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カラオケ行こ!のNGのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.5

原作既読。実は和山作品で唯一あまり刺さらなかった作品だったけど、大会常連の強豪校で部長になるほど本気で合唱に向き合っていた聡実くんが中学校生活最後の大会を捨て、ソプラノでいられる残り僅かな時間を狂児に捧げた健気さや青さ、「俺が見えないのか、すぐそばにいるのに」という狂児への怒りにも近い激しい感情が変声期の少年にしか出せない不安定な高音から伝わり、最後の『紅』歌唱シーンで一瞬にして虜になってしまった。キャラクターが生身の人間の器を手に入れたことではじめてわかる良さってあるよね。サブリミナル『紅』のシュールさもすきだった。

モノローグがカットされたことにより和山作品の持つローテンションギャグ感やシュールさは多少失われていたもののオリジナルエピソードや設定を追加するなどし、あくまで〈映像〉でふたりの関係性や心情を伝えようという作り手の姿勢もよかったし、ひさしぶりに実写映像化することの意義みたいなものを感じられてうれしかった(?)
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