さよこ

ストリートダンサーのさよこのレビュー・感想・評価

ストリートダンサー(2020年製作の映画)
3.7
【兄と弟の関係性が胸アツだった🫶】
キネカ大森はインド映画を常備してて好き🫶

🕺全体の感想
最近のインドの街はお洒落だなぁと思いながら観てたらインドではなくロンドンでした。主人公はインド出身、ロンドン在住の若者で、題材はストリートダンスとなり、いわゆるインド系の踊りは控えめ。ダンスバトルにたくさん尺を使う分、ストーリーは大ぶりで、感情面の描き方もあっさりしてた。

🕺主人公の兄
おにーさんがこてこての長男仕草を発揮してて、世の中の長男/長女の方は、幼少期からこういう苦労をしてるのかなと思い、ますますリスペクトの気持ちが高まった。自分の考えをぐっと飲み込んで「お前(弟)は、どう思う?」と、絶対に弟の気持ちを無下にしない懐の広さ。凄い👏

🕺末っ子気質
そんな兄を持つ主人公は、伸び伸び育ち、自己肯定感がとても高い。兄の包み込む愛情を一身に浴びせたおかげで、思慮の浅さが目立ち、良かれと思ってやっていることが尽く裏目に出てしまう。相手が望むことより、自分がしたいことを優先するので、末っ子仕草としてお手本のような立ち振る舞い。ちなみに自分も末っ子なので、浅はかな言動は身に覚えがありすぎて、おにーちゃん苦労をかけてごめんよと思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⚠️この先、ネタバレあります⚠️
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

🕺笑ったシーン
飲食店オーナーとそのスタッフが踊りだしたのは吹いた。どこもかしこも踊れる人が多すぎる。そしてインド版マイケル・ジャクソンのような佇まいで格好良かった。この人が踊るときだけお金かかった演出が始まってショーとして楽しい。手足が長くて一つ一つのポーズが映える。※あとで調べたらインドではとても有名な方で、マイケル・ジャクソンのトリビュートライブにも参加してたぽいです😳

🕺好きなダンス
最初の方に出てくるクルマを使ったダンスシーンは、スタジオダンスじゃなかなかできない演出だから格好良い〜!!!てなった。あとヒロインが赤い衣装で踊ってるシーンは2つとも好き。赤が似合う。好き。
 
🕺いつまでも末っ子
友人から「人の心を傷つけてはいけない」と諭され、分かった!!!と元気よく返事(※そんなシーンはない)した直後に、新しいチームたちを裏切って元サヤに戻っていった主人公。えーーーーっと…?あれ…?チームメイトたちのためなら、新チームの人たちのことを傷つけても良いと思っちゃったのかな?元のチームメイト"しか"大切にしない感じ??そこはさ、新しいチームメイトに殴られてでも仁義を通しに行くとこじゃない?そんなことない?インドではそんな細かいこと気にしない?あぁそうですか。お国柄かな?ちょっとおねーさんびっくりしちゃった☺️💦

🕺社会問題
インド映画の特徴の1つに、インドで起こっている社会課題を取り入れるというものがあり、今回は移民や貧富の差が盛り込まれていた。自分が思うに、環境を変えることが人生のプラスになる人もいれば、どこに行っても代わり映えのない生活を送る人はいて、今回の三人衆に関しては"外国に行けば夢のような生活が待っている"と都合のよい未来だけを思い浮かべてしまったゆえの結果だとも思う。旅立つ前にニコニコで言ってたもんね、"誰か"が手助けしてくれるはずって。そんな他力本願で大丈夫?と嫌な予感はしていた。ロンドンに来たのもパスポートを焼いたのも最終的には自分が選択したことなのに、人生がうまくいかなかったことまで主人公のせいにして責めたりして、何とも同情し難かった。なんて行き当たりばったりなんだろうって。けどそういう調べ事をできない人たちが仲介業者の🦆になるんだろうなとも思った。知識って大事。

🕺エンドロール
エンディングで主人公たちの後日談やNGOの活動野様子が流れてびっくりした。これ実話ベースだったんだ…?主人公たちの作ったNGO法人の冒頭に宗教名が入ってて、日本との文化の違いを感じた。布教活動の1つでもあるのかな📚

🕺その他、いろいろ
・ダンスを魅せるためのレーザー演出良かった
・ドーナツたちが無惨に砕け散る…🧹
・出発のときの希望に満ちたテンションとの落差はとても哀しくなってしまった。三人衆がんばれ…
・最初から賞金を山分けする気がないお嬢様
・敬虔なパパが踊ってる娘を見たら卒倒すると思う
・パパたちだって社会貢献してるかもしれないのに思い込みだけで突っ走って相手をdisる主人公よ…
・ダンスが富裕層の特権に見えてきた
・オーナーの説得は教養があって素敵だった
・"俺"が優勝しなくてはと思ったのはとても末っ子ぽい発想で自分を見ているようだった。
・ここでINTERMISSION!終盤かと思った
・さすがロイヤル選手の層が厚い🩰
・横書きと縦書きの字幕が出てきてパニック
・ダンスシーンは格好良いなと思いつつ、そこまで好みの踊りではなかったので自分のなかで熱量が上がらなかった。ヒップホップは好きなんだけど、なんでだろうな…自分の知ってるヒップホップと違うのかも
・がっつりアイラインのメイクはやっぱ可愛いね

【余談1】
インド映画を見始めたきっかけは、たしか『きっとうまくいく』で、そこでボリウッド映画と呼ばれるものに出会った。インド映画では主に9つの感情を脚本のなかに組み込むことが多く「ロマンス」「笑い」「涙」「アクション」「恐怖」「驚き」「憎悪」「怒り」「幸せ」などがそれに当たる。そして自分がインド映画を好きな理由もここにある。映画を観て感情を揺り動かされるのが好きなのだ。で、今回の作品はというと、2〜3つ程度の感情が軸となり、それ以外の感情の描き方はとても浅いものだった。インド映画として観ると物足りなさがあるのが正直なところ。

【余談2】
映画を観ながら、かつて誰かが言ってた「表現者はみんなエゴイストだ(それで良いんだ)」て言葉を思い出した。劇中では誰かのために表現することが正義としていたけど、アートって自分自身のために表現するのでも全然良いんだよなぁってぼんやり思った。表現って自分の内面をえぐり出すような作業だから、そこに他人が入り込む余地はないっていうか、究極の自己主張っていうか。ロイヤルみたいに勝ちにこだわるのも、主人公のチームみたいに楽しさを求めるのも、浮浪者のために踊るのでも何でも良くて、自由なのがアートじゃん?とも思った。この映画の主旨とはちょっと逸れちゃうけど。

【余談3】
どこかで観たことがある俳優さんだなーと思ったら、インド映画「ディシューム」のメインキャストの1人だった。このヴァルン・ダワンという俳優さんは軽やかな雰囲気の役がとても似合う。あと胸とお腹の筋肉のつき方がめちゃ綺麗。凄い。美しいはそれたけで正義👏
さよこ

さよこ