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LAMB/ラムのsymaxのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.6
"それは、天からの授かりもの…"

アイスランドの人里離れた山間部で羊飼いを生業とするイングヴァルとマリア夫婦が慎ましく暮らしていた…

ある日、飼っていた一頭の羊が出産…産まれたのは羊でも人でもない"何か"…

産まれた"何か"を幼くして亡くなった娘の名"アダ"と名付け、産んだ母羊から取り上げ自分達の子として育てる事に…

アダとの生活は、イングヴァルとマリアに奇跡とも呼べる幸せに満ち足りたものとなりますが、母屋の外には子を奪われた母羊の悲鳴にも似た物悲しげな鳴き声とマリア達を責め立て睨みつけるその目が…

全く予想もつかないシュールな展開とそのヴィジュアルに目が離せません。

淡々と夫婦の日常が描かれる中、突然現れた"何か"…トンデモ展開なはずなのに、奇跡としてあっさりと受け入れ、恐怖や不安よりも喜びと幸せを感じる夫婦…物語が進み二人の過去に何があったのかが徐々に分かる中での奇跡なのですから、こりゃあ受け入れますよね。納得。

イングヴァルの弟ペートゥルがやって来てアダがおかしいと思う展開から不穏な空気になりそうなところ、アダが可愛いから、あっさり良いおじちゃんになってしまうペートゥル…

産みの母である羊と育ての母であるマリアの種を超えた"母"としてのタイマン勝負の異様な迫力…そして終盤の怒涛の展開とぶった斬りなラスト…中々の破壊力のある作品でございました。

色々な考察があるとは思いますが、私的には"北欧神話"っぽさを感じてしまいました。

…あとちょっとね…寺沢武一の漫画"コブラ"を思い出しちゃった…
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