たまち

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版のたまちのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます


・ボロ泣きした。陸に降りると決めた時と、船と共に沈むと決めた時。身も蓋もない言い方だと『ない人』の話でこんなに泣ける映画ってすごいと、その感情を大いに増幅させる映画音楽にも感動した。

・コメディとシリアスが入り混じり情緒が揺さぶられる。競馬新聞で育つ1900、ダニーの死、ピアノジェットコースター?、少年ジャンプのようなピアノ対決、哀しいラスト。

・『天才のアドリブ音楽』にものすごい説得力を持たせる、天才の作って天才の弾く音楽たち。1900がMaxに船を降りようと思う、と話したとき何ともない会話のはずなのにBGMのせいで感極まってしまった。
なぜ泣いたのかわからなかったけれど、なんとなく外に踏み出すのがすごく怖い気持ちに共鳴した。

・ピアニストという動きの少ない対象を精一杯華やかに映像化してくれた!本当に絵ありきの漫画の実写なんじゃないかと思うくらい。部屋中を転げるピアノ、窓を突き破った爽快感、手は増える、弦は熱を持つ。そして船底の窓から見つめる黒い海、陸はいつでも霧がかってジオラマのよう、絵画のように窓の向こうに映る少女、画がとにかく綺麗。


・マックスの『揺れる瞳』は演技なのか?!すごすぎないか?!(と、思ったら病気らしい) 彼にはきっと1900の言うことは全然わかっていないんじゃないか。でも自分にはもう説得できない事がわかっている。与太話に呼び止められるたびに涙が出る。

・1900の素直さ、無邪気さ、傲慢さがティム・ロスとぴったり!あまり大きくない体から発するエネルギーに圧倒された。大きな目で私たちに見えない何かを見つめる目が印象的。演奏を勝手にアドリブに切り替えたりする積極的な孤独に対し、移民層の船室で大盛り上がりした後やレコードを断った後の孤独はひどくさみしいものがあった。でも1900にとってはずっと可能性の方が孤独より怖かったと最後に分かった。
夜中に忍び込んでキスするのはちょっと怖かった(笑)
たまち

たまち