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THE FIRST SLAM DUNKのモネのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.3
【グランドジャンプのスラムダンク】

この作品の感想を語る上で、まず欠かせないのがあなたのスラムダンクはどこから?という点であると思う。私は中学生の頃、既に連載を終えた状態で出会い、猛烈にハマり、漫画・アニメ・その後・資生堂のCM・そしてリアルも読み始めた位のファンでした。

そんな自分としては、非常に面白く、感動し、こんなにも面白いスラムダンクを見せてくれてありがとう。そして井上先生の頭の中を映像で観せてくれてありがとう、という感謝の気持ちでいっぱいでした。

物語としては始まりから非常にヘビーで、終始落ち着いたトーンで進み、これは「リアル」という作品を描いてる人の描くスラムダンクだ、と思いました。青年誌で連載してるスラムダンクと言った感じ。
主人公の交代も、とても納得しました。ピアスを読んだ時に、このキャラに対して想いがある事は薄々感じていたので…。
後付けの設定もあるのでしょうが、原作で年の割に妙に落ち着き、達観していた彼の人物像が腑に落ちました。
また、昨今の話題作の主人公は、炭治郎にしろデンジにしろ、「痛みと喪失を抱えた人」である傾向があるため、時代性にもあっている様に思いました。

そして手描きのイラストに命が吹き込まれるようにアニメになっていくOPを見て、資生堂アレフのCMを瞬時に思い出しました。(あれは確か演出で参加されいて)そうだ、この方は短いアニメを作った経験のある人だった、と思い出す。
そして「手描き」である事にこだわりのある方だったな、という事も同時に思い出しました。

その後は井上先生の絵が動いてるような3DCGのモデルをベースとしたアニメーションが続きますが、これが試合シーンにピタリとハマる。私は実際のバスケの試合を観たことが無かったのですが、きっと物凄く面白いんだろうなと思わせるほど、素晴らしかった。
手描きにこだわる先生がCGを選んだのは、それ以上にバスケの面白さを知って欲しいと思ったからではないかと感じました。
アニメとして、映像表現として、新しい境地を見る事ができたと言う点は、ファンである事を差し引いても、多くの人にオススメしたいポイントです。
こんなにも3DCGを有効活用し、自然に魅せてくれる作品は、他にGANTZ:O位だと思います。
名試合を観るかの様に、また観たいと思う作品です。

余談ですが、安西先生のタプタプモーションと、みっちーのクタクタ具合(と言うよりヘロヘロ具合)に関しては、漫画以上によく伝わってきました。みっちーこんなに疲れてたのか…と大変実感が湧きました笑

2023.9.2追記
バスケ日本代表がオリンピック出場を決め、この映画の主題歌である第ゼロ感が流れ、本当に感動しました。この作品にドンピシャだと思っていたけど、今の日本バスケ界にもぴったりでした。
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