ごい

オッペンハイマーのごいのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
人類がいつでも全滅できる状態になっている現実を思い出させられる。

畳み掛けるような演出と整然としているので無秩序にも思えるストーリーラインに振り回され続ける3時間

初見だと核兵器について深く考える間もないほどの情報量なんだけど、妙に頭にこべりついて、その後色々と考えてしまった。ロスアラモスを去っていく2つの爆弾が忘れられない。

テネットやインセプションを観たときに「あれはなんだったんだ?」と思いを巡らせるのと同じように、オッペンハイマーや大量破壊兵器、それを取り巻く政治や市井の人々について考えさせられるのはノーランの強さなのかもしれない。

あまりにもオッペンハイマー視点かつ原爆被害に対するコメントも差し込まれない作品ではあるので、日本で公開するのには7,8月を避けたかった意図はある程度理解できる。ただ、もう少し観客のリテラシーを信用してほしいという気持ちもあったな。

観れば明らかに原爆に肯定的な作品ではないことは明らかだし、オッペンハイマーの人間性がダメ寄りで複雑だったりして、感情移入するような作りにはなっていない。ただ、当時の登場人物たちの感情や思想をそのまま反映しているので、原爆被害に繋げて考えるとしんどいところではあるけれども。


作品の映像や音楽の品質は例の如く素晴らしい出来だった。狂ったようにアナログ撮影にこだわる点も面白い。
IMAXはノーランとドゥニヴィルヌーブの独壇場だなぁ
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