むらむら

ブラック・フォンのむらむらのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
5.0
ポスターのイーサン・ホークのビジュアルが気になって鑑賞した、ホラー作品。

イーサン・ホーク演じる監禁犯に捕まり、地下室に閉じ込められた少年フィニィが、過去に捕まった少年たちからの電話での助言を得て、なんとか脱出を試みる話。1970年代の設定ということだが、なぜ都合よく地下室に黒電話(ブラック・フォン)が設置されているのかは不明。

まずフィニィくんが、とても頭が良くて好感が持てる、というのが第一印象。

凡百な監禁モノだと、壁をドンドン叩いて

「開けろー!(ドンドン)」
「……」
「ふぅ……(寝っ転がって諦める)」

……と、生死がかかっているとは思えないくらいのスピードで達観した諦め方をするのだが、このフィニィくんは、かなり頑張って地下室から抜け出そうとするのよね。この努力と知恵に、フィニィくん、監禁されてなくても成功してるタイプの人間だと確信したわ。

翻って、イーサン・ホーク演じる監禁犯は、確かに少年たちを監禁する悪いヤツではあるのだが、イーサン・ホークだし、「チャーリーとチョコレート工場」のパチもんみたいなマスクもチャーミングだし、あんまり怖くない。

よっぽど、昨今、日本を騒がせている

「フィリピンのルフィたち一味」

とか

「中国から飛んでくる謎の気球」

とかの方が、怖いのは間違いないし、この作品に限っても、前半でフィニィくんを虐める小学生連中のイジメ描写の方が、ガチで怖かった。

ついでに言うと、フィニィくん、学校でイジメられてるのに、クラスの美少女から「あんな奴ら、気にしなくていいよ!」とモテてるの羨ましかった。圧倒的勝ち組。

俺なんて、小学生のとき、体育の時間にクラスの美少女と向き合って体操服で体育座りしてて「ラッキー!」って内心ドキドキしてたら、クラスのイジメっ子に

「むらむら、ハミチンしとうばい!」

ってツッコまれ、不可抗力でハミチンしてた俺が「キャー!」って叫ばれて、その後バイキン扱いされてたよ!?

まぁ、イケメンボーイのフィニィくんだったら、女子の前でハミチンしてても「素敵……抱いて!」とさらにモテてしまう気もするのだが。

……そんな黒電話ならぬ、黒歴史な自分語りを交えた俺とフィニィくんの比較はさておき、フィニィくん兄妹が健気で可愛かったし、マイルドホラーが好きな人には楽しめる★5の作品ではないでしょうか。

イーサン・ホークのホラーだと「フッテージ」がガチ怖くて泣きそうになったので、ガチ勢にはそちらをオススメします。

しかしイーサン・ホークも、こんな変なマスクを付けてフィニィくんみたいな良い子を襲って監禁するくらいなら、日本に来てスシローで暴れてるバカな中学生連中を処分してくれれば良いのに。

(おしまい)
むらむら

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