Tラモーン

パトニー・スウォープのTラモーンのレビュー・感想・評価

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)
3.6
日曜日だし久しぶりにコメディいくか!と思いきやなかなかのブッ飛び映画でした。


1960年代のニューヨーク。広告代理店の役員会の最中に社長が突然亡くなってしまう。その後任として投票で選ばれたのは唯一の黒人役員パトニー・スウォープ(アーノルド・ジョンソン)だった。彼はほとんどの白人役員を解雇し、新たに黒人ばかりで役員会を組織。そして社名を"Truth & Soul"に変えてしまう。


1960年代にロバート・ダウニー(父ちゃんのほう)が監督を務めた映画で、2019年にフィルムが復元されたことでようやく日本でも公開されたとのこと。ポール・トーマス・アンダーソンのお気に入り作品なんだとか。

地元のミニシアターで公開されてたときに観に行けなくて、かなり気になってたので楽しみに観たんだけど、予想以上にトガってて正直ちょっと置いてかれた。

冒頭から皮肉っぽいセンスが炸裂してて、「メンサ」と背中にわざわざペイントした服を着たコンサルが役員会に乗り込んでくる珍妙なオープニング。

"ビールは実はただのおしっこ製造水だ"

アホ過ぎる白人役員達の身から出たサビにより社長に就任したスウォープがいきなり権力振りかざして、選ばれた次の瞬間には役員会がアフロばっかりになってるの超笑った。ちなみにオープニングクレジットの出し方が超お洒落。

"いっそ会社をブチ壊せ!"

もうそこからはひたすらスウォープのワンマン社長やりたい放題企業になったTruth & Soulのトガって日常が繰り広げられるばかり。

中国人顧客の"1人真珠湾攻撃"ヤバかったな。大統領が小人症なのも笑っていいか分からな過ぎるし、しつこく繰り返される荷物用エレベーターとカメラマンの売り込みもナンダコレ?
個人的には新人ボディガードのバカっぽい過激さがクッソ笑った。

"初仕事で大統領に会うとはな"
"殺してやります"

全編モノクロなのに作品内コマーシャルはカラーで撮られてて、妙ちきりんで下品なのに何故だか印象に残るスタイリッシュさがクセになる。扇風機(かエアコン?)のCM超よかった。でもあの航空会社のCMはダメだろwww好きだけどwww。

ナンセンスかつ過激なユーモアの応酬が続くんだけど、ところどころ風刺の効いたセリフがあって結構印象的だったなぁ。

"新しい何かを生み出すために破壊するんだ。言葉だけでは何も変わらないぞ"

"現実を求めるならクビだ"

長く受け継がれた「慣習」が蔓延る広告業界を舞台にしたのはそんな狙いがあったのかな。

スウォープのベレー帽お洒落だったな。
そして音楽がめちゃくちゃソウルフルでカッコよかった!
Tラモーン

Tラモーン