七沖

ジョン・ウィック:コンセクエンスの七沖のレビュー・感想・評価

4.9
〝報いを受ける時がきた〟
待ちに待ったシリーズ第4弾。一体何作目で完結させるつもりなんだと思ったら、今回が完結編か!

インド映画かと思うような上映時間中、ほぼずっとアクションしている。
だがこのシリーズのファンは自分含めてそのアクション目当てで観に来ている人が大半だと思うので、全編ずっとご褒美みたいな映像が続く。

「できるだけ殺していってくれ」
「押忍」
今までも趣向を凝らしたアクションがたくさんあったが、今回はついに日本刀やヌンチャクが出てきて、世界観もさらなる広がりを見せる。もう監督とキアヌの趣味全開という感じだ。

一番の見どころは、パリの凱旋門周辺で繰り広げられるカー・フーだろう。
これが思っていた以上に尺が長く迫力もあり、ジョンも敵も車に跳ねられまくりながら戦っている様子は、なんだかスマブラを見ているような感覚に陥ってしまう。

その後、マンション内部で敵と戦うことになるのだが、このシーンがドローンのような俯瞰視点で進んでいくのが新鮮だった。ジョンのヤバイ強さがよく分かる。あの燃える銃は強すぎる(笑)

そしてさらに、サクレ・クール寺院前の長階段でのバトルは、まさかの222段落ちとその後のアツい展開含めて最高。
凱旋門も俯瞰バトルもガッツリ見せてくれたのに、まだ伝説を作り足りないとでもいうのか。
この映画、間違いなくアクション映画の歴史に残る。

キャストの目玉は、やっぱりドニー・イェンと真田広之!
ドニーはまた盲目キャラか!と思ったが、『ローグワン』の時とは異なり、フォースがない分、見えてないせいで危うい挙動も多いのが良かった。
ただ、その盲目という設定があったとしても、この人のアクションは別次元だった。

真田広之の出演は日本人として素直に嬉しい!
手元を見ずに納刀するのは『ラストサムライ』でも披露してくれていたが、やはり様になる。

あと、スコット・アドキンスが出演しているとのことでどのシーンかと思えば、あの巨漢役か!
太った外見になるスーツを着ての撮影だったらしい。
そういえばドニー・イェンも以前『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』で同じようなことしていたな…。
巨漢同士のハイスピードバトルというのも、いつか観てみたい。

個人的には「ノーバディ」役の役者さんが好きで、今回の「犬」枠だ。
手帳を手放せないアナログな感じと、バックパックを使ったアクションが新鮮だった。あのここぞというときのバックパックの使い方、いいなぁ!

いや、もう、本当に満足した。
別に感動できるわけでも教訓が得られるような話でもないのだが、「好きなものを詰め込みました!」を本気でやられて、それが自分の趣味とも合致するとここまで夢中になれるのか!を体現した作品だった。

エンドロール後の最後の映像には、思わず渋い顔で「コンセクエンス…」と呟くしかない。
アクションに特化してこそいるが、しっかりと閉じるべきところに話が閉じる作品だったなと思う。
アクション映画史に残る名作の誕生に、今は拍手を送り続けたい。
七沖

七沖