(2003年製作の映画)

1.0

これが評判になった結果、名作らしいからとわたしも15くらいで観てしまったのは悲劇だった。007で爆破される車の方がデイジーより尊厳ある。これは誰かを深く愛したがための人間の弱さじゃなくて、女性を踏みに>>続きを読む

ジェリーフィッシュ(2007年製作の映画)

4.0

これを観たあとは普通のお水さえおいしい。

公開当時に雨漏りが心にちいさな穴を穿ったような清々しい感じがしたけど、最近になって作家としてのエトガル・ケレットとこれが結びついて全身の力が抜けてしまった。
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アスファルト(2015年製作の映画)

4.0

バンリューだけどバンリューものじゃない。どんなものでも限定された意味や顔しか持たないのは好きじゃないからもっとこういうの「も」どんどんほしい。ユペール様はこのくらいの役は余裕すぎてちょっと退屈そうに見>>続きを読む

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

4.3

こんなの泣く。映画音楽の難しさ、プレッシャーを語る時でさえ新しいおもちゃを開けた子どもみたいな表情の錚々たる職人達を見て泣くなという方が無理。そんな彼らだから、誰かの才能や功績を大興奮で語ってるうちに>>続きを読む

MISS OSAKA ミス・オオサカ(2019年製作の映画)

3.1

プッチーニ好きのミミコっていう設定の時点で、監督の日本への情熱が微妙な遠回りをしながら不思議な音を立ててる。こういうのが好き。すごく曖昧で散漫なのも、つかみどころのない未知に対面したときの浮遊感に似て>>続きを読む

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)

4.0

国をあげて少年を消費した挙句、そこに心身の虐待があったと知って「わたし達はちゃんと内側も見てたんだ」って喜ぶ池田理代子に卒倒した。鬼か?人の苦しみで気持ちよくなるな。

池田理代子に限らず、日本の出演
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フットルース(1984年製作の映画)

3.2

スト終結を祝ってケヴィン・ベーコンがこのダンスをしてるのを見たらときめいて戻ってきちゃった。オープニングがクライマックス。

典型的な80年代アメリカのハイスクールもので古めかしいけど、少しイカれたア
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