アー君

ザ・フラッシュのアー君のレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
3.7
久しぶりのアメコミ映画である。ザ・フラッシュ自体はスーパーマンやバットマンと比べると日本での知名度やカリスマ性はやや劣っているかもしれない。

しかし、ティーザー広告を見る限り、かなり力を入れた作品であることが感じられたので、映画へ足を運ぶことにした。(料金がいつの間にか値上がりしていたのは困ったことだ汗)

【↓以下はネタバレ↓】











鑑賞後の率直な感想として、単純に良かったと言える。父親の無実を証明するため、能力を使って過去に遡り、母親の命を蘇らせた結果、世界に歪みが生じるというストーリーは、タイムリープ物のありがちな内容かもしれないが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマニア受けする主演エピソードや最後のスーパーマーケットでのシーンも伏線として用意されており、シリアスもありながらギャグもありのバランス良く描いた無駄のない脚本だった。

フラッシュの能力を上手く活用していたと思う。アメコミ映画のトレンドであるマルチバース(パラレルワールド)を効果的に取り入れ、約144分という上映時間ながらもテンポ良く飽きることはなかった。(欲を言えば、2人のバリーの掛け合い漫才を削って短くしても見どころはあったと思うが)

これは噂というかネット上でも話題になっていたが、1989年のティム・バートン監督の30年ぶりのバットマンの登場は、ファンサービスを超えた驚きだった。

マイケル・キートンが出演を承諾するとは思ってもみなかった。水面下による製作の過程でかなりの交渉があったのではないだろうか。

気になった点は、フラッシュが劇中で自虐的にバットマンの尻拭い役のようなセリフを言っていたが、実際にマイケル・キートン版のバットマンの登場が印象的で強烈だったため、主人公としてのフラッシュは影が薄かった。

また、今回のヴィランはダーク・フラッシュであり、バリーの分岐した自分自身ではあったが、出番があまりにも少なかったため、スーパーマンのゾッド将軍の方が悪としての存在感があった。

これはキートン版のバットマンが世代的にはぴったりだったため「ノー・ウェイ・ホーム」からの歴代スパイダーマンたちの登場にはしっくりきたが、バットマンの登場だと胡散臭くなるのではないかと想像していたが、意外にもこの映画では問題なかったため、個人的には興味を引かれた。

最後のジョージ・クルーニーの登場は、幻のニコラス・ケイジのスーパーマンと同様に微妙だった。車からマイケル・キートンの登場で終わっても問題はなかった。ヴァル・キルマーやクリスチャン・ベールの出演がなかったために妙に浮いてしまった感じもあった。マルチバースの特性を活かしてCGで何でも出せることをアピールするよりも、配役を最低限に抑える方が良かったのかもしれない。

しかし繰り返すが、映画としては非常に面白かった。ぜひ大スクリーンの劇場で観ていただきたい作品である。

[新宿ピカデリー 12:30〜]
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