さよこ

RHEINGOLD ラインゴールドのさよこのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
3.4
【実話ベースのサクセスストーリー重ため】
ウェイ系の音楽がたくさん聞けると思って鑑賞。

🥫全体の感想
音楽映画だと思って観に行ったら、収容所での拷問から始まり、シリアやイラクの惨劇やマフィアへの組入りなど、どえらい生い立ちや半生を追体験することになり、心の準備期間ができていなかった俺の負け🤦

🥫暴力と隣り合わせ
戦地で生まれ、物心ついた最初の記憶は拷問されてズタボロになった父親の姿。この環境で生まれ育ったら「暴力はダメ」って言ったところで伝わらないだろうし、そういう価値観そのものが生まれにくいよねと思った。死と隣り合わせの日常だし。

🥫外国コミュニティ
クルド人に限らず、外国人コミュニティの強さがずっと不思議だったんだけど、お互い命がけの経験をしている者同士だったら、そりゃ困ってたら支え合ったり助け合ったりしたくなるよね…と少しだけ理解できた気がする。とはいえマフィアに関しては、同胞であっても良いカモが来たって思っていそうな節もあって、なんともな関係だった。

🥫日常パート
かつては戦場で銃を構えていた人が、国境を越えて普通の人として生活してることに、なんだか鳥肌が立った。生まれてからずっと日本在住の感覚でいうと、いざとなったら命のやり取りができるタイプの人が、まさか向かいに住んでるなんて思わないし、戦地の荒々しさを消してすっと普通の生活に溶け込めるのが凄いなって思った。物凄いタフ。

ーーーーーーーーーーーーーーー
⚠️この先、ネタバレあります⚠️
ーーーーーーーーーーーーーーー

🥫好きな演出
父親の楽屋にノックせずに入ってくるのは"そういう関係"なんだっていうのが端的に表されていて好きな演出だった。それはそれとして、自分の仕事が軌道に乗ったらあっさり若い女に乗り換えるのはろくなもんじゃない。ちゃんとケジメつけてから恋愛したらいいのにね。だらしない男だな。

🥫アプローチ
返り血を浴びた格好のまま気になる女の子に話しかけたりして、自身の暴力性に無自覚なところが怖いなって思った。倒れた相手の顎を思いきり蹴り飛ばしてるし、喧嘩なんて生ぬるいもんじゃなく、しっかりした殺意を感じる。それでいて自分が女の子から怖がられる/嫌われるなんて思ってもいなそうなところに、物凄いマッチョイズムを感じた。あと女遊びしまくって特定の彼女を作らなかっただけのくせに"彼女がいたことないんだ"って一途アピールするのあざと過ぎるし、詐欺師の素養まであるんかいって思った。

🥫宗教
同じ宗教を信じてる人が戒律を守らなかったら多少叱責しても良いかもだけど、同じ宗派でもない赤の他人の生活空間にズカズカ土足で上がり込んでやいやい騒ぎ立てるの意味が分らない。しかもこの人たち、最初から怒りのボルテージがMAXの状態で来るから間髪入れずに銃乱射とかするじゃん…。そんなんされて「この宗教に入信しよ!」てなるわけないし、この人たちは信者を増やす気はないのかな。憎しみしか生まれてないのに、その方法に固執する意味が全然分らなくって。宗教に限らず過激派全般ちょっと無理。

🥫謎だったところ
コンサートホールの受付嬢って初恋の人だよね…?高跳びして別の国で再会したってことだよね?あれ、なんで主人公の実家の向かいから電話できるんだ?毎日国境越えて出勤してるってこと…?謎すぎる。ここだけ分からなかった🥲

🥫その他、いろいろ
・音楽一家から一転、戦士になるの波乱万丈すぎる
・コウモリの洞窟で出産…
・麻酔なしで奥歯抜くのむりーーーー
・父も母もあの環境で正気を保ったのがすごい
・挨拶代わりに出身国を聞いてるの不思議
・妹思いの兄だなと微笑ましく見てたのに、同世代の女の子に向けるギラギラした視線が動物っぽさがあってまじでむりーーーーってなった。スキンヘッドの俳優さんに高校生〜現在までを演じて欲しかった。
・母親からはタフさ、父親からは音感覚をギフト
・ピアノ弾いてるとき楽しくなさそう
・合法な仕事を目指したはずがアングラ直行便
・出資のかわりに50/50の取り分はえぐい
・トラックメイカーに突撃する行動力よ
・結局サンドバッグおじさんは何者だったんた
・さすが運び屋、信号のタイミングを熟知
・犯罪記録を残す人の心理が初めて分かった
・こんなときでも父親は主人公に会いに来たりしないのかって思った矢先に出てきた。不倫相手とうまくいってないといいな。
・面会後にできた曲で「母親は父親代わり」て歌うの趣きがある。
・受刑者のCDを寛容に受け入れる看守、良いパパ
・外国の刑務所って意外と快適…?
・まだ時効になってないのに過去の話にするの違くない?そして突然の人魚🧜‍♀
さよこ

さよこ