ASUKA

デリシュ!のASUKAのレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
4.8
めっちゃいい〜好き〜

原始的な料理もちろん、性格の悪い貴族が安っぽさを醸し出す反面、静物画ショットのおかげで絵画好きな私にとっては少なくとも数段リッチな映画となった。
エンディングも含め3ショットあったんですが、狙ってるのわかるんだけど、センス良すぎて舌を巻きました🌀


当時鶏は鶏屋的な領分があった(ギルド)ため、新しい文化に対する風当たりはきっともっときつめだっただろうに、映画のカラーを損なわない程度に労働者の生活を描きつつ、ただの飯映画にしない丁寧さが美しい・・
ちなみにギルドに訴えられたレストランが、これは鶏でなくて鶏を加工した料理というものだから違反してない!(そんなバカな)みたいな理屈で裁判に勝ってたらしいです。
勝てたのは革命前の気風があったからですかね。

契約以外のメニューをつくり、ハンセン病の病原とされていたジャガイモを使用して雇用主の逆鱗に触れる主人公(それはそう)
ただそれだけじゃなくて、公式の監督インタビューで知りましたが、ジャガイモはイモくさいから嫌われてたわけじゃなく、高貴な人たちはより天に近い空中にいる要素が多い方が神聖だと考えてた(きっとタワマンに住んでる)からだそうで、キノコより木の実、牛より鶏肉ということだったんですね。

新時代を象徴するような先進的考えを持った経営者気質の息子、元貴族で作法も給仕も完璧な母(的存在)、三國シェ・・じゃなくて料理長の3人で回すのには無理なほど繁盛して、明るい未来しかないハッピーエンドとやりすぎない演出が心地良かった。

久々にパン作りたくなりました。
ちなみにデリシュのレシピは公式に紹介されています。
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