おいなり

ザ・フラッシュのおいなりのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
3.8
究極の闇鍋映画。うまいもんしか入れてないんだから、不味くなるわけねーだろ!と言わんばかりの、もはや調理とか味付けさえも女々しいとばかりに取り払った、至高の男メシ。

そんな感じの映画です。



オールスター、アベンジャーズ状態を超えて、別時空から「かつてあった」世界線も、「あったかも知れない」世界線も全部ミキサーに放り込む。
もともとのタイムラインがもう意味不明のグチャグチャだったのを逆手にとって、もっと色々混ぜたら楽しいやんとばかりに愉快な闇鍋の出来上がり。
まさに最強のデウスエクス・マキナ。


過去をチョロっと変えてみたら、若フラッシュはフラッシュになれないかもしれない危機に陥ったり、かと思えば現フラッシュはフラッシュになれなくなるし、バットマンはマイケル・キートンだし、スーパーマンは女の子。いや初っ端からカオスが過ぎる。


いやしかし、まさかのマイケル・キートン!!!
僕は幼少期にティム・バートンのバットマンの洗礼をモロに浴びた世代で、ヒーロー映画好きもそこから始まったと言っても過言ではないので、ある意味でトビー・マグワイアのピーターが復活する以上の衝撃だった。
やっぱ30年経ってもマイケル・キートンの「Im Batman...」は世界一シブい。モノマネ大会で後ろから本人が出てきたみたいな貫禄がある。
なんでバットモービル使わないんですか?????そこだけわかってねぇなぁ!ってなっちゃったけど、それ以外はアンディ・ムスキエティのオタク特有の過剰なサービス精神は存分に発揮されてて良かったです。



重い映画かと思いきや見てみたらけっこうコメディ寄りで、サラッと見れたのが意外。これは別に悪く言ってるんじゃないですが、ミッドクレジットシーンを2時間に拡大したみたいな映画だなぁと観ながら思った。
すごい勢いで次から次へとサプライズ展開があるので、イースターエッグ好きには楽しい映画だとは思うけど、いきなりニコラス・ケイジの顔のスーパーマン見せられて「あっ!これは!!」ってなれる観客が果たして何割いるのか。
別にそれがわからんと楽しめない、というわけではないけど、よくそんなネタ拾ってくるなぁと感心してしまった。もしかしてWフラッシュ含め、世界一フェイシャルモーションを活用した映画なんじゃ無いだろうか。



本筋の話は、非常に収まりが良くて後味さわやかではあるんだけど、そのためにぶん投げた色々は、今後解明されることはおそらくないんだろうな。。。
また30年後だったらどうしよう。それかムスキエティがアンディ・カット出せや!!!って騒いだらまた変わるかもしれんけど。

そしてラストの超大物ゲスト。しっかり最後までファンサービスを欠かさないんだから、すごい映画だよいろんな意味で。



DCEUの閉店に伴って色々と変わったということだけど、それが果たして良かったのか、悪かったのか。
アクアマン2には当初キートンが出る予定で、キートンはDCのニック・フューリーになるという話だったけど、それがDC再編とバットガール封印の余波で色々あってなかったことになったとか、このゴチャゴチャっぷりはまさしくDCって感じよな。

そういうモヤモヤも含めて、面白かったけど本作にはもっと多くのものを期待してたというのが本音ではある。
旧DCEUを殺して、その屍の上に新たな城を築こうとしている新生DCUは、最低でもこの映画より面白いものを作り続けなければならない。それはもはや責任というよりは義務だ。
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