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秘密の森の、その向こうのsymaxのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
3.8
"Au revoir…"

大好きだった祖母が亡くなった…ちゃんと"サヨナラ"を言えなかった事を後悔するネリーは、両親と共に森の中に佇む祖母の家を訪れ、家を片付ける事に…ネリーの母は、余りの悲しみからか片付けの最中にふらりと消えてしまう…

母が消えた日…森の中で出会った少女の名は、母と同じ"マリオン"…彼女の家に招待される事となったネリーがマリオンの家を訪れると、そこは…

昨日鑑賞した"LAMB/ラム"が荘厳で残酷な"神話"であるならば、本作はどこまでもどこまでも優しい"童話"…そんな印象…

"燃ゆる女の肖像"で凄まじい余韻を喰らってしまったセリーヌ・シアマ監督の新作となれば、鑑賞しないハズがありません。

本作には、一箇所だけ印象的に音楽を使っていますが、極力音楽を排し、河のせせらぎ、枯葉を踏み鳴らす音やドアの開け閉め音など自然の音を背景にそれはそれは優しいファンタジーが繰り広げられていきます。

音と言えば、前作との大きな違いとして、8歳の女の子二人の屈託のない笑い声が響いているところでしょうか?

ネリーとマリオンを演じたのは実際に双子の姉妹で本作が女優デビューとの事ですが、素晴らしい演技で引き込まれてしまいます。

二人で演劇やってるシーンで大人びた表情を見せる一方で、二人でキャッキャっとクレープ作ってたりして…

シアマ監督の尋常でない才能を見せつけられたような気がします。

オープニングの"Au revoir"からのラストでの"Au revoir"が実に感慨深い…
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