「コーダ あいのうた」に続けて鑑賞。
「手話でてくる!」
「しかも似たような演出ある!」
テーマとか全然違うと思うんだけど、一部シーンがシンクロしててビックリした。
ってか、ジャケットも似てない?
・車の前に主要登場人物が勢揃い。
・メインビジュアルの下に主要キャストの写真が4つ並ぶ
・○○賞確実! みたいなアオリ
・フォントも似てる(「C」の文字を比べてみると分かる)
まさか同じ人がデザインしてないよね? filmarksの俺のページでは、横に並べて比較できるようにしておいた(というか勝手にそうなった)。
本編の感想に戻ると、西島秀俊演じる妻を亡くした演出家・家福が、広島でワークショップを開き、演劇を作り上げる話。
前半の東京編は「中年夫婦のセックス事情」みたいな内容な割に、オッパイも出てこないし、ウトウトしそうになった。
まぁ、「コーダ」とハシゴしたために、「コーダ」でエシディシばりに泣き喚いてしまった疲れが残っていたというのもあるが……正直、前半ほとんど記憶にない。
でも中盤、広島に行ってから、おそらく、この作品の、本領発揮。
とにかく、出てくる人出てくる人、「隙あらば自分語り」のマウント合戦。
ちょっとこっちが気を抜いたら「聞いてねーよ!」って思ってても自分語りをカマしてくる。マウントの群雄割拠状態。
なかでも、主人公・家福は、「ナツメウナギだった女子高生の話」って妻が語ってくれた物語を延々語り続ける。専属ドライバー、こんなの聞かされて、よくノイローゼにならんわ……。
そんな専属ドライバーも、「あんまり自分語りカマさないなー」って安心してると、後半で特大の自分語りを投下。復讐かよ!
……そりゃ、上映時間、三時間にもなるよなぁ。
ただ、それが退屈……な訳でもなく、意外に面白く観ることが出来た。
不思議な台詞回しと、瀬戸内の風景、石橋英子がジム・オルークらと作り上げた音楽。監督の仕掛けた色んな要素の組み合わせが、この作品を成り立たせているように思う。
特に、家福が東京から持ち込んだ真っ赤なサーブ900ターボを専属ドライバーに運転させながら走るシーンは、この作品を通して出てくるが、狭いシチュエーションなのにとっても印象に残る。
ちょっと前に観た「タイムリミット 見知らぬ影」( https://filmarks.com/movies/90406/reviews/128670903 )は、車の中に閉じ込められた家族のワンシチュエーションスリラー(少なくとも前半は)で、爆弾しかけられたり脅迫されたり子供が怪我したりとてんこ盛りでサスペンスを継続させてたのだが、それに比べて、車内の会話劇だけで緊張感をこれだけ持続させてるのは素直に凄いと思う。
そんな緊張感ある役を見事に演じてくれた、西島秀俊、三浦透子、岡田将生の主要キャスト三人、すっごい適役。
特にクズの間男のクセに偉そうな役者を演じた岡田将生、最高。いちいち言動と行動が「お前何様!?」って上から目線で、ホントに地がこんな性格に見えてくる。
それと、岡田将生、オーディションで台湾女優にディープキスかましてたけど、オーディションってそんなことやっていいの? だったら俺も、今日からオーディション受けまくる!
主人公・家福の専属ドライバー役の三浦透子も良かった。寡黙で得体が知れないところから、次第に心を開いていくキャラクターを演じきってた。このキャラ、どこか捨てネコ感あるよね。
(以下、後半の内容に触れてるので、ちょっとネタバレです)
ってか、三浦透子演じる専属ドライバー、広島と北海道を車で往復できるってスゴくない? 雪の残ってる北海道にスタッドレスとか付けずに乗り込むなんて、お前、菅原文太かよ……。
それと、主人公・家福がワークショップから制作する演劇、すっごくつまんなそうじゃない?
五ヶ国語(と手話)を交えて、チェーホフの「ワーニャ伯父さん」をやる……って、意識高すぎて、客が喜ぶとはとても思えない。広島演劇祭は、ホントにこんなのにお金かけていいと思ってんの? しかも役者はアジア各国から呼んできて、プリンスホテルに一ヶ月宿泊させてるし……。
税金(かどうか知らんが)の無駄遣いじゃね? 「コーダ」上映してたほうが良くね?
もしくは、役者総出で「アジアに広げよう広島焼きミュージカル」みたいなの作るとか。「エルデンリング」のマルチやるとか。それのほうが、よっぽど人が集まるんじゃないかなぁ。
そんで、ラストのラスト、唐突に三浦透子がサーブ900ターボに乗って、韓国行ってるのだけはよく分からなかった。
WIKIPEDIAによると、濱口監督は
「もう少しだけ破れ目みたいなものを作っておきたかった」
から、このラストを加えた、ってことらしい。
うーん。破れ目を作るなら、
「車がオプティマスに変形して、時空の破れ目から出てきた北朝鮮の将軍様と戦う」
くらいやってほしかったかも。
ま、それはともかく。
日本映画関係者は、この「ドライブ・マイ・カー」の専属ドライバー・三浦透子と「ちょっと思い出しただけ」のタクシー運転手・伊藤沙莉が水着で激しいカーチェイスを繰り広げる映画企画を、ぜひとも実現してほしい。
監督・脚本・相手役は僭越ながら俺が名乗りを上げる予定なので、タイトルは「俺スピ」でお願いします。
(おしまい)