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ある男のecoのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ラスト以外はすごく良かったがラストだけ自分にはハマらなかった。殺人犯の息子、帰化人……自分ではどうすることもできないにも関わらずどうしても他者から様々な目で見られてしまうアイデンティティから逃れる手段としての戸籍の入れ替え。城戸の感じる原への親近感には鑑賞するこちらとしても理解できるところがあるが、だからこそ最後城戸がその戸籍入れ替えを実行してしまうところにやるせなさを感じてしまい、読後感ならぬ鑑賞後感が後味悪くなってしまうように思えた。朝鮮人の血が流れているための城戸の日本での生きづらさを、そのまま城戸という弁護士として生き跳ね除けようとするのではなく、(おそらく)日本人という戸籍を手に入れてしまったところには、観客としては戸籍の入れ替えによって振り回される他者(家族)を同時に見させられるという理由もあってかどうしても城戸にはそのまま生きていて欲しかったという気持ちが芽生えてしまうが、弁護士という世間的に見て成功している城戸でさえ戸籍を変えなければ自分では無い力によって付与されたアイデンティティから離れることができない、それこそ城戸の言っていた「ここまでしないと生き直せない人がいる」ことの何よりの証拠なのだろう。
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