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バジーノイズのNGのレビュー・感想・評価

バジーノイズ(2023年製作の映画)
3.0

深夜三時過ぎに顔見知り程度の他人の家に凸った挙げ句ベランダに侵入して窓をぶち破るなど非現実的な設定や行動が多く、つっこもうと思えば無限につっこめるけど、清澄役の川西拓実くんの演技と「音楽がすきだ」というきもちにうそがなくて感動してしまった。ライブ中の清澄の瞳は太陽の光が水面に反射するみたいにキラキラしてる。

反対にマザーズのボーカルは真っ暗な瞳の奥でギラギラした炎が燃えていて、少しの諦めと諦めの悪さ、その両方を感じる。黒と赤。自分の立ち位置や将来を冷静に俯瞰し、あえてあぁいう立ち回りをしているのがなんとも切ない。

清澄はある日突然やってきてかき回すだけかき回して去っていく災害みたいな潮に心を乱されているけど、潮にそうさせているのは清澄で、潮も陸も航太郎も沖さんも後輩バンドすらもみんな清澄に振り回されている。誰もが無視できない存在、ほんとうに災害みたいな存在なのは間違いなく清澄の方で、天才ってほとんど天災なんだろうなと思う。

「すきを続けるってムズいんだよ」

すきなひともすきなものもじぶんを取り巻く環境もじぶんすらも日々刻々と変化していく中ですきなものをすきで居続ける、すきを貫くためにみんななにかを諦めたり、犠牲にして生きている。でもだからこそそれでも大切にしたいと思えるものがきっとじぶんにとっての核となり得る特別なすきになるんだろうなぁ、なんてことを考えたりした。
理屈ではなくハートで感じるべき映画なのに説明台詞が多いのがちょっと残念。
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