やべべっち

コンパートメントNo.6のやべべっちのネタバレレビュー・内容・結末

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2021年カンヌグランプリの作品だがかなりヘンテコな北欧多国籍列車トラベルムービー。

ラウラは同棲愛者でイリーナの同居人。その恋人とペトログリフを一緒に観に行くつもりがドタキャンされてしまう。ラウラは自分がない。ペトログリフの良さを自分の言葉で語る事も出来ない、イリーナに頼ってしまいホテルの予約もペトログリフへのツアーが無いことすらも調べていない。(どうでも良いがホテルのフロントの顔長の女性がインパクト強すぎる)イリーナの世界の一部となる事を望んでおり彼女への依存心が強く旅先も彼女への連絡を絶やさないし、カメラに今までの全てを入れている。

その大切なカメラを盗まれる事は彼女にとって皮肉な事に過去への決別だったのではないか。リョーハという丸坊主の粗野なロシア人は繊細な彼女に取って怖いし気持ち悪い。だがラウラの心を溶かし本音を語れるのは彼が彼女にとってパッセンジャーだからだとも言える。ていうかあの狭いコンパートメントの列車旅行はもうする事はない事なのだろうな。

これはラウラとリョーハの恋物語ではない。共同体感覚を取り戻す旅というものの持つ癒しと可能性について描いた映画だと私は捉えたよ。