こばまさ

余命10年のこばまさのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.0
藤井道人監督のファンと言いながら、観ていなかった本作。
だって、なんかさ…アレじゃん?タイトルからしてアレじゃん?(どれ…
こういうジャンルは基本観ない人なんだけど、今回ばかりは箱ティッシュを抱えていってみよう!


-数万人に1人という不治の病で、余命が10年であることを知った20歳の茉莉(小松菜奈)
彼女は生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めていた。
そんなある日、地元で開かれた同窓会で和人(坂口健太郎)と再会する茉莉。
恋だけはしまいと決めていたはずの彼女だったが、次第に和人に惹かれ、2人の運命も大きく動き出す-

“箱ティッシュのおかわり下さい…”


今年に入って、ここまで泣かされたのは『ラーゲリより愛を込めて』以来。
これ、映画館で観てたら鼻すすりすぎて退場させられたと思う。


最初に記した様に、この手の作品はほとんど観た事がない。
要は「死ぬ事が決まっている中で進む」難病の恋愛もの。
あ!『セカチュー』ガッツリ観てた…
もしかしたら、観ない様にしてるだけで食わず嫌い説が浮上してきたかも。

しかも、今更ながら小松菜奈の演技を初めて観たという…
一応『来る』で観た(らしい)けど、ほぼ覚えてないしなぁ…
いやほんと、すげぇよ、小松さん。
今まで知らなくてごめんなさい。
菅田将暉と小松菜奈って、そりゃ結婚するよね(よく分からないけど今納得した
この人は、天性の素質がある。
コバスカウターが、そう示した。

対する、坂口健二郎。
観たばっかりの『パレード』の3倍は良かった。
もっと言えば『ヘルドッグス』の7倍良かった。
ワタシの中で、彼は演技が上手いのか未だによく分からない。
もちろん下手じゃないけど、心に刺さる演技や役を観た記憶がない。
しかし、本作の彼は、今まで観た中では1番キャラに合ってたというか、良かったと思う。
ちょっと頼りなかったり、人間臭い方が彼の良さが活きる気がするな。


主人公・茉莉を支える家族も素晴らしい。
優しい母親・原日出子
寡黙な父親・松茂豊
妹想いの姉・黒木華

中盤で、茉莉が母親の肩に寄り掛かり「もっと生きたい、死にたくない、親孝行もしてない…」と吐露するシーンで、誰よりも泣きたい母親は涙を見せず、その会話を背中越しで聞き涙する父親。
このシーンで、大量のティッシュが消えた。

病室で、茉莉が姉に「お姉ちゃんがお姉ちゃんで良かった」と感謝を伝えるシーン。
その時の黒木華の表情と涙に、また大量のティッシュ投入。

もちろん泣ける作品なのは分かっていたけど、クライマックスだけじゃなく後半の1時間はずっと涙が止まらない。
やられた、完全にしてやられた。
脚色はあれど、実話だし。

原作と若干の設定変更はあるみたいだが、ワタシはこの映画の脚本も見事だと思った。
撮影に1年をかけ、四季折々の風景を美しく取り入れたシーンの数々、そして何より、前述した俳優陣の素晴らしい演技。
その全てに感動したし、やはり藤井道人監督の技量に感服させられた。


てか、コレにもリリーさん出てるね。
田中哲司も、この作品ではいい味出してた。
そして、全く目立たないけど茉莉の友達役で三浦透子も出てました。


今ある命を、大切に生きよう。
こばまさ

こばまさ