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劇場版 呪術廻戦 0のNGのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


原作既読。
原作に忠実でありながら《新宿・京都百鬼夜行》の戦闘シーンを追加するなど、既読組もたのしめる要素を足しつつ、決戦当時一般人であった本編主役の一年生たちに無理に出番を与えたりはしない誠実さ、バランス感覚が素晴らしい。若い呪術師が死を覚悟するほど強い特級相手に黒閃四連発喰らわすななみんも、高田ちゃん出演予定のクリスマス特番のために20時には帰りたい東堂も、京都勢もいのたくも全部よかったし、たのしそうに笑うさしすの学生時代に胸が痛くなった。

私自身は1~16巻読んだあとに0巻を読んだから夏油のことをただの一度も悪者だと思ったことがないけど、原作未読のアニメファンや、本作ではじめて呪術廻戦に触れるひとは夏油が極悪人にみえるのかな。

最後の乙骨vs夏油は「失礼だな。純愛だよ」という乙骨の心の底からの言葉、本心、本物の愛に「ならばこちらは大義だ」と偽物の言葉、自己洗脳による理想で対抗した時点で夏油の敗けは決まっていたんだよね。
「猿の時代に幕を下ろし、呪術師の楽園を築こう」と非術師のいない世界を望みながら、百鬼夜行を「地獄絵図」と言う。最後までじぶんの思想に酔うことも、狂うことも出来ずに死んでいった〈最悪の呪詛師〉と呼ばれた心優しき男。真面目で善良なにんげんが笑えない世界なんてそっちの方が間違ってる。それが罪なきにんげんを殺してもいい理由にはならないけど。やるせない。
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