本好きなおじぃ

老後の資金がありません!の本好きなおじぃのレビュー・感想・評価

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)
3.7
後藤篤子は電器屋で契約社員として働くしがない主婦。
ある日義父が亡くなってしまうが、義妹からは「今まで世話していたんだからお金は出さない」と言われてしまい、地元の有力和菓子屋という体から高額な葬儀の負担を強いられることになってしまう。
そのとき、篤子は突如契約社員の期間満了、夫・章は会社が倒産、フリーターの娘は実業家の息子と結婚して妊娠し、結婚式は派手にやることになってしまう。
篤子はコツコツと貯えをしてきたが、一気に財政が悪化してしまうことに悩む。
そんな中、兄弟夫婦どうしで話し合いを重ねる中で篤子は、義母の芳乃を自分の家に引き取ることにした。果たして家計は改善するのか。
そして篤子や章は家族円満でいられるのか。


冒頭の「老後は2000万円だと国は言っているけど、本当は4000万円必要です」というジャーナリストの言葉に思わず、私たち観客もドギマギしてしまうのだが、そのあとさらに篤子や章もドギマギというか大きな混乱をすることになる。
家族が亡くなったときに実際に起こりそうな問答が冒頭からどんどん出てくるが、他人事のように思えないのは親族が亡くなっている経験があるからだけではない。金額の積み上げ方はリアルで、たまに高いもの食べたくなるよね~でも今じゃなくていいよね~という瞬間までよく再現されている。
役者さんたちのノリも良く、笑えない内容だけど笑える場面が随所にあって、とても楽しかった。

長男の嫁として気丈に振る舞う篤子のその姿には感服するし、コミュニティの大事さを訴えかける場面が多く、最後はあのような終わり方になってよかったなと思う。