「えっ、これ総集編じゃないの?」
観終わった瞬間の感想はこの一言に尽きる。
約2時間の作品だが、10話くらいのTVシリーズをまとめたくらいのエピソードが詰まってて、ファスト映画みたいな目まぐるしさ。
観てる間、脳がライダーベルトみたいにフル回転してた。
混乱の中で、個人的に良かったのは以下の三つのポイント。
1.怪人がいっぱい出てくる
全員コミケのコスプレみたいなチープ感があって、悪役だけど憎めない怪人(オーグ)が「これでもか!」ってくらい出てくる。西野七瀬とか、コミケにいたら、撮影隊の輪だけで東京湾にハミ出してしまいそうなコスプレ感。
とある悪役(わりと強め)が「ウィジャシャーク」の「ミスティックシールド」みたいな技を出してるのにも「おおっ!」と嬉しくなった。
死んだら洗剤みたいになるのも多分オマージュだよね?
一つだけ謎だったのが、中盤に出てくるカマキリ怪人。
「体が透明になるマント」
というかなりチートな道具を持ってるのに、仮面ライダーと戦う段になったら、マントを脱ぎ捨てて、フツーに肉弾戦やってるの、いくらなんでもバカすぎない?
肉体強化した分、脳みそが弱くなってるってこと!?
最強の武器である透明マントを脱ぎ捨てて、一騎打ちをするカマキリ怪人には漢を感じざるを得なかった。案の定、ボコボコにやられてたけど……。
2.行動原理が単純な登場人物たち
本郷猛、一文字隼人、ルリ子という登場人物からして、初期「仮面ライダー」1号・2号あたりのリメイク。なので、基本的には登場人物のみんな、結構単純明快で短絡的。
なので、
「ヒロインのルリ子、都合悪くなったら倒れてばっかじゃない?」
とか
「主人公の本郷猛、前半、あんなに『人を殺してしまった……』って悩んでるのに、後半飛んだり跳ねたり、嬉々として怪人をブチ殺してないか?」
とか、そんな指摘をするのは無粋というもの。上に書いたように、おそらくみんな、ショッカーに改造されて、体力にステータス全振りされてるんだもん。
3.めっちゃロケしてる
もはや
「仮面ライダーと行く、日本全国旅紀行」
なんじゃないかと錯覚させられるくらい、日本各地を旅する仮面ライダーとルリ子。
特に自衛隊の格納庫とか、工場地帯とか、もはやオッサンホイホイとしか思えない風景が惜しげもなく続くの、確実に俺得だった。
マニアたちがこれから聖地をハエ怪人ばりの眼力で聖地捜索をしてくれると思うと、とても楽しみになりました。
その移動に大活躍するバイク・サイクロン号だけ、めちゃくちゃかっこよく変形するんだけど、劇場で「トランスフォーマー」の予告観た直後だったから「ふーん」としか思えず残念。仮面ライダーの前に「トランスフォーマー」の予告出さないでよ。日本のCGチームがせっかく頑張ったのにさ……。って思った。
というわけで、賛否両論あるみたいだが、2時間近くで仮面ライダーのいろんな側面を楽しめるタイパのよい作品だったというのが俺の感想。
たしかに俺が「シン・仮面ライダー」に求めていたものを挙げていけばキリがない。
「ええい、シャドームーンは出て来ないんか!」
「全ての悪事を『ゴルゴムの仕業だ!』で済ませてほしい……」
「幼稚園のスクールバスは襲わないの?」
「『俺は立花藤兵衛だ』歌ってほしかった……」
などなど、仮面ライダーに深く触れていない俺ですら、そんな妄想を抱いてしまう。
ま、でも、そんな勝手な要望を書こうものなら、どこからともなく仮面ライダー警察がバイクで
「ブロロロロー」
とやってきてライダーキックをカマされそうなので、書かないでおきます。
この調子で行くと、次回作があるとして、次回作では「仮面ライダーV3」が主役なんじゃないかと予想するのだが、ここは敢えて、顔の下半分が丸出しで、パン食い競争で確実に優勝する以外取り柄のない
「ライダーマン」
を主役にして、バットマンとケツアゴ対決する新作を作ってほしいです!
(どこからともなく「ブロロロロー」というバイクの排気音が近付いてきて……おしまい)