うえびん

エンドロールのつづきのうえびんのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.2
光の射す方へ

2021年 インド/フランス作品

キラキラ煌めき、色鮮やかな映像が美しい。インド農村部の自然、子どもたちの純真な眼差しが眩しい。チャパティ、ほうれん草のドクリ…、彩り豊かな郷土料理が食欲を誘う。

「映画は物語だ」
何より、映画愛や親子愛に満ちた物語に惹き込まれる。

普段は、想像すら及ばない光と色について知りたくなった。

光はあらゆる物理現象の中で最速と言われている。光の凄まじいスピードは、私たちの時間の感覚を歪め、超越していく。実際に人が高速で移動したら、時間は止まってしまう。

光というほぼ非物理的な次元では、光の量は光の質ほど重要ではなく、光の質は私たちが色として感知している周波数に応じて変化する。

私たちは光を色で感知している。色は波長や周波数によって決まる。実際の光は、周波数に比例したエネルギーを持っている。周波数の低い赤、オレンジ、黄色などの「暖色」系はエネルギーが少ない状態にあって、周波数の高い緑、青、紫などの「寒色」系はエネルギーが高い状態にある。

私たちが知覚しているのは物質ではなく、光だ。自分の周りの世界を眺めているとき、さまざまな物体を見ているつもりでも、実際に見ているのは物体が反射した光だ。つまり、私たちは物体そのものではなく、物体との間にある物体を取り巻いている空間を見ているのであって、実際の物体を見抜くことはできない。

赤色に見えれば、それはその物体が赤い光を除くすべての周波数を吸収しているということだ。

「ギャラクシー座」

自分で光る太陽のような星(恒星)。恒星の中で地球から一番近い星は太陽で、他の恒星はとても遠い所にある。太陽から一番近い恒星「ケンタウルス座アルファ」は、太陽から光の速さで旅して4年強かかる。太陽から地球に光が届くのに8分かかり、私たちが見ている太陽は、正確に言うと8分前の太陽ということになる。

地球から光で7年かかる所にある恒星「おおいぬ座」のシリウス。それを見る私たちは、その星の「7年後」ではなくて「7年前」の光を見ている。恒星はもっと遠くにあるものが多数あり、中には光で100億年以上もかかるような遠い星もある。

「光をつかまえる」
「語り手にこそ未来がある」

私たちは、過去の語り手が放った光(≒映画)を、未来に遅れて見ている。時が経っても色褪せずに輝き続ける光を…。
うえびん

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