やべべっち

戦雲 いくさふむのやべべっちのレビュー・感想・評価

戦雲 いくさふむ(2024年製作の映画)
3.8
今月沖縄にワークショップに参加した。だからこそ今月中に観ておきたかった映画だった。

描き方は雑いかな?と思えるし、沖縄の人達の生の声をそのまま届ける事に余りにも忠実になり過ぎているなとも感じた。

この映画監督の三上智恵さんの国防に対する怒りがあちらこちらに蔓延しており観終わった後かなり疲弊した。podcastで彼女の考えや撮影時の彼女の思考の混乱、疲弊も理解出来たしこの映画はこれで良かったのではないかとも思う。

最初は自衛隊の駐在や基地をつくるだけの筈がなし崩し的にミサイル、弾薬庫の導入。反対の署名を集めれば法律が変わる。大きな組織というのはそれが一見民主主義であったように見えてもそういう風に機能しない。

この令和のSNSの透明性が謳われている時代ですら昔の軍国主義のようなやり方が横行していく。次々と状況が悪化していく中で三上監督もどうまとめていくか迷った筈だ。

三上監督は言う。もし与那国島や宮古島などが奪われて何を失うかを描くのがわかってもらう必要があるので楽しいシーンや沖縄の文化的なシーンも入れたと仰っていた。その意見は大賛成なのだがその沖縄の文化、今日本本土が失いつつある文化を描いているシーンが少なく余りにも自衛隊と地域住民の衝突を描く事に終始しすぎている気がした。

だがそれもこれも三上監督の危機感の表れだったとも思うし焦燥だとも言える。ただ情報としてでも知れただけでも良かったと思う。

日本でそして世界において何故このような事が起こるのか、もうちょっと考察していきたいと思う。