水蛇

スザンヌ、16歳の水蛇のレビュー・感想・評価

スザンヌ、16歳(2020年製作の映画)
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きっと愛しくて心の中の宝ものとして秘めておきたいことがいっぱいあるんだろうね。作品にすることと、自分だけの聖域を保つことのバランスは難しい。

自分だけの物語、まして初恋を大切にしたい気持ちには本当に共感しかないんだけど、それはそれとして16歳と恋愛する35歳はおなじ大人として軽蔑するな…野暮だとか無粋だとかいわれても、こういうおしゃれでほろ苦い雰囲気で大人の責任と子どもの安全をうやむやにしないでほしい。大人としての自分も、少女だったかつての自分も観てるあいだずっと悲しかった。特にスザンヌみたいに同級生に退屈して醒めてる子ほど大人にとって御しやすいものはないからこわいんだよ。

18歳に告白されて「絶対に無理、なし」と最初に体中で感じたのが23歳の時で、それは好み以前の、自分は間違っても同意できない(そんな気になるわけがない)という感覚だった。あの時わたしははっきり大人になったのかもしれない。こういうことか…と思ったし、歳を追うごとにのしかかる心配と責任は重くなるばかり。その度に、10代のわたし達を口説こうとした成人男性達の恐ろしさがどんどん照らされてきて吐き気がするんだ。なんて危険な淵にいたことか、紙一重で守られてきたことか。
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