アピチャッポン監督作品…スローなアンビエントムービーなので今回もエナドリを準備 (。ρω-。)ネムネム
静止画のように始まるファーストショット…
突然鳴り響く爆音!…駐車場では車のアラートが鳴り響きます…。
そして亡霊のように浮かび上がる影…主人公のジェシカ(ティルダ・スウィントン)…。
彼女が体験する脳内の爆音…いつ鳴るのか? 何故鳴るのか? …そんな彼女の奇妙な体験を観る側が追体験します。
『コンクリートの塊が落ちたような…』
『地球の核から鳴り響く轟音のような…』
こんなにも"音の言語化"が難しいとは…まさに今作も言語化が難しいのですが…っს
彼女は音響エンジニアの青年エルナンや考古学者アグネスと接触…音の真相を突き止めようとします。
しかし数日後、エルナンを訪ねますが…そんな人物は存在しない…と…彼女の周りで起こる様々な違和感…。
導かれるように彼女は森の奥地へ…そこで同名エルナンという仙人のような男性と出会い、メモリア(記憶)について語り合うのです…。
爆音の正体とは…。
今作は『音』がとても重要な役割を担い、全編を通して背景音が流れます…街の雑踏、自動車、風、水、虫、鳥、降り出す雨や近づく雷…etc. ただ、それらは決してBGMとしてではなく…台詞をも掻き消してしまいます…スクリーンの中の音なのか外の音なのか錯覚するほどに…また、作中でのバンドのライブ演奏の曲も聴き入るほど素晴らしい…。
映像も恐ろしいほど見事…色彩、構図、ロングショットの長回し…全てが心地いいです。
そしてその画の中のティルダ…彼女の存在無しではこの作品はあり得ない…中性的で異星的…日常の中の非日常に迷い込んだよう…。
〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜
同監督の『光りの墓』にはかつての王宮の記憶によって人々が操り人形のように動いていく美しいシーンがありました。今作の記憶(=波動)は土地だけではなく、石やコンクリート…人間の身体の奥底に存在するというストーリー…。
『僕はハードディスク、君はアンテナ』
…とエルナンが言うように、ジェシカには他人の記憶が自分自身のもののように蘇る能力があるのです…。
彼女が考古学研究所で触れた6000年前の少女の頭蓋骨…その少女の記憶!?
ラストは…茫然!! 森から飛び立つ宇宙船!? えっ!? SF!?
爆音も車のアラートも…まるで『未知との遭遇』?!
音を想像することは記憶に繋がる…とても深淵で神秘的な作品…。
thanks to; ゴリアテさ〰︎ん ✩୭⋆*✦*⋆୭*✩